所得補償保険の商品知識

●見落とされがちな「働けないリスク」に備えよう
我が国では、一家の大黒柱である世帯主の死亡・高度障害に備える「生命保険」を中心に保険加入される方が多い傾向にあります。その一方で、病気やケガ等によって働けない場合に備える所得補償保険は、保険先進国の米国と比べて、大変普及が遅れているのが現状です。
その理由は、病気やケガ等によって万一働くことができなくなった場合でも、最長1年6ヵ月は収入の約3分の2が健康保険の傷病手当金から支給されるという、充実した社会保険制度が背景にあるといわれています。しかし、はたして1年6ヵ月という期間でいいのでしょうか。もっと長い期間働けなくなる可能性もありますし、万一そうなってしまうことは人生における大変大きなリスクではないでしょうか。
特に自営業者等が加入している国民健康保険の場合は、傷病手当金の制度がありませんので、働けなくなるとすぐに収入減につながってしまう可能性が高いはずです。そのため「働けないリスク」に備えることの大切さは会社員の比ではありません。
●「働けないリスク」に備える所得補償保険
その「働けないリスク」に備えられる商品が「所得補償保険」です。商品によって免責となる傷病や期間等の条件は異なりますが、基本的な仕組みは医師によって就業不能状態と診断されると、就業不能状態から回復するまでの間、契約時に定めた一定期間は保険会社から保険金が支払われるというものです。そのため保険加入時における保険金の設定は、医療保険のように1日あたりいくらではなく、1ヵ月あたりでいくらという形になります。
●所得補償保険は補償期間の長さによって2つに大別
その所得補償保険ですが、補償される期間が1~2年程度の通常の所得補償保険と、若い時期から60歳や65歳まで補償されるような長期の所得補償保険の2つに大きく分けることができます。
前者の通常の所得補償保険は、大手の損害保険会社等で扱われています。また、後者の長期の商品は一部の損害保険会社や生命保険会社、それに商工会議所等が会員向けに行っている団体サービス等で扱われていることがあります。
●所得補償保険を活用する時のポイント
所得補償保険を活用する場合のポイントとしては、保険金額の設定と、補償期間の選択です。保険金額の設定は、保険会社から概ね勤労所得の6~7割が上限となっており、所得を超えた保険金額を設定することはできません。
また、補償期間のほうですが、補償期間の短い所得補償保険では、就業不能状態が長く続いた場合に途中で補償が切れてしまうことがあります。やはり長期間の「働けないリスク」に備えるためにも、できることなら対象となる補償期間が長い商品を選ぶほうがベターだと思います。

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コラム執筆者プロフィール
久保 逸郎 (クボ イツロウ) マイアドバイザー.jp®登録 - FPオフィス クライアントサイド代表
高校1年で中退し、大検を取得して大学に進学。卒業後は大手リース会社、外資系生命保険会社を経て、平成15年3月にファイナンシャルプランナーとして独立。
相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、年間100回を超えるセミナー講師や、マネー雑誌等への原稿執筆などを行っている。

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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 久保 逸郎
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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