母が自己免疫性肝炎を発症しました。肝疾患…
母が自己免疫性肝炎を発症しました。肝疾患の中でも女性に多いと聞きました。一般的に遺伝はしないと聞きましたが、詳細原因が解明されていないだけに、もしかしていつか自分も……と心配しています。
アルコール摂取量を制限するなどで発症を防ぐことはできるのでしょうか?また、甲状腺の病気も合併症として起こる場合があると聞きましたが、こちらも予防策はあるのでしょうか?
「自己免疫性肝炎」についてお答えします。
「自己免疫性肝炎」の遺伝
自己免疫性肝炎に関するご相談ですね。おっしゃるように、自己免疫性肝炎は40代から50代で発症することが多く、1対7の割合で女性の患者が多いといわれています。欧米と比べて、日本には少ないとされていますが、まれに若い方や高齢者でも発症する方がいらっしゃいます。原因に関しては、はっきりしたことはまだ分かっておらず、免疫をつかさどるリンパ球という細胞が肝臓の細胞を異物と認識して、攻撃してしまうことが原因ではないかと考えられています。このような攻撃が起こるきっかけとして、何らかの薬物やウイルスの感染が疑われますが、それもまだ解明はされていません。
ご心配の遺伝に関しては、すでにお聞き及びのように、いわゆる遺伝病ではない、と考えられています。しかし、遺伝の心配が全くないかというと、ほかの多くの病気同様そうではなく、病因と考えられている免疫を担う遺伝子の一部が両親から受け継がれることになるため、どちらかの親、または両親に自己免疫性肝炎の患者さんがいると、そうでない方に比べて発症率は多少高くなるといわれています。ただ、家族内発症はごく一部であり、あくまでパーセンテージの問題です。
「自己免疫性肝炎」の予防
自己免疫性肝炎の予防について、発症原因がいまだに明確でないことから、予防となるような対策もこれといったものがないのが現状です。自己免疫性肝炎とほかの肝炎が同時発症して、肝臓にさらにダメージを与えてしまうことのないよう、B型・C型肝炎といったウイルス性の肝炎にかからないよう気を付けて過ごす、脂肪肝を避けるために暴飲暴食を避ける(特にアルコールの肝臓への負担はかなり大きいものになります)、薬を服用するときは体調に留意し肝機能検査をこまめに受ける、といったことが挙げられるでしょう。
また、自己免疫性肝炎に伴う甲状腺の病気に関しては、現在のところこれといった予防法はありません。自己免疫性肝炎は早期診断・治療ができれば、比較的進行も緩やかで副腎皮質ステロイドによってうまくコントロールできることが多いとされています。もし万一、ご相談者さまに倦怠感や食欲不振、皮膚が黄色くなるといった症状が見られた場合は、ぜひ早めに内科専門医を受診するようにしてください。どうぞお大事に。
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