初心者向けのローリスクな資産運用 投資信託
これから資産運用を始めてみようと考える方に、ぜひ利用してもらいたいのが「投資信託」です。投資信託は、少額から投資を行うことができますし、また、多くの金融機関で積立投資をすることも可能です。
投資信託の仕組み
投資信託の特徴は、販売会社(証券会社・銀行など)を通じて多くの投資家から資金を集め、その資金を運用会社(投資信託会社)のファンドマネージャーと呼ばれるプロが運用することにあります。
多くの投資家の資金を集めることにより、大規模な商業施設のような、通常は少額では投資できないようなものにも、投資を行うことが可能になっています。
<金融機関の役割分担>
(1)販売会社(証券会社・銀行・郵便局など)
販売会社は投資信託を販売する役割を担っています。投資信託の購入・換金・分配金の受け取りなどは、販売会社を通じて行われます。
(2)運用会社(投資信託会社)
販売会社が投資家から集めた資金を運用するのが運用会社の役割です。経済・証券市場に精通した運用のプロであるファンドマネージャーが運用方針や投資対象を選定して、管理会社(信託銀行)に対して実際の運用の指図を行います。
(3)管理会社(信託銀行)
投資信託の資産は管理会社である信託銀行で分別管理(※)されます。また、運用会社の運用の指図に従って、株式市場や債券市場などのマーケットで売買の取り引きを行います。
※分別管理とは
投資家からの預り資金は、金融機関の自己資金と明確に区別して管理することが義務付けられています。そのため販売会社・運用会社・管理会社が万一破綻するようなことがあっても、投資家の資産は分別管理された資産として分けられて保全されます。
投資信託の種類
投資信託は設定された国や運用方法・投資対象などによってさまざまな種類がありますが、とくに投資を始める前に知っておくべき点が「インデックス型ファンド」と「アクティブ型ファンド」の違いです。
インデックス型ファンドとは、例えば、日本株に投資を行う場合に、TOPIX(東証株価指数)や日経平均株価(日経225)のようなインデックス(市場平均)に連動した運用成果を目指すものです。対象となるインデックスはさまざまで、国内・海外はもちろん、株式・債券・不動産や商品まで幅広く存在します。
一方、アクティブ型ファンドの方は、運用のプロであるファンドマネージャーの目利きを活かして、インデックスを上回る運用成果を目指そうとするものです。
投資信託の3つのコスト
投資信託には3つのコストがかかります。
投資信託の3つのコスト
販売手数料 | 信託報酬 | 信託財産留保額 | |
---|---|---|---|
支払時期は? | 購入時 | 保有期間中、 継続的に |
売却時 |
支払先は? | 販売会社 | 販売・運用・受託各社 で分配 |
信託財産に 入れられる |
手数料の 目安の水準は? |
基準価格の一定比率 (1~3%が多いが、 ゼロの場合も) |
純資産額の一定比率 (1~2%が多い) |
基準価格の一定比率 (0.1~0.3%が多いが、 ゼロの場合も) |
コスト比較の ポイントは? |
販売会社によって 異なることもある |
投資信託の種類に よって異なる |
かかる場合とかからない場合があり、 投資信託の種類によって異なる |
資料:執筆者作成
「販売手数料」は投資信託を購入する際にかかる手数料です。同じ投資信託を購入する場合でも、取り扱っている販売会社(金融機関)で手数料が異なることがあります。また、販売手数料のかからない「ノーロードファンド」と呼ばれるものもあります。購入時のみかかるコストとはいえ、少しでもコスト負担は抑えられた方が良いため、しっかりと確認を行うことをおすすめします。
一方、「信託報酬」はファンドの純資産から毎日直接差し引かれる形で、保有期間中ずっとかかる費用です。一般的に、インデックス型ファンドの場合の信託報酬は低く、アクティブ型ファンドの場合は高くなりますので、投資信託の商品によりコストのかかり方は異なります。
もう一つの「信託財産留保額」は、投資信託を解約する時にかかる場合があります。これは、ファンドの他の長期保有者が解約によって不利益を被らないように配慮されたコストで、いわばペナルティ的なものだと考えてください。こちらも投資信託の商品によりコストのかかり方は異なります。
投資信託の投資対象
投資信託の投資対象は国内・海外の株式や債券、不動産などさまざまです。また、幅広く投資対象を分散していることが一般的で、例えば、国内の株式に投資を行うアクティブ型ファンドの場合、さまざまな業種の数十銘柄以上の株式が組み入れられていることが多く、分散投資によるリスクの低減効果が発揮されるようになっています。
投資信託は、少額から始められますし、幅広い投資対象に分散投資できます。また、運用のプロであるファンドマネージャーに運用を任せることができるので、投資タイミングで頭を悩ませることも少なくてすみます。まさに、投資信託はこれから投資を始めてみようという方に向いている投資方法といえます。
投資対象も株式や不動産(REIT)のようなものだけではなく、先進国の国債や、高格付けで信用力の高い社債に投資を行うものもあります。また、あらかじめさまざまな投資対象を組み合わせているバランスファンドの中には、投資家のリスク許容度に応じて複数の選択肢を用意しているものもあります。リスクを抑えたタイプのものもあるので、ご自身にあった投資信託を選んで、上手に活用してみてください。
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コラム執筆者プロフィール
久保 逸郎 (クボ イツロウ) マイアドバイザー.jp®登録 - FPオフィス クライアントサイド代表
高校1年で中退し、大検を取得して大学に進学。卒業後は大手リース会社、外資系生命保険会社を経て、平成15年3月にファイナンシャルプランナーとして独立。
相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、年間100回を超えるセミナー講師や、マネー雑誌等への原稿執筆などを行っている。
ファイナンシャルプランナー 久保 逸郎
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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