生命保険の自動更新の見直し
一般的にライフプランを考える上で、30代でご結婚や住宅取得をされる方が多く、40代では教育費が増加していく傾向にあります。そして、50代になればセカンドライフへの準備をはじめる方も多いでしょう。このように支出が増加するなか、頭を悩ませることの一つとして挙げられるのが、自動更新型の生命保険に加入していることにより、保険料が増加してしまうことです。
そもそも自動更新とは?
自動更新とは、更新型の定期保険や医療保険などで10年などの保険期間が満了したときに、健康状態に関係なく、60歳や80歳までなど一定の年齢の範囲内であれば、それまでと同一の保障内容・保険金額・保険期間を継続できる制度のことです。
ただし、保険料については、自動更新の時点での年齢で再計算されるため、上がってしまうのです。
自動更新の時期に、「保険契約を更新しない」や「保障額を減額して更新する」といった希望を、2カ月前など、保険会社が定める期間までに申し出を行えば見直しを行うことができます。しかし、何もしなければ、保険料が上がった状態で更新されることになります。
更新型の保険が悪い訳ではない…
このように書くと、更新型の保険や自動更新が悪い制度のように思われる方もおられるかもしれません。
そもそも定期保険や医療保険では、更新型のタイプ以外に全期型のタイプもあります。
この全期型の保険料は、保険料払込期間を通じて一定になっています。年齢を重ねるごとに保険料が上昇したり、途中で更新を迎えたりすることもありません。
図1 更新型と全期型の保険料のイメージ図(保障内容は同じとする)
資料:執筆者作成
更新型保険のメリット
図1のように契約当初の保険料は、同じ保障内容であっても、「更新型」の方が「全期型」よりも安くなっています。
20代、30代で生命保険に加入される方は、全期型に加入すると、生命保険料の支出が家計の負担になってしまうことも考えられます。したがって、更新型の保険を選択することで、若いうちは安い保険料で高額な保障を確保することができるのです。
また、生命保険は、初めに加入した死亡保障額や保障内容などをそのままにしておくのではなく、途中の見直し(メンテナンス)も必要になります。
ところが、全期型では保険の更新時期を迎えることはありませんので、保険の見直しの必要性を意識していなければ、契約時の死亡保障額や保障内容がそのままになってしまっているケースも案外多いのです。
更新型では一定期間ごとに更新時期を迎えますので、保険の見直しの必要性について意識していない場合でも、アラーム機能の役割を果たしてくれます。
生命保険・必要保障額の考え方
生命保険(死亡保険)に加入されている方は非常に多いと思いますが、では、その生命保険の加入額については、どのような考え方や計算方法があるのでしょうか?
必要保障額の考え方は、下記の図2の計算式になります。
図2 必要保障額の計算式
資料:執筆者作成
図2の計算式をもとに生命保険に加入することになりますが、一度計算したこの必要保障額は、ずっと一定ではありません。下記の図3のようにライフサイクルの変化に伴い、必要保障額も変化していきます。
図3 ライフサイクルの変化による必要保障額の変化
資料:執筆者作成
図3のように必要保障額は、一般的に結婚することで少し上がり、お子さまが生まれることでさらに上昇します。そして、末子が生まれたときに必要保障額のピークを迎え、その後、お子さまの成長に伴って徐々に必要保障額は減少していきます。
更新時期を迎えるときが保険の見直しのチャンス
更新時期がやってくることによって保険料が上がってしまう……これをピンチだとは思わずに、保険の見直し時期だと思うようにしましょう。
図3のようにお子さまの成長とともに必要保障額は減少していきますので、更新時期に必要保障額を計算し直し、徐々に保障額を下げていってください。そうすることで、保険料の上昇を抑えることができますので、頭を悩まさないですむでしょう(図4)。
図4 自動更新時期の死亡保障の見直しの考え方
資料:執筆者作成
更新時期を迎えたときに分からないことがあれば、保険会社やファイナンシャルプランナーなどにご相談されることをおすすめします。
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コラム執筆者プロフィール
岡田 佳久 (オカダ ヨシヒサ) マイアドバイザー.jp®登録 - 大学卒業後、商社勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして開業。
現在は、ファイナンシャルプランナー(CFP®)、キャリアカウンセラー(CDA)として高校生と大学生向けの金銭教育やキャリア教育、社会人を対象とした“お金”と“働く”に関する講演業務、雑誌などへの一般向けマネーコラムなどで活躍中。
ファイナンシャルプランナー 岡田 佳久
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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