子どもができたら考えるお金&保険 家族が増えた時の家計1~支出編
子どもが生まれて家族が増えることは喜ばしいことです。一方、子どもを養育し教育を受けさせ、子どもが自立した大人になるまで、親には経済的負担が生じます。出産、育児、教育にどのくらいのお金がかかるのか、今回は支出の面を見ていきましょう。
1.育児費用
表1は、子育て費用に関する内閣府の調査結果で、第1子一人当たりの年間子育て費用を就学区分で表しています。未就園児の年間総額は約84万円です。保育所・幼稚園児になると、年間総額は122万円と急増しますが、これは「保育費」がかかるためで、保育費の割合は全体の31.2%を占めます。小学生、中学生では、食費がそれぞれ24.1%、22.9%と最も高くなりますが、中学生になると、「学校教育費」(17.6%)と、塾やおけいこ事の月謝等の「学校外教育費」(16.0%)の割合も高くなるのが特徴となっています。
年間総額 | 内 子どものための預貯金額 | 預貯金を除いた金額 | |
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未就園児 | 843,225円 | 199,402円 | 643,823円 |
保育所・幼稚園児 | 1,216,547円 | 187,212円 | 1,029,335円 |
小学生 | 1,153,541円 | 163,037円 | 990,504円 |
中学生 | 1,555,567円 | 179,910円 | 1,375,657円 |
資料:平成21年度内閣府政策統括官(共生社会政策担当)「インターネットによる子育て費用に関する調査」より執筆者作成
2.保育園に入所させる場合の保育料 ―親の収入がポイント―
子どもを保育園に預ける場合は、保育料がかかります。保育料は、認可保育園の場合、自治体ごとに、子どもの年齢(例えば3歳未満か以上か)、第1子か、第2子か、第3子か等の違いと、親(夫婦)の収入区分で細かく設定されています。
例えば、平成26年度の横浜市の例では、3歳未満の第1子の場合は0~77,500円、第2子では0~42,600円の間で31段階(第3子以上はすべての区分で0円)に設定されています。また、無認可保育園では、認可保育園より保育料の負担が大きくなる場合が多いです。
3.教育費
1.でもあげられていた教育費は、子育てにかかる費用の中で、大きな比重を占めます。表2は、3歳で幼稚園に入園し高校卒業までの15年間、公立・私立で教育費がどれくらいかかるか、文部科学省の調査結果になりますので、参考にしてください。
表2:<公立・私立>コース別15年間の教育費(幼稚園3年間~高校卒業時)
※数値は概算
資料:文部科学省「平成24年度子供の学習費調査」より執筆者作成
公立と私立では、かかる費用が大きく異なります。なるべく、公立に行かせたいと考えていてもそうはいかないこともあります。幼稚園は公立の数が少なく、文部科学省の「平成26年度学校基本調査」(速報値)によると、幼稚園で私立に通う園児数は、全体の82.7%を占めています。また、中学で、私立に通う生徒の割合は7.0%に対して、高校(全日制)では、31.2%と上昇します。高校は義務教育ではないので、私立に行くことも考えておく必要があるでしょう。
表3:平成25年度大学入学者初年度納入金平均額
資料:文部科学省「平成22年度国立大学の授業料、入学料及び検定料の調査結果について」、
「平成25年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」より執筆者作成
教育費の中で、さらに高額になりがちなのが、大学の学費です。表3の通り、私立大学の文系に進学した場合、初年度納入金で100万円以上、4年間合計で約400万円かかることになります。国公立の場合、大学別、学部別の学費の違いはさほどありませんが、私立大学では、医科・歯科が高いのは言うまでもなく、理系や芸術系に進学する場合、文系よりも学費が高くなる傾向にあります。また、子どもが自宅以外から通学する場合は、住居費や生活費等の援助も必要になってきます。
子育てにはお金がかかりますが、国の子育て支援策として、給付金等を受け取れる制度もあります。次回は、給付金を含めた種々の子育て支援について取りあげます。
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コラム執筆者プロフィール
浅川 陽子 (アサカワ ヨウコ) マイアドバイザー.jp®登録 - 大学卒業後、銀行に勤務。専業主婦を経て、2000年にCFPを取得。
相談業務・執筆の他、FP養成講座、市民講座、DC講習会、小学校・高校での金銭教育授業等、講師としての活動も多い。
得意分野は、ライフプラン、リタイアメントプラン、介護、確定拠出年金、金銭教育。
現在、日本FP協会神奈川支部副支部長。
ファイナンシャルプランナー 浅川 陽子
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