内藤 あづ紗さんコラム - 第1回
スパイスたっぷりの薬膳カレー、食べたことありますか?
はじめまして。大阪でAZU CURRYというカレー店をしている内藤あづ紗と申します!
以前はフランス料理の料理人をしていて、カレーについては、「スパイスからブレンドして~」とこだわるほど元々カレー好きではありませんでしたが、そんな私が経験を積み重ね色々なタイミングとご縁でスパイスカレーを作ることになりました。
第1回目のコラムでは、私がフランス料理を勉強していたのに何故カレー屋をすることになったのか。そして、スパイスカレーとの出会いや体験談をお伝えしたいと思っています。
私が料理の世界に入ったのは、フランス料理からでした。日本料理、中華料理、お菓子など色々ある中で、ハーブやスパイスといった今まであまり口にしていなかったものにとても興味を持ち、華やかで色使いなどが楽しい芸術のようなフランス料理をしてみたくなって決めました。大阪のフランス料理専門学校を卒業後、「フランス料理を深く学びたい!」という思いから、現地フランスの料理学校へ入学。
色の使い方、香りの使い方、私にはとても刺激的で楽しくて、卒業後はフランス料理人として就職しましたが、料理人という仕事は時間が長く体調を崩してしまい、残念ですが調理の現場から離れることにしました。
それでも飲食店が好きで、北新地の日本料理店で接客の仕事に就きました。北新地は接待が多く色々な社長さんのお席を担当させていただいたことで、接客の楽しさを知ることができました。ただ、着物での接客はとても大変で体が凝り、朝痛みで目が覚めるという日々。病院があまり好きではないので初めてマッサージに行ってみると、翌日にまさかの揉み返しが!背中が痛くてマッサージに行ったのに、「まさか余計に痛くなるなんて!」とショックでビックリで(泣)。
この時は自分の体のことが本当に良く分かっていなくて、「何でだろう?」という疑問から、ロミロミ、タイ古式、アロママッサージなど当時はやっていたあらゆるマッサージの勉強をしてみました。その中でも特に興味深かったのがインドの伝承医学であるアーユルヴェーダ。アーユルヴェーダ学では、人間の体質は大きく3つに分かれていて、それによって季節の過ごし方、食事の取り方やお風呂の入り方など、さまざまあるというもの。体質で患う病が違うことにも驚きでした。皆さんが良くご存知なところでは、ヨガもその1つになりますね。
日本人とインド人では違いもあって、当てはまらないこともあるかもしれませんが、口伝いに受け継がれた伝承医学という点が惹かれた理由の1つかもしれません。
そして、インドという繋がりから、シルクロードを通り、中国、そして日本へ伝わってきたスパイスにも興味を持つようになりました。
スパイスには体を温めるもの・冷やすものがあるのですが、インドと日本では気候が違うのでその効果や使い方も逆になります。例えば、体を温めるスパイスであれば、インドは暑いので、汗をかかせ熱を外気との温度で下げるという使い方をしますが、日本はインド程暑くないので汗を出して冷やすという使い方ではなく、体を温めるという使い方をします。昔は、料理だけでなく薬や魔除けにも使われていたそうです。
自分の体調不良がきっかけではありますが、この時期に色々なことが気になって、ハーブティーや野菜ソムリエ、アーユルヴェーダセラピスト、痩身カウンセラーなど幅広く勉強し資格を取りました。
その後、知人から「ランチに薬膳カレーを出すお店をやりたいから、レシピを考えて欲しい」との依頼があり、私と薬膳カレーが出会うことになります。
カレーを一から作ったことがないため、初めはスパイスから勉強しました。スパイスの数もたくさんあるので、何種ブレンドするのがいいのか、だしは何にするのかなど。
色々と試行錯誤して小麦粉を使わない薬膳キーマカレーが完成しました。
キーマとはミンチという意味で、ミンチを使うと火が入りやすく短時間で作れるため、スパイスの薬理効果も期待できます。スパイスは長時間の加熱をすると薬理効果はあまり期待できないのです(薬膳とは、薬理効果を考えて作られたお膳のことをいいます)。
カレーと向き合ってからというもの、スパイスの薬理効果にとても興味があり、スパイスを摂取し続けるとどう変わるのかを知りたくて、毎日、お店で出す薬膳カレーを食べました(笑)。さすがに飽きるだろうと思って食べ続けて3カ月(結構食べ続けました(笑))。
その頃から便秘が改善されて、冷え症や乾燥肌もだんだんと改善されていきました。
お客様からは、「お風呂に入っても汗が出ないのにここのカレーを食べると汗が出る」とビックリされ4日連続で来られる方も(笑)。また、スパイスは腸も温めるので、「ここのカレーを食べた後は必ず便通が良くなる」と言われる方も多くいらっしゃいました。
「体は食事でできている」と頭では分かっていましたが、「体調は、自分が毎日食べている食事から積み重なって作られてるんだ」ということを改めて体感しました。
そして、スパイスだけではなく、季節によって収穫される野菜や果物には、その季節に採れる意味があり体を温めたり冷やしたりデトックス効果など、さまざまな効果があることを知りカレーの添え野菜に組み合わせてみました。
長くなりましたが(笑)、色々な経験を積んで、現在AZU CURRYでは、フランス料理の経験も生かした、彩り華やかにまず目で見て愉しく、色々な季節の野菜の食感や歯触りも楽しんでもらえるような野菜を必ず添えています。
ただお腹を満たすだけの食事ではなく、「愉しく、美味しく、さらに体のプラスになる食事を」と心掛けお客様の笑顔も楽しみにお作りしていたら、間借りして営業していたころに「大阪のスパイスカレーレジェンド店」にも選んでいただきました。
毎年はやる健康食品や食材もありますが、長い人生一時的に気を付けても体質は変わりません。
「飲まなければいけない」「食べなければいけない」では続かないので、心の負担なく愉しく食べて健康になってほしいという思いも込めて、次回からは食事やスパイスと健康についてお話ししていけたらと思っています。
健康は、食べることから始まる!
是非、このコラムを読んで食事の大切さを感じていただければ幸いです!ではまた次回!
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PROFILE
内藤 あづ紗(ナイトウ アヅサ)
非日常料理研究家
元フランス料理人。体調を崩したことで自分の身体に関心を持ち、インドの伝承医学アーユルヴェーダを勉強。アーユルヴェーダセラピスト、痩身カウンセラー、野菜ソムリエ、ハーブアドバイザーの資格を取得。いろいろ縁がありスパイスカレーを作ることになる。2017年アジアゴールデンスターアワードを受賞。2018年大阪マリオット都ホテルでシェフセミナーなどを開催。同年7月、大阪の北新地にAZU CURRYを開業。
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