初心者向けのローリスクな資産運用 積立投資
昨今の「貯蓄から投資へ」という流れや、新しい非課税制度であるNISAの創設などもあり、若い世代の中にも投資に関心を持つ方が少しずつ増えています。しかし、これまで投資の経験が全くないために、どうやって始めたらいいのかわからない、あるいは、現時点では手元にまとまったお金がないという方も多いのではないでしょうか。
そのような方におすすめの投資方法が「積立投資」です。
積立投資とは
積立投資とは、毎月決められた日に一定の金額を特定の株式や投資信託などに自動的に投資することです。
自動的に投資するので特に相場を気にする必要はありませんし、価格が高いときは数量を少なく買い付け、逆に価格が低いときは数量を多く買い付けることになるので、長期的に投資することで買い付けコスト(平均購入単価)を全体的に低く抑えることができる「ドル・コスト平均法」の効果が期待できます。
<ドル・コスト平均法の効果>
資料:執筆者作成
このケースでは毎月10万円という一定の金額を投資したほうが、結果的に平均購入単価は安くなっています。これが「ドル・コスト平均法」の効果です。
少額からでも始められる
少ない金額から始められることも積立投資の魅力です。毎月いくらから積立投資ができるかについては、積立投資を取り扱っている金融機関(証券会社・銀行など)によって異なりますが、中には毎月500円からでも積み立てができる金融機関もあります。
また、銀行の預金口座などからの引き落としでも積み立てを行うことができます。証券口座へ入金する手間を省けるので、仕事などで毎日が忙しい現役世代にとっては助かると思います。
相場や始めるタイミングを気にしなくてもいい
一般的に、投資といえば「安く買って、高く売れば儲かるもの」というイメージを持っている方も多いと思いますが、積立投資の場合は相場や始めるタイミングはあまり気にしなくてもいいと思います。
なぜなら、毎月一定額を投資するので、その時々の相場の影響は小さくなるからです。仮に10年間にわたって積立投資を行うとすると、毎月の買い付けを120回行うことになります。これは、その時々の相場の影響も120分の1に過ぎないということです。
特に、投資経験の少ない初心者の場合は相場観が不十分であることが多いため、価格変動の大きな金融商品を一度に購入してしまうと高値掴みをしてしまうケースも多いと思います。そのため、積立投資で投資タイミングの時間分散を図ることは、高値掴みのリスクを回避することにつながりますし、投資で成功するための重要な戦略の一つと考えておいたほうがいいでしょう。
積立投資のデメリット
積立投資のデメリットとしては、まとまった資金を一括投資することに比べて、扱っている金融機関や商品が少ないことが挙げられます。一部の金融機関では積立投資を扱っていないところもありますし、積立投資を扱っている金融機関でも、全ての株式や投資信託などの取扱銘柄を積み立てできるわけではありません。
それに、「ドル・コスト平均法」の効果を期待できるとはいえ、右肩上がりの相場では初めに一括投資を行ったほうが得られる収益は大きくなります。しっかりと相場観を持っていて「安値で買って、高値で売る」ことができる方であれば、あえて積立投資にこだわる必要はありません。せっかくの相場観が活かせない積立投資では、物足りなく感じるのではないでしょうか。
また、積立投資は長期間にわたって行うことが前提の投資方法になるので、そのコストについても注意が必要です。口座管理料や投資信託の信託報酬などのコストをなるべく抑えられるように、ネット証券会社の利用や低コストファンドの活用なども検討してみてください。
積立投資は「資産形成の王道」
少額から始めることができて、あまり相場観を必要としない積立投資は、特に投資初心者に向いている投資方法ですし、未来に向かって資産を増やしていこうとする現役世代にとっては「資産形成の王道」ともいえるものです。
将来の公的年金制度への不安などがいわれる中、国民一人一人の自助努力を促す方向で国も政策を進めていて、最大500万円(年間100万円×5年)までの投資について非課税とするNISA制度もスタートしました(2014年7月現在)。このNISA制度は積立投資でも利用することができます。
初心者でも気軽に始められる積立投資を使って、将来に向けた資産形成の第一歩を踏み出してみてください。
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コラム執筆者プロフィール
久保 逸郎 (クボ イツロウ) マイアドバイザー.jp®登録 - FPオフィス クライアントサイド代表
高校1年で中退し、大検を取得して大学に進学。卒業後は大手リース会社、外資系生命保険会社を経て、平成15年3月にファイナンシャルプランナーとして独立。
相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、年間100回を超えるセミナー講師や、マネー雑誌等への原稿執筆などを行っている。
ファイナンシャルプランナー 久保 逸郎
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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