入社と同時に加入する公的保険とは?新生活にはどんな保険が必要?
新年度が始まり1週間が過ぎました。新しい生活をスタートされている方も多いのではないでしょうか?
新入社員の皆さんは、入社と同時に、社会保障制度である公的保険にいくつか加入します。
今回はそれら公的保険のなかでも、主に「年金」「労災保険」「雇用保険」の3つについて、どういった内容なのか、またそれ以外の保険も含めて気を付けておきたいことは何かについて順番にお話しします。
図1 公的保険の仕組み
※介護保険の被保険者は40歳以上
資料:執筆者作成
保障の手厚い「厚生年金保険」に加入
入社時には年金手帳、マイナンバーを提出したのではないでしょうか?この2つは主に厚生年金保険の加入手続きに必要なものです。
20歳以上の方は、既に国民年金に加入していましたが、今後は厚生年金保険に変わります。20歳未満の方は、初めての年金制度として厚生年金保険に加入します。保険料は、事業主と被保険者とが半分ずつ負担し、事業主が納付します。
年金制度に加入すると、将来の老齢年金だけでなく、現役時代も含め、ケガや病気などで障がいの状態になったときに障害年金、死亡した場合に遺族が遺族年金を受給することもできます(それぞれ条件があります)。厚生年金保険では、国民年金よりも保障が手厚くなります。
将来のためにも追納を
学生のときに、国民年金保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」を利用した方は、10年以内ならさかのぼって保険料を追納できます。将来の年金額を増やすには追納が必要です。余裕ができたときから、保険料を追納していきましょう。
業務・通勤のときの災害に「労災保険」、失業したときなどのために「雇用保険」
労災保険(労働者災害補償保険)は業務上や通勤中の災害を補償する保険です。保険料は全額事業主が支払うため、給料からは天引きされません。
図2 労働者の被災例
資料:執筆者作成
補償の対象となるかは個々のケースについて判断されるため、一概に「業務上・通勤中の災害だから労災保険の対象」とは言い切れません。ケガにつながりやすい業務であれば特に、労災保険の詳細を知っておくのも良いでしょう。
雇用保険は、失業時の生活保障の他に、育児休業や介護休業のときなどに給付金を受給することもできる保険です。「失業のときだけではない」と覚えておくと、困ったときの助けとなるかもしれません。
以上のように、入社と同時に新たに公的保険に加入します。そしてその保険料の支払いが必要な場合は、社会保険料の名目で給与から天引きされます。
図3 給与明細書(イメージ)
資料:執筆者作成
今回お話しした3つの公的保険の他に、皆さんは健康保険にも加入しています。これはケガや病気の治療を受けた際の費用負担が抑えられる保険で、生まれたときから加入していますが、入社に伴い新しい健康保険に加入します。
既に加入しているの?民間の保険も確認しておこう
もしものときに役立つ公的保険ですが、保障(補償)は十分なのか気になりますね。ケガや病気で治療を受けたときの出費、仕事を長期で休むときの収入減など、場合によっては負担が大きくなることもあります。
預貯金があればカバーできますが、特に入社して間もないうちは難しいでしょう。そんな不安には、民間の保険で備えることができます。医療保険やがん保険、就業不能保険などが、社会人として検討したい保険の例ではないでしょうか?
ただし、いきなり保険に加入するのではなく、まずは家族に連絡をとってみましょう。電話でもチャットでも構いません。あなたの知らない間に、親御さんがあなたを被保険者とする保険を契約してくれている場合などがあります。
保障内容については保険証券で確認できます。他にも、加入している保険会社のWebサービスが利用できれば、24時間いつでもサクッと確認できるでしょう。
もっと詳しく知りたい場合は、電話などで保険会社に問い合わせてみてください。気になる方は、契約者や保険料引落口座の変更についても相談してみましょう。
まずは入社と同時に加入した公的保険の内容を知っておき、次に、既に加入しているかもしれない保険を調べ、足りない部分に必要な保険をセレクトして、過不足なく備えましょう。
執筆者プロフィール
馬渡 初代マワタリ ハツヨ
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP
短大卒業後、外資系メーカーに就職。専業主婦を経て行政相談員として社会復帰するが、父の介護のため離職。無職中にお金の悩みを解消すべくFP資格を取得し、現在は笑いが絶えない終活セミナー、「数字が苦手な人の家計改善」ワークショップを中心に活動。生活密着型FP。
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- ※ 掲載日は2022年4月7日です。