2017.06.29
第3回 生命保険の見直しのタイミング(2)
前回は、主なライフステージでの見直しのタイミングについてまとめました。今回は、さらに注意すべき見直しのタイミングについてみていきましょう。
収入、支出に大きな変化があったとき
思わぬ収入が入ってきたときには、すでに加入している保険契約がある場合は、保険料の前納を検討してみましょう。
余裕がある場合は、一時払いのできる保険商品を将来のための貯蓄として新規で契約するのもよいでしょう。また、相続に備えて、保険に加入する方法もあります。
一方、「自己都合で退職し収入が減ってしまった」「自分や家族が病気、ケガで医療費の出費がかさんでしまった」など、収入・支出に大きな変化があったときに保険の見直しが必要になる場合があります。
例えば、掛け捨てではなく貯蓄性の高い「終身保険」や「養老保険」に加入し継続していたとします。現在の家計を考えると、保険料の支払いが負担になっているため、負担は減らしたいけれど今まで続けた保険の解約はしたくないというような場合、「払済保険」への変更を検討してみてはいかがでしょうか。
「払済保険」は、以後の保険料の払い込みを中止して、保険期間を変えずにそのときの解約返戻金をもとに保険金額が算出されます。そうすることで、現在の状況に合った保障に保険を見直し、家計に合った保険料の保険に振り替えるなどの検討ができます。
ただし、保険金額は元の契約の保険金額より小さくなり、各種特約を付加した契約の場合には、その特約部分は消滅するので、特に健康状態に不安があるなどで新規での保険加入が難しい方は、医療特約が消滅することに注意しましょう。
これ以外にも、一時的にお金が必要になった場合の「契約者貸付」や、保険料の払い込みが困難になった場合の「振替貸付」「延長保険」「特約解約」「減額」などの取り扱いがあります。詳しくは、各保険会社や、保険代理店などでご相談ください。
社会保険制度や税制が大きく改正されたとき
社会保険制度の主なものに「公的年金制度」「公的医療保険制度」「公的介護保険制度」「労働保険制度(労災保険・雇用保険)」があります。
公的年金制度には、老後生活のための「老齢年金」、障害で働けなくなったときの「障害年金」、死亡して残された遺族の生活のための「遺族年金」があります。
公的医療保険制度は、被保険者の病気・ケガ・死亡または出産などに関する保険給付を担っており、全国民が強制加入となる「国民皆保険体制」がとられています。
生命保険は、これらの社会保険制度を補完する民間の保険として開発され進化してきました。現在の社会保険制度が改正・変更されれば、その内容に沿った新しい保険商品が開発されます。
また、生命保険に加入し保険料を支払っている場合は、所得控除を受けることができます。年末調整や確定申告を行うことで、「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」を受けることができ、所得税・住民税が軽減されます。
社会保険制度や税制に変更がある場合は、その内容に沿った保険への見直しのタイミングといえるでしょう。
加入している保険の更新時期がきたとき
医療保険や死亡保険には「終身型」と「定期型」があり、さらに定期型には、10年・15年など一定期間を保障し契約を続けるには更新を必要とする「更新型」と、更新がなく契約時点から契約時に指定した年齢(60歳や70歳など)で保障期間が終了する「全期型」があります。一般的に更新型は、保険期間の終了後も健康状態に関係なく、これまでと同じ保障内容・保障額・保険期間で更新され、契約が継続される制度です。
更新の際、更新時の年齢、保険料率で再計算されるので、保険料は更新前より高くなります。契約者の申し出がなければ自動更新となりますので更新を希望しない場合は申し出る必要があります。
したがって、保険見直しは余裕をもって更新時の少し前までにしておきましょう。特に医療保険は現在の医療事情に合っている保険商品であるか、1入院の給付限度日数や手術給付金の支払い対象となる手術の種類などを確認しておきましょう。更新を検討するに際しては、終身保障の医療保険と比較して「一生変わらない保険料がいいのでは」と思う前に、10年先、20年先の医療技術はどうなっているのかを考えてみることも必要でしょう。
まとめ
生命保険の見直しのタイミングは、ご家庭の状況によって異なります。家計に無理のない保険見直しや、現在のご家庭の状況に合った保障であるかを定期的に見直すことをおすすめします。
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店舗で直接相談するプロフィール
- 大前 隆史おおまえ たかし
- ファイナンシャルプランナー
- 国内の大手生命保険会社に29年間在籍。そのうち12年間は社内の教育担当を務める。企業や教育機関からの依頼による、社会保険や民間保険に関する講演も多数経験あり。
- ※ この記載内容は、執筆者独自の見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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