子どもができたら考えるお金&保険 家族が増えた時の家計3 ~教育資金編
1.家族形成期のライフプラン
子どもが生まれると、将来、教育費もかかってきますし、住宅取得を考える人も少なくありません。一般に、子どもが高校・大学に入学するあたりから家計の収支が厳しくなり、教育費の支出が一段落すると、収支が改善するという傾向にあります。
いったん収支が改善しても、教育費にお金をかけすぎて貯蓄が減っていると、老後の資金が足りなくなることもあります。ですから、収入と支出のバランスをとりながらライフプランをしっかりたてていくことが重要です。
2.教育費の備えは早めに開始しよう
子どもの教育費は、出費の時期が決まっているので、計画的に準備しやすいともいえます。準備方法は、「学資保険」等の保険商品や、貯蓄が一般的な方法ですが、早くから準備を始めれば、毎月の保険料や積立額の負担は少なくなります。教育費が比較的かからない「小学校の時期が貯め時」とよく言われますが、できれば、もっと早いうちから始めておく方がよいでしょう。
・保険は、満期金の返戻率をチェック
「学資保険」等の基本的な仕組みは、一般的に、子どもの高校・大学入学時を満期日に設定、加入し、契約者である親に万一のことがあった場合は、それ以降の保険料が免除されて、満期日に満期金が受け取れるものが多いです。
保険商品ですから、保障面のコストがかかり、満期金が支払った保険料総額より少なくなるものもあるため、加入するときは、必ず返戻率をチェックしましょう。特に、特約でいろいろな保障がついていると、返戻率も下がってきます。
貯蓄の場合、元本割れさせたくないのであれば預貯金で、収益性を期待したいのであれば株式や投資信託、外貨等の積み立ても考えられます。ただし、収益性の期待できる商品は、収益がぶれるリスクも高いことを忘れてはいけません。その中で、毎月、同額で同じ商品を購入していく方法は「ドル・コスト平均法」といって、積立期間が長期にわたると、リスクが抑制される効果があるといわれています。
3.教育資金が不足する場合
教育資金がどうしても不足する場合の対策としては、教育ローンと奨学金の利用があげられます。教育ローンのうち、公的なものは、日本政策金融公庫が実施している「国の教育ローン」で、子ども1人につき最高350万円まで融資を受けることができます。民間の金融機関で扱っている教育ローンに比べ、金利が低いのが特徴ですが、所得等の条件があります。
代表的な奨学金制度である「日本学生支援機構」の奨学金には、「第一種奨学金(無利子貸与)」と「第二種奨学金(有利子貸与)」があり、貸与には、子どもの学力と家庭の収入に条件があります。その他、進学する学校や、民間団体、自治体等の奨学金制度もありますので、早いうちから情報を集めておきましょう。
奨学金の中には返済不要のものもありますが、日本学生支援機構の奨学金などは貸与ですから、卒業後、子ども自身が返済することになります。最近は、奨学金の返済延滞が問題になっており、延滞のペナルティにより信用情報が損なわれたり延滞金が科せられたりして、子ども自身のライフプランに支障をきたすこともあります。返済が厳しい状況では、救済措置もありますが、貸与の前に、返済についても親子できちんと理解しておく必要があります。
4.贈与を受けられないかを検討
平成27年末まで、祖父母等(曽祖父母、親)が孫(曽孫、子)の教育資金として贈与する場合は、上限1,500万円まで非課税という「教育資金贈与非課税制度」があり、この制度の延長が検討されています。
贈与税には、年間110万円の基礎控除がありますが、祖父母が孫の教育費として、必要な額をその都度贈与する場合は、110万円を超えても非課税です。しかし、まとめて贈与したり、必要額以上を贈与したりすると贈与税の対象になります。
教育資金贈与非課税制度では、贈与を受ける孫等が、30歳までに教育費として使う金額をまとめて非課税で贈与できるのが特徴です。生まれたばかりの孫のために教育資金として、非課税で1,500万円を贈与できるわけですが、30歳までに使い切らないと残額には課税されます。
このような制度を活用して祖父母からの援助を受けると、親のライフプランにも余裕がでてくるでしょう。
5.保険の見直し
子どもが生まれると、親には、子どもが経済的に自立するまで、扶養の義務が生じます。家計を支えている親に万一のことがあった場合、遺された子どもの生活や教育にかかる費用を保障するためには、死亡保障のついた保険が有効です。ただし、保障が厚ければ当然、保険料もかさみますので、必要な期間に必要な保障をつけることがポイントになります。実際に、どの程度の保障を考えて保険に加入すべきか、次回、とりあげてみたいと思います。
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コラム執筆者プロフィール
浅川 陽子 (アサカワ ヨウコ) マイアドバイザー.jp®登録 - 大学卒業後、銀行に勤務。専業主婦を経て、2000年にCFPを取得。
相談業務・執筆の他、FP養成講座、市民講座、DC講習会、小学校・高校での金銭教育授業等、講師としての活動も多い。
得意分野は、ライフプラン、リタイアメントプラン、介護、確定拠出年金、金銭教育。
現在、日本FP協会神奈川支部副支部長。
ファイナンシャルプランナー 浅川 陽子
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