子どもが「私立に行きたい!」と言いだしたときの家計チェックポイント
貯蓄が苦手。でも、子どもの頑張りを応援したい!そんなあなたにこっそり教える「やりくりの極意」です。教育資金は先が読めるもの。教育費の無駄遣いを防ぐ仕組みをつくることで、私立入学後のゆとりを築くことができます。私立受験を乗り切るために、今すぐに始めたい3つのことをご紹介します。
これからかかる教育費をシミュレーションする
夢は具体的にイメージして行動計画を立てることで、実現していきます。私立校に子どもを通わせるとどれだけのお金が必要になるのか、というお金の流れを整理しましょう。
私立受験の場合、受験対策の塾に入るというのが一般的です。小学校受験の場合は年中児の10月頃から、中学受験なら小学4年生頃から入塾することが多いようです。まずは、下記表「教育費シミュレーションシート(PDFファイル)」をプリントアウトして子どもの年齢を書き、近所の進学塾の費用を調べて書き込みましょう。金額は千円以下を切り上げて、万円単位で記載してください。
次に、志望校の学費を調べて、「何歳のとき」に「どれだけのお金がかかるのか」を整理していきます。学費情報はグーグル等の検索エンジンで「○○中学 学費」等で検索するとわかりますし、東京都等の一部の地域では「私立中学校の初年度納付金」「私立高校の初年度納付金」等の名称で、都道府県内の私立校の学費一覧を掲載している自治体もあるので、参考にされると良いでしょう。
★ 平成25年度 都内私立中学校の学費の状況
★ 平成25年度 都内私立高等学校(全日制)の学費の状況
将来の進学先の希望が固まっている場合は、その志望校の学費を書き込みます。明確な希望がない場合は、当コラム『No.2 家計に占める「学費・習い事」のボーダーラインはありますか?』の表2「学年別 教育費の推移(子ども1人にかかる1年間の教育費の平均)」を参考にしてください。
収入を3つの専用口座に分ける
私立受験を目指すご家庭に今すぐしていただきたいのが、「教育費口座」の開設です。そして、教育費の予算として「収入の15%(住居費と合わせて年収の40%以下が上限)」を毎月「教育費口座」に振り分け、学費、塾、習い事、部活動にかかる費用をそちらから支払うようにしてください。「教育費」と「生活費」、「教育費以外に使う貯蓄」を分けて管理することで、計画的に教育費を貯めることができます。
普段の生活費と分けて管理するのは、教育資金として使えるお金を明確にしておくためです。教育費は、他の支出に比べて財布の紐が緩みやすいもの。成績が下がったら塾に行かせたくなりますし、私立や公立の中高一貫校を狙える学力があれば、受けさせてあげたいと思うでしょう。有名進学塾は完全実力主義なので、上位校を目指すクラスに入るために家庭教師を雇ったり、塾のテスト対策のための個人塾に通ったりすることもあるようです。こういったことを考えても、予算をしっかり立てておくことが重要です。
面白いデータがあります。国の教育ローンを利用している家庭の高校・大学に支払った教育費(日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果 平成24年度」)と一般的な教育費データ(文部科学省「子どもの学習費調査(学習費総額、私立)」「私立大学初年度納付金(私立文系)」)を比較したものです。
教育ローン利用世帯の 教育費支出(平均) |
私立高校・私立大学(文系) 年度別学費(平均) |
|
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★高校1年生 | 144万7,000円 | 108万1,741円 |
★高校2年生 | 96万6,000円 | 80万9,482円 |
★高校3年生 | 96万6,000円 | 86万4,020円 |
★大学1年生 | 244万3,000円 | 115万3,279円 |
★大学2~4年生(年) | 114万9,000円 | 90万2,369円 |
※私立大学(文系)の場合は学校外学習費を含みません
これをみると、教育ローンを借りている世帯の教育費支出は私立高校、大学における実費を上回っており、教育費の支出のコントロールは難しいようです。予算を立てて、余裕のあるうちにしっかり蓄え、私立入学後のスクールライフの基盤を作りましょう。
予測年間教育費と収入の15%、過不足を計算する
最後に、教育費シミュレーションシートに書き出した金額が、年収の15%以下に収まっているかを確認しましょう。そして、教育費の予算オーバーが私立入学後にわかった場合は、教育費以外の生活費を見直したり、年収を上げる行動をとるなど、収支を改善する策を検討していきましょう。経済面を考えての志望校の見直しや特待制度の活用等に関しても、親子で話し合って決めてください。
筆者のコンサルティングを受けたご家庭のなかには、実際にどれくらいの費用がどのタイミングで必要になるかを理解できたことで、夢を実現された親子もいらっしゃいますし、別の夢を追いかけられるようになった親子もいらっしゃいました。いずれのケースも現実を正しく直視することで、教育に使える費用(予算)が明確にわかってよかったとおっしゃっていました。
将来の教育費を予測し、早い段階から年収の15%を教育費口座に振り分け、無理のないよう計画的に教育費を準備していきましょう。
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コラム執筆者プロフィール
柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき) -
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。
相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。
家計アイデア工房 代表
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますので御注意ください。
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