自動車保険
2018.06.12
ゲリラ豪雨などで水没したとき、自動車保険で補償される?
全国的に雨の季節となりました。洗濯物やヘアースタイルのことを考えると気分が重くなりますが、農作物等にとって適度な雨は必要なもの。そう考えると、感謝の季節といえます。しかし、よく耳にする「ゲリラ豪雨」(気象庁では「局地的大雨」「集中豪雨」と呼んでいます)、こちらは災害につながることもあります。2015年9月関東・東北を襲った豪雨で鬼怒川が氾濫し、多くの自動車や家が流されたニュース映像を目にした人は多いのではないでしょうか。今回は、豪雨などによって自動車が水没した際の補償についてお伝えします。
ゲリラ豪雨は増えている!?
気象庁資料「全国(アメダス)の1時間降水量50mm以上の年間発生回数」によると、1時間降水量が50mm以上の年間発生回数は、過去10年間(2008年~2017年)の平均が238回、統計期間最初の10年間(1976年~1985年)の平均が174回ですから、1.4倍になっています。
では、1時間降水量50mmとは、どの程度の降り方なのでしょうか。気象庁「天気予報等で用いる用語」によると、1時間50mm以上80mm未満の雨は「非常に激しい雨」と呼ばれ、ゴーゴーと滝のように降り続く強さの雨のことです。また、80mm以上の雨は「猛烈な雨」と呼ばれ、息苦しくなるような圧迫感があり恐怖を感ずる強さの雨のことで、視界は悪く、自動車の運転は危険な状態とのことです。
このような「非常に激しい雨」や「猛烈な雨」が増えているということは、土砂災害や洪水等の危険も増えているといえますね。
ゲリラ豪雨で愛車が水没したとき、自動車保険で補償される?
水害によって大切な自動車が流されたり水没したりしたときは、自動車保険の補償対象となるのでしょうか。車両保険で支払われる損害にはどのようなものがあるのか、表1にまとめました。
表1:車両保険で支払われる損害の種類
※スクロールで表がスライドします。
資料:執筆者作成
一般的な車両保険は、補償範囲の広い「一般型」と、補償範囲を限定した「車対車+A」(エコノミー型、限定型とも呼ばれています)の2つのタイプが主流です。水害による損害は、ほとんどの損害保険会社で「車対車+A」のタイプでも補償されます。
それでは、実際にどのくらいの車両が保険金の支払いを受けているのか、見てみましょう。
表2:風水害による車両保険金支払い対象の車両台数
※スクロールで表がスライドします。
資料:日本損害保険協会「近年の風水害等による支払保険金調査結果(見込み含む)」をもとに執筆者作成
台風に限らず、地域が限定された災害でも、多くの車両が損害を被っていることが分かります。車両保険の保険料は決して安価ではありませんが、河川のそば、土砂災害の危険がある地域の方はぜひ、備えておきたいですね。
津波の被害は自動車保険の対象となる?
台風も津波も同じ「水」による損害ですが、津波が原因の被害は、表1の最下段にあるように、一般的な車両保険では保険金支払いの対象ではありません。それでは、津波による車両被害は諦めるしかないのかというと、そうではありません。津波による損害を補償する特約が付帯できる自動車保険もあります。
火災保険に付帯する地震保険の目的が、建物や家財の再取得ではなく被災者の生活の安定にあるのと同様、自動車保険の地震・噴火・津波の損害を補償する特約も、生活に欠かせない移動手段を確保することが目的のため、補償金額を50万円(車両保険金額が上限)としている保険会社も多くあります。
生活に自動車が欠かせない人にとってこの一時金は、非常にありがたいものではないでしょうか。補償内容や付帯条件など、保険商品によって異なりますので、検討時にはよく確認してください。
自動車の損害は事故に限られていません。近年増えている自然災害による損害も大いに考えられます。イザというときのためにも、車両保険に加入し備えたいものです。
- 監修者 柳澤 美由紀 やなぎさわ みゆき
- CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。
相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。
家計アイデア工房 代表
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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