自動車保険
2018.07.24
車両事故の約4分の1が駐車場で発生。自動車保険は適用される?
自動車保険に加入している人は、もしもの交通事故に備えて保険に加入していることでしょう。では、事故を起こした場所がマンションやスーパーの駐車場など道路以外の場所だとしても、自動車保険は適用されるのでしょうか。今回は駐車場で事故が発生した場合の保険の取り扱いについて解説します。
意外に多い!駐車場での交通事故
車両事故は道路で発生するイメージがあるかもしれませんが、一般社団法人日本損害保険協会東北支部「東北6県の車両事故実態に関するモニタリング調査(2016年1月~12月)」によると、車両事故のうち、26.2%が駐車場内で発生しています。道路では車線によって車の進む方向が一定ですが、駐車場内ではスペースを探している車や駐車しようとしている車、出ようとしている車など車の動きが不規則です。車が行き交う道路を横切る人は少ないですが、駐車場の場合は人の行き来も少なくありません。また、駐車スペースを探すことに気を取られたり、なかなか空いているスペースが見つからないと気が焦せったりするなど、安全確認が不十分になることがあります。こうしたことから駐車場内での車両事故は意外にも多くなっているようです。
駐車場での事故は交通事故じゃないってどういうこと!?
駐車場内での事故は車両事故全体の約4分の1に上るわけですが、駐車場内の事故は交通事故ではないといわれることがあります。これはどういうことでしょうか。
理由は、道路交通法の規定と関係があります。道路交通法でいう交通事故とは、道路上で起こったものをいいます。私有地である駐車場の場合、道路ではないので基本的には道路交通法は適用されず、交通事故証明書が発行されません。そのため、駐車場内の事故は原則として交通事故ではないのです。
ただし、私有地であっても「一般交通の用に供するその他の場所」、つまり「不特定多数の人や車両が自由に通行できる場所」である場合には、「その他の道路」として道路交通法が適用されます。ですので、飲食店やショッピングセンターの駐車場などで「不特定多数の人や車両が自由に通行する場所」と判断された場合は道路交通法が適用されることになります。
これに対して、月極駐車場や個人の駐車場など「不特定多数の人や車両が自由に通行する場所」とはみなされなかった場合は、道路交通法が適用されないため、交通事故ではないということになります。
駐車場での事故、保険は適用される?されない!?
では、駐車場で事故が起きてしまった場合、保険は適用されるのでしょうか。
不特定多数の人や車が自由に出入りをする大型商業施設などの駐車場で、道路交通法が適用となった場合は、警察に届出をしてから自動車安全運転センターに申請することで、「交通事故証明書」を発行することができます。その場合、道路上と同じ扱いになりますので、人身事故であれば自賠責保険の適用となり、任意保険は物損事故、人身事故ともに適用されます。
一方、私有地内での事故の場合は交通事故として扱われないため、保険金請求時に必要な交通事故証明書は発行されません。代わりに「人身事故証明書入手不能理由書」を保険会社に提出することになります。このとき、基本的には人身事故であれば自賠責保険の対象となります。任意保険は私有地での事故に対する補償を契約していれば物損事故、人身事故ともに補償の対象となります。ただし、実際に保険が適用になるかどうかは書類提出後の審査によって決定されます。契約内容や状況によっては適用にならない場合もありますので、契約内容について事前にしっかりと確認しておきましょう。
このように、駐車場内での事故で自動車保険が適用されるかどうかは、契約内容や状況によって異なりますが、万一駐車場などで事故を起こした場合であっても、道路上での事故同様に負傷者を救護し、必ず警察に連絡しましょう。その後保険会社へも連絡するようにしてください。
- 監修者 柳澤 美由紀 やなぎさわ みゆき
- CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。
相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。
家計アイデア工房 代表
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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