「てんかん」と保険について
「てんかん」とは、脳における神経細胞の電気信号が乱れ、急に意識を失ったり、体を大きく痙攣させたり、急に動きがとまったりする症状が繰り返しあらわれることをいいます。
何らかの理由で脳の一部に傷が入り、そのため電気信号が乱れ「てんかん」症状が起こるという説が一般的ですが、その原因や対処法は幅広く存在します。
2012年4月に京都府で発生した交通事故において、その原因が運転手の「てんかん」発作である可能性が高いと指摘されたことで、「てんかん」は一躍話題となりました。記憶に残っている人も多いのではないでしょうか?
この「てんかん」ですが、実はとてもありふれた病気であり「てんかん」を持つ人は、日本国内だけで約100万人いるといわれています。
決して危ない病気ではなく、内服薬を適切に飲み、生活習慣を良好に保てば、ほとんどの人は発作が起きることはありません。
先述の事故の際、一部では偏った報道のため「てんかん」に対する誤った認識が蔓延したこともありましたが、私たちは「てんかん」について、正しい認識を持つ必要があります。
さて、ここで「てんかん」と保険の関係についてみてみましょう。「てんかん」持ちだと、保険には入れないのではないか…と思われるかもしれませんが、実はそんなことはありません。
まず、がん保険については他の告知事項がなければ、問題なく加入できるでしょう。また、医療保険についても症状や治療、服薬の状況によっては、加入できるものもあります。生命(死亡)保険についても同様です。
もちろん、通常の保険の他に、告知事項が少なくより加入しやすい「引受緩和型保険」や、告知不要の「無選択型保険」もあります。
ここで「引受緩和型保険」について、少し紹介をしておきます。
通常、保険に加入するためには「直近3ヵ月以内の医師の診察、治療、投薬の有無」や「過去5年以内に入院・手術をしていないか」「直近2年間の健康診断における異常(要治療、要再検査、要精密検査、会社によっては要経過観察を含む)」といった健康状態の告知が必要です。
「引受緩和型保険」の場合、そうした告知事項が少なく、緩やかなものとなっています。
例えば「過去2年以内に入院・手術をしていないか」「過去5年以内に、がん・上皮内新生物で入院・手術をしていないか」「がん・上皮内新生物、慢性肝炎、肝硬変等の治療中ではないか」「最近3ヵ月以内に医師から入院・手術をすすめられたことがあるか」といった、限定的な項目のみで、全てに該当しなければ加入できます。
保険料は通常の医療保険に比べて割増されていますが、その分、加入しやすい保険といえます。
大切なのは、自身の健康状態をきちんと把握するとともに、保険の種類ごとに加入の可否を検討することです。
そういった意味では、自分に合った保険を一緒に探してくれる、身近なプロを味方につけることも大切なことではないでしょうか。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 奥田 知典
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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掲載日:2019年8月16日
てんかん患者の生命保険加入の制限
てんかん患者に限らず、持病(がん・糖尿病・心疾患・脳血管疾患など)がある場合、通常の保険への加入には制限があることがほとんどです。
てんかんをはじめとした持病がある加入者と、健康な加入者の保険料が同額であると、契約者間での公平性が保てなくなることがその理由に当たります。
そのため、てんかんをはじめとした持病がある場合には、「引受基準緩和型(引受基準が緩和され加入しやすい)」や「限定告知型(告知する項目が少ない)」の保険を検討してみても良いでしょう。
ただし、引受基準緩和型や限定告知型の保険は、通常の保険よりも加入しやすくなっているため、ほとんどの保険会社で保険料が割り増しされているので注意が必要です。
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てんかんの告知なしで加入できる無選択型の保険
さらに、健康状態を問わない「無選択型」の保険もあります。
無選択型の保険は、てんかん患者など持病のある人でも、自分の健康状態や症状の告知なしで保険の加入が可能です。
一方で、保険料が割り増しになるため高くなり、給付金額が少額であるなど、契約時には保障内容と月払保険料をよく確認しておく必要があります。
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