山本 ゆりさんコラム - 第2回
認知症予防に。簡単!サバのオイル焼きと油揚げピザの献立
ブログの名物おばあちゃん「きよこ」
私は料理ブログを書いていますが、レシピの記事と、ただの日常や心情の話をだいたい交互に書いています。その中で特に人気があるのが祖母きよこ(※普段はおばあちゃんと呼んでます)の話です。大正生まれ、今年で97歳。
どんな話かといいますと、きよこのお茶目でとんでもない行動、発言の数々です。
特筆すべきは料理。母が働いていたため夕食はきよこが作ってくれていたんですが、その調理法がまずすごい。面倒くさがりなので丁寧な下ごしらえをせず(おばあさんなのに。昔の人って基本的に丁寧な人種やと思ってたわ)、冷凍のお肉は解凍もままならないまま熱々のフライパンにいれ、油をバッチバチ快活にはね散らかしながら焼く。当然中まで焼ける前に焦げるんで、焦げた部分を手ではいで食べる方式。焼き魚が焦げずに出てきたことはなく、ハンバーグの裏にはベロンと1枚靴底みたいな漆黒の焦げがついていました。
味付けも豪快。計量という概念が彼女には存在せず、それはシェフやベテランの主婦の「感覚でわかる」的なものだと思われそうですが、いかんせんブレブレなんです。約70年料理を作っているにも関わらずおみそ汁1つ定まってない。多少の誤差レベルではなく、1口で1日に必要な塩分量を満たせそうなぐらいしょっぱかったり、ほぼお湯の味しかしなかったり、味の振り幅がすごい。カレー以外は市販のルウを使わないというこだわりようで、ホールトマトとひき肉を短時間でさらりと煮込んだしゃばしゃばのミートソースを、じっくりコトコトぶるんぶるんに茹で上げたスパゲッティにかけて食べていました。コトコトするほうそっちかい!(笑)
お鍋を火にかけたまま外に出て行ったり、寝てしまったり、危険なことも多くて。うちに帰ると部屋中スモークがたちこめていたり(マジシャン?)水の出しっぱなしは日常茶飯事で、学生時代はその後始末に追われて毎日のように喧嘩をしていました。
認知症を患い、要介護5に
そういう不注意や、被害妄想からくる暴言、物忘れ、「あんたは誰や?」「あんたよう肥えたな」「よう肥えとる」などのトンチンカンな発言がどんどん増え(キィィー!なるわ)、自分でできることが減り、いつの間にか「認知症」と認定されていました。そして数年のうちに要介護5になり、食事、排泄、体の向きを変えるなど、すべてのことを家族とヘルパーさんがやる状態に。ただ年も年なので悲しみは少なく、むしろ初期の、他人に任せず自分のことは自分でしようとしていたころが一番大変だったように思います。
そしてこの認知症は、原因によって違うものの、生活習慣、食習慣の改善で予防できることもあるそうです。
認知症を予防する食べ物
認知症予防に効果的なのは、抗酸化作用のあるビタミンC、ビタミンE、βカロチンを多く含む野菜。そしてドコサヘキサエンサン(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)を含む青魚、コレステロールや中性脂肪の値を低下させるレシチンを含む大豆製品、特に納豆、同じくコレステロール値を下げるしいたけ、ミネラルを含む海藻、オレイン酸が脳に良いオリーブ油、抗酸化作用のあるポリフェノールを含むごま、赤ワイン、緑茶など。
他にも調べるとなんぼでも出てきて、とりあえず何を食べてもなんか良くなるんちゃうんと思えてきますが(笑)、代表的な食材は今挙げたものです。
レシピを紹介します「サバのオイル焼きと油揚げピザの献立」
前回と同じく、とりあえず上から全部取り入れてみました。どれもすごく簡単です!
『サバのオイル焼き』
フライパンで焼くだけ。栄養豊富な脂はふきとらず食べてください。
- 材料(2人分)
- サバの切り身…2切れ
- 塩…少々。
- オリーブ油…大さじ1
- あればレモン…適量
- (1)サバは塩を両面にふって15分おき、出てきた水分をペーパータオルで挟んでとる。
- (2)フライパンにオリーブ油を熱してさばの皮目を下にして並べ、蓋をして弱~中火で3~4分焼く。こんがり焼けたらソーッと裏返し(身がくずれるんで)、蓋をはずしてまた3~4分焼き、中まで火を通す。器に盛って油もまわしかけ、あればレモンを添える。
『ブロッコリーとスナップエンドウのたっぷりゴマドレサラダ』
- 材料(2人分)
- ブロッコリー…1/2株
- スナップエンドウ…6本
- サニーレタス…2~3枚
- A白すりゴマ、オリーブ油…各大さじ1
- Aしょうゆ、砂糖…各大さじ1/2
- (1)ブロッコリーは小房に分け、スナップエンドウは筋をとり、ともに熱湯で1~2分ゆでる。レタスはちぎる。
- (2)器に(1)を盛り、合わせたAを添える。
『納豆油揚げピザ』
- 材料(2人分)
- 油揚げ…1枚
- 納豆…1パック
- マヨネーズ、ピザ用チーズ、あれば万能ねぎの小口切り…各適量
- (1)油揚げは気になれば油抜きをし、アルミホイルにのせる。付属のタレをいれて混ぜた納豆を広げてのせ、マヨネーズをピャーッと絞ってチーズをパラパラかけ、オーブントースター(1,000w)で焦げ目がつくまで4~5分焼く。ねぎを散らし、食べやすく切る。
『にんじんとわかめのかき玉みそ汁』
- 材料(2人分)
- にんじん…1/3本
- 乾燥わかめ…小さじ2(さじで量れそうにない形状ですが、だいたいでいいです)
- だし汁…500ml
- みそ…大さじ2
- 溶き卵…1個分
- (1)にんじんは細切りにする。鍋にだし汁とともに入れてやわらかくなるまで煮たらわかめを加える。
- (2)強火で煮立たせたところに溶き卵を細くまわしいれる。火を止め、みそを溶き入れる。
そしてオマケです。『赤ワインゼリー』
お酒の弱い人にはおすすめできませんが、大人の味のデザートです。
- 材料(小さめのカップ3つ分)
- 粉ゼラチン…5~10g(5gだとゆるゆるフルフル、10gだとしっかり)
- A赤ワイン…250ml
- A水…50ml
- A砂糖…大さじ2 ※ワインの甘さによって好みで増減してください
- 好みで市販のホイップクリーム、ミント…各適量
- (1)ゼラチンは水大さじ3にふりいれてふやかし、電子レンジ(600w)で約30秒加熱して溶かす。
- (2)小鍋にAを入れて弱火にかけ、砂糖が溶けたら(1)をゴムべらで加えて良く混ぜる。粗熱がとれたら型に流し、冷蔵庫で4時間以上冷やし固める。好みでクリームを絞り、ミントを飾る。
最後に余談ですが
最初にきよこの話を書きましたが、あの料理の豪快さや雑な整理整頓、少々イラッとする発言や不注意に関して、「認知症の症状やったんやなあ……」と母に話した時のこと
母:「いや、最後のほうはそうかもしれんけど、料理も失くし物も整理整頓もお母さんがちっさい時からずーっとそうやで(笑)昔はできてたのに、とかない。そういう人やねん。」
ただの性格だったそうです。
次回は骨粗鬆症を予防するレシピを紹介します。
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PROFILE
山本 ゆり(ヤマモト ユリ)
料理コラムニスト
1986年大阪府生まれ。2児の母。身近な安い食材を使い、誰にでも簡単に作れてお洒落に見えるメニューが、主婦や料理が苦手な方々を中心に高い支持を得ている。「ボケ」と「ツッコミ」を盛り込んだレシピ本「syunkonカフェごはん1~5」や「syunkonカフェごはん レンジで絶品レシピ」(宝島社刊)は、シリーズ累計430万部を超えるベストセラーに。エッセイ本「syunkonカフェ雑記 クリームシチュウはごはんに合うか否かなど」「syunkon日記 スターバックスで普通のコーヒーを頼む人を尊敬する件」(共に扶桑社刊)も発売中。また、ブログ「含み笑いのカフェごはん『syunkon』」も気まぐれに更新中。
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