相談事例方式:20歳代独身の保険加入
今回は、20歳代独身で保険に加入していないが、父親が入院したことをきっかけに保険のことを真剣に考え始めた方の事例をみていきましょう。
ご相談者プロフィール
25歳男性:会社員 実家に両親(父57歳・母52歳)健在 お住まい:賃貸
現在の保険加入状況
保険加入なし
ご希望
- ・入院や手術の経験はないが、父親の入院を見て自分も心配になったので、医療保障はきっちり確保したい。
- ・少子高齢化が進むこの国の現状を考えると、公的年金だけでは老後が不安なので、今から老後に向けて準備していきたい。
- ・貯金をしたい気持ちはあるが、現状は全く貯まっていないので、保険を活用する方法があれば検討したい。
- ・独身なので死亡保障の必要性は低いと思うが、万一のとき両親に迷惑をかけないようにしたい。
- ・お給料が上がらない状況なので、毎月の保険料はなるべく抑えたい。
見直しのポイント:現状とご希望のギャップ
- ・入院や手術への対策として、20歳代は健康状態に問題がある場合が少なく保険料も安いので、一生涯保障が得られる医療保険への加入を検討する。
- ・老後への備えとして個人年金保険への加入を検討する。
- ・貯蓄の習慣を付けながら最低限の死亡保障を確保するため、貯蓄と保障を兼ね備えた終身保険への加入を検討する。
解決策
- ① 医療保障は一生涯保障が得られ、保険料の支払いは60歳で終了する医療保険を検討しました。保険料を60歳までの短期払いにした場合と、終身払いとした場合で比較すると、20歳代では保険料に大きな開きがないため、老後への安心感がある短期払いを選択します。また、先進医療の保障は、月々100円程度の保険料で付けることができましたので、万一のときの不安を解消することができます。
- ② 老後が不安という方に向けて、毎月コツコツ保険料を拠出し老後に年金を受け取ることができる個人年金保険があります。支払った保険料以上に年金を受け取ることができますし、保険を貯蓄代わりと考えると、保険は解約しにくいという意識が働くので、続けられる可能性が高いと思います。一生涯にわたって年金を受け取ることができる個人年金保険が理想ですが、保険料が高くなりますので10年間の年金受け取りが保障されている確定年金(※1)で検討しました。
- また、個人年金保険料税制適格となることで、一般の生命保険料控除とは別枠で、個人年金保険料の所得控除を受けることもできます。
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※1 確定年金
10年等の受取期間を決め、その期間中は被保険者の生死にかかわらず年金を受け取ることができるもの。受取期間中に被保険者が亡くなった場合は、遺族が代わりに年金を受け取ることができる。 - ③ 貯蓄がない現状ですので、お葬式代として保障額300万円の終身保険へ加入します。終身保険は掛け捨ての保険ではありませんので、保障だけではなく貯蓄という側面があります。保険料を60歳で支払い終わると、60歳以降で解約した場合、支払った保険料以上の解約返戻金を受け取ることができます。終身保険は、万一のときの死亡保障と老後への備えの両面で使うことができます。
- また、20歳代の方は今後の長い人生を考えると、結婚や出産・住宅購入等でお金が必要になることがあるかもしれません。そうした場合、解約すると解約返戻金を受け取ることができますが、貯蓄性がある終身保険では、解約せずに契約者貸付制度(※2)を利用することもできます。
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※2 契約者貸付制度
保険契約者が解約返戻金の範囲内で、保険会社からお金を借りることができる制度。
ご提案保険内容
保険料19,300円/月
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医療保障
A社医療保険 保険料約3,600円/月
日額10,000円(60歳払込終了・一生涯保障) -
死亡保障
B社終身保険 保険料約5,700円/月
保障額300万円(60歳払込終了・一生涯保障) -
老後への備え
C社個人年金保険 保険料約10,000円/月
60歳まで保険料を支払い60歳から確定年金(※1)を10年間受け取り(総支払額約420万円・総受け取り額約460万円)
保険料を抑えつつ、相談者のご希望を満たすご提案ができました。20代独身の方は保険加入目的を明確にし、保険で貯蓄をしていく習慣を身に付けることも必要かと考えます。個人年金保険への加入により所得控除ができるという点は、目からウロコだったようで驚いておられました。
毎月20,000円弱の保険料ですが、保障を確保しつつ貯蓄性も高めた提案ですので、ご相談者の満足度は高かったです。20歳代独身の方は保険への加入を後回しにしがちですが、保険は様々な使い道がありますので、ぜひ一度、お時間を取ってご相談されることをおすすめします。
(注)保険料等の数字はあくまでも概算数字ですので、実際の保険料とは違う場合があります。
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コラム執筆者プロフィール
長谷 剛史 (ハセ タケシ) マイアドバイザー.jp®登録 - 学校法人・会計事務所勤務を経て2007年1月、大阪府堺市に独立系FP事務所を開業。
ファイナンシャルプランナーはお金の専門家ではありますが、幸せな家庭を作る専門家でありたいと常々思っています。
住宅・資産運用・保険の3つの分野に強いファイナンシャルプランナーとして、ライフプランを基本とした個別相談・講演・執筆等の活動を行っています。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 長谷 剛史
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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