高血圧は遺伝するのでしょうか?父や祖父…
高血圧は遺伝するのでしょうか?
父や祖父は高血圧で、父は一度心臓の手術をしていますし、祖父も高血圧の薬を飲んでいます。また、祖母、叔父、そして祖父の兄弟も、くも膜下出血を経験しています。そのため、自分は食事に気を遣い、たばこも吸いません。ただ、いつか自分も症状を患うのではないか、またその際に入院やリハビリが長期にわたるのではないかと、とても心配です。
高血圧の遺伝についてお答えします。
生活習慣に気を遣いましょう
高血圧のなかにはごくまれに、単一の遺伝子により発症するものがありますが、ほとんどの場合は遺伝と生活習慣の組み合わせによって発症するものです。この場合の生活習慣とは、食生活、運動の習慣があるかどうか、ストレスや飲酒・喫煙の有無といった普段の生活全般を指します。つまり、いわゆる高血圧の家系であっても、生活習慣に気を遣うことによって、多くは高血圧の発症を防ぐことが可能であると考えられています。
ご相談者さまは食事に気を遣われ、喫煙もなさらないということですので、そのことは非常によいことだと思います。それに加えて、運動する習慣を身につけることができれば、高血圧を患う確率はより低くなります。高血圧を防ぐための運動としては、特に激しい運動を長時間する必要はありません。一日45分くらいの軽いウォーキングであっても、数カ月続けて行うことで、最高血圧を20mmHg、最低血圧を10mmHg以上下げる効果があるといわれています。
また、ご親戚にくも膜下出血を経験された方が複数いらっしゃるということですが、遺伝という視点から言うと、こちらのほうがやや心配です。くも膜下出血の8割程度は脳動脈瘤からの出血によるものと考えられています。この脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血は遺伝的な体質によるもの、つまり一般よりも高い頻度で一つの家系に発生する病気です。一般的なくも膜下出血の発生率は0.015~0.02%程度と低いのですが、2親等以内にくも膜下出血の方が一人いると、2~8%前後の発生率になると考えられています。
脳ドックなどで「脳動脈瘤」がないか確認を
また一般に、動脈瘤があったとしても破裂するのは1%以下であり、動脈瘤の直径が3mm以上のもの、娘瘤があって形がでこぼこしているものは破裂の危険が高いとされています。脳動脈瘤は脳ドックなどの検査項目にもあるMRA(MRIの技術を用いて簡単に血管撮影を行うもので、造影剤は使いません)で疑いがないか見ることが可能ですので、家族にくも膜下出血の患者がおられる場合は、一度脳ドックなどを受けられて脳動脈瘤がないか確認しておかれるとよいでしょう。もし、動脈瘤がない場合は5年おきくらいの検査でよいかと思います。
高血圧にかかる可能性を恐れすぎる必要はありませんが、生活習慣に気をつけて過ごされることでほかの多くの病気を予防できる可能性があります。まずはできる範囲で続けられるとよいですね。どうぞお大事に。
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