傷害保険とは
はじめに
傷害保険は、損害保険会社が扱う「ケガや事故に対する保険」です。
傷害保険の対象になる「傷害」とは、「急激」かつ「偶然」な「外来」からの事故による、身体に負ったケガ(骨折、やけど等)になります。
以下、傷害保険の対象になるケガ、傷害保険がカバーする範囲、保険金の種類、特約等についてみていきます。
傷害保険の対象になるケガとは
では、最初に「急激」「偶然」「外来」の意味(定義)について整理しておきましょう。
「急激」とは、突発的な事故から時間的間隔なくケガに至ることを意味します。
「偶然」とは、「事故(原因)の発生」、「ケガの発生」、「事故とケガの発生」のいずれかが予知できないことを意味します。
「外来」とは、ケガの原因が身体の外からの作用によることを意味します。
以上の3つの要件全てに当てはまるケガが傷害保険の対象になります。
ですから、疲労骨折等のように、緩やかに発生するケガや、心臓発作が原因の転倒によるケガ、靴ずれ、しもやけ等は、傷害保険の対象とはなりません。そのほか、有毒ガスによる急性中毒は補償の対象となりますが、細菌性食中毒やウィルス性食中毒は補償の対象外となります。
また、一般的に、地震、噴火またはこれらによる津波や、戦争、暴動等が原因のケガも補償対象とはなりません(地震、噴火またはこれらによる津波によるケガについての特約を用意している保険会社もあります)。
傷害保険に加入する前に、補償されるケガの範囲についての確認をしておきましょう。
傷害保険がカバーする範囲
傷害保険は、国内外における、仕事中のケガ、交通事故によるケガ、家庭内でのケガ、旅行中のケガ、スポーツ中のケガ等が補償の対象になります。
また、保険会社によっては、交通事故等によるケガに限定し、保険料を抑えたプランを用意しているところもあります。
被保険者(保険の対象となる人)の範囲は、「本人型」、「夫婦型」、「家族型」等があります。被保険者の範囲を絞るほど保険料は安くなります。
家族の範囲については、
- (1)配偶者
- (2)生計を共にしている同居の親族
- (3)生計を共にしている別居の未婚の子
になります。
生命保険等と異なる保険料の設定
生命保険や医療保険等は、年齢や性別によって保険料を設定しています。
傷害保険は、一般的に年齢や性別ではなく、職業によって保険料を分けています。
事務職や営業職、医師や弁護士等は「危険の少ない職業」として「A級職」に分類されます。
農林業作業者や漁業作業者、建設作業者は「危険の多い職業」として「B級職」に分類され、A級職に比べ保険料は高くなります。
ただし、70歳以降に関しては保険金額に制限を設けていたり、加入できなかったりする場合もあります。ご高齢の方については、保険会社へ確認をしましょう。
傷害保険で支払われる保険金について
傷害保険で支払われる保険金は、
- (1)死亡・後遺障害保険金
- (2)入院保険金
- (3)手術保険金
- (4)通院保険金
等があります。
事故の日から180日以内に死亡したり後遺障害が生じたり、入院、手術、通院した場合に保険金が支払われます。入院や通院に関しては支払限度日数があります。
医療保険は、入院後の通院のみ通院給付金を支払うとしている保険が多いですが、傷害保険は通院のみでも保険金を受け取ることができます。但し、手術給付金は、1事故につき1回の支払い等の制限があります。
各保険料の支払条件については、加入前に確認をしておきましょう。
特約について
多くの傷害保険は、「個人賠償責任補償特約」をオプションとして用意しています。
個人賠償責任補償特約は、日常生活で他人にケガをさせたり、他人の財物を壊してしまったりしたことによって、法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われる特約になります。また、国内・国外の事故に対応しています。
なお、自動車保険等でも個人賠償責任補償をカバーしている場合もありますので、特約を付加する前に、現在加入している保険の内容を確認しましょう。
ほかに、所有の携行品を落として壊してしまったり、盗まれたりした損害を補償する「携行品損害補償特約」や、結核やO-157等の特定感染症による入院や通院等を補償する「特定感染症補償特約」等の特約を用意している保険会社もあります。
まとめ
「はじめに」でも触れましたように、傷害保険の対象になる「傷害」とは、「急激」かつ「偶然」な「外来」からの事故による、身体に負ったケガ(骨折、やけど等)です。
一般的な医療保険に比べると補償範囲は狭くなる分、保険料は安くなります。万一の補償を考えた場合、医療保険と内容を比較検討しながら、傷害保険が必要であるかどうか、ご検討されるのがよいと考えます。
その場合、傷害保険のカバー範囲を、自動車や電車等に搭乗中の事故や自転車で転んだ時等の交通事故によるケガに限定し、傷害保険の保険料を安く抑えることも一案です。
-
コラム執筆者プロフィール
恩田 雅之 (オンダ マサユキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 1959年東京生まれ。
2004年3月にCFP®資格を取得。
同年6月、札幌にて「オンダFP事務所」を開業。
資産運用をテーマとした個人向けのセミナー講師や3級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得の講師やライフプラン、金融保険関連のコラムやブログの執筆など中心に活動中。
ファイナンシャルプランナー 恩田 雅之
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。