新年度に向けて「長期計画(ライフイベント表)」をつくる2つのコツ
家計簿をつけているけど、なかなかお金が貯まらない。大きな買い物をするときは、いつもローンに頼ってしまう・・・。新年度に向けて、こんな生活からさよならしたいと思ったなら、ライフイベント表を作ってみてはいかがですか?ライフイベント表とは、各年に予定している出来事(教育進路等のイベントや希望)と、それを行うために必要な資金を書き込む表のことです。これを作ると、その年に支払う大きなお金がはっきりわかるので、日々のやりくりや資産づくりの目安になりますよ。
紙と鉛筆を用意して、ライフイベントを書き出そう
家計管理の基本は「家計簿をつけること」。でも、長続きしなかったり、節約効果があらわれなかったりする場合があります。
なぜだかわかりますか?それは・・・
家計簿をつけること自体が目的になっている
からです。収入と支出をやみくもに書いているだけでは、家計は改善しません。明確な目標があってこそ、人は工夫をするし、面倒くさいことも続けてみようと思うのです。
たとえば、「5年後に3,000万円のマンションを買うぞ!」という目標があるとしましょう。すると、頭金として、いくら貯めておかなければいけないかを考えます。「貯金が貯まったら買おうかなぁ~」では、いつもと同じ暮らし方をしてしまいがちですが、期日(5年後)までに何を買うか(3,000万円のマンション)が決まったら、それまでに用意する金額が見えてきます(「物件価格の2割、600万円を貯めよう!」等)。そうなると、それを5年間で貯めるには、毎月どれだけ貯金すればいいのかがわかり(「1年で120万円だから、月5万円にボーナスで、半年で60万円貯めればいいね!」等)、それを捻出するために減らせる支出はないか、家計簿とにらめっこしながら真剣に検討するはずです。
人間は自分に甘い生き物です。いつまでに、どれだけの資金を用意しなければならないのかがわかっていないと、散財はなかなか直りません。ライフイベント表は、そういうゴールを明確に描けていない場合に有効なツールなのです。
ライフイベント表の書き方は表1のとおりです。
西暦、経過年数、家族年齢を記入して、家族それぞれのイベント(その年に起こりうる出来事や目標等)を書き込みます。
予想されるライフイベントには、次のようなものがあります。
- ★ 子どもの進学や習い事の計画(例/2020年、長男 私立中学入学等)
- ★ 子どもの結婚(資金援助を予定している場合)
- ★ マイホーム取得
- ★ 自宅の増改築
- ★ 自動車や家電品、パソコン等の買い替え
- ★ 旅行
- ★ 資格取得
- ★ 転職・独立開業
- ★ 引越し
- ★ 趣味関連のイベント(例/2015年、ホノルルマラソン挑戦等)
お金のことは考えずに、思いつくまま希望を書き出していきましょう。パパのイベント、ママのイベント、家族みんなのイベント・・・のようにそれぞれの希望を分けておくと、さらにわかりやすくなります。
物価上昇率を加味した「将来価値」を書き込む
イベントを書き込んだら、どれだけのお金が必要なのかを調べます。子どもの教育費に関しては、統計データ(表2)を参考に記入します。ここに通わせたいという学校がはっきりしている場合は、学校に直接問い合わせるか、そこに通っている子どもがいるお母さんに聞いてみることをオススメします。それは、よりリアルな数値が分かっているほうがやる気が出るからです。
1年間にかかる学校別学習費の総額 | ||
---|---|---|
公立 | 私立 | |
幼稚園 | 24 | 49 |
小学校 | 31 | 143 |
中学校 | 46 | 130 |
高校 | 39 | 97 |
- ※ 文部科学省「平成24年度 子どもの学習費調査」より抜粋
- ※ 千円以下は切り上げ
イベントにかかる資金を記入する際に注意してほしいのは、「現在の必要資金額(現在価値)」から「将来必要となる金額(将来価値)」を算出して、将来価値で合計額を出すことです。現在100万円のものであっても、10年後は物価が上昇して110万円になっていたり、逆に、デフレで90万円の資金で済んだりということがあります。今よりもどれくらい物価が上がるか(または下がるか)を正確に予測することはできませんが、政府の経済シナリオ(内閣府「中長期の経済財政に関する試算」)によると、消費者物価上昇率は、概ね2年程度で前年比2.0%程度まで伸ばし、その後1.2~2.0%で物価が推移するように、目標が設定されています。
今回作成するライフイベント表では、物価上昇率が1.2%と2.0%の2種類の終価係数を用意しました。「予算」の下段に現在価値を記入したら、その年の終価係数を乗じて将来価値を算出してください。
- ★ インフレにしっかり対応したい場合の物価上昇率・・・2.0%
- ★ ゆるやかなインフレを想定する場合の物価上昇率・・・1.2%
将来価値がわかったら、ライフイベント表の「予算」の上段に金額を書き込みます。それぞれの家族の予算を各年単位で足し合わせた合計が、その年に必要な資金です。こうやって表に書き込むことで、いつまでにどれくらいのお金が必要になるかがはっきりと実感できるはず。表を作ったことで、夢と現実のギャップに呆然とすることもあるかもしれませんが、そこに気付くことこそが、家計見直しの第一歩となるのです。
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コラム執筆者プロフィール
柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき) -
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。
相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。
家計アイデア工房 代表
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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