8
大学生の子どもの「国民年金」どうしていますか?
掲載日:2017.10.23
「年金は老後のためだけのもの」と思っていませんか?国民年金は、年をとったときに受け取ることができる「老齢基礎年金」の他にも、病気やケガで障害が残ったときに受け取ることができる「障害基礎年金」や、家族の働き手が亡くなったときに受け取ることができる「遺族基礎年金」の、3つの保障機能がある優れた公的保障制度です。
では、収入がない大学生は、国民年金の支払いをどうしているのでしょうか?
20歳になったら送られてくる国民年金の加入案内
国民年金制度は、基本的に日本国内に住む20歳~60歳の全ての人に加入義務があります。つまり、収入がない大学生であっても20歳になったら「国民年金加入手続きのご案内」が送られてきます。原則として、国民年金に加入し、保険料(2017年度は16,490円)を支払わなければなりません。
しかし、アルバイトをしていても学生が毎月保険料を支払うのは厳しいため、「学生納付特例」という制度があります。学生納付特例制度は、20歳以上であっても所得が一定以下の学生については申請することにより、在学中の納付が猶予される制度です。あくまで猶予であり、免除ではないので、後で保険料を払う「追納」をしないと、将来受け取る老齢基礎年金が減額されてしまいます。
筆者の息子も、学生納付特例制度を利用しました。自分自身の年金である自覚を持たせたいと思い、親子での話し合いの上で、あえて息子自身に申請の手続きをさせました。
この制度を利用する場合は、社会人になったときに、学生の間猶予されていた分も含めて自分で保険料を支払わなければならないということを、はじめにお子さまとよく話し合っておきましょう。
<学生納付特例の注意点>
- ・納付が猶予された保険料は、後から納める(追納する)ことが可能
- ・追納しないと年金額に反映されず将来の年金額が減額される
- ・追納は10年以内であれば可能だが、3年度目以降は保険料に加算額が上乗せされる
- ・特例の利用には、アルバイトなど収入がある場合、本人の所得基準がある
- ※前年度の所得が【118万円+扶養親族の数×38万円+社会保険料控除】以下であること
学生の国民年金保険料納付状況について
学生の国民年金保険料納付状況
資料:厚生労働省「平成26年国民年金被保険者実態調査結果の概要」をもとに執筆者作成
上図から、学生の国民年金保険料納付状況をみると、学生納付特例制度の申請をして、納付を猶予されている方が66.0%と最も多いことがわかります。一方、納付者は22.2%で、学生の親が保険料を負担しているか、学生自身のアルバイト代などで納付をしているものと思われます。9.1%の滞納者のなかには学生納付特例制度を知らない方がいるのかもしれません。
国民年金の加入手続き
(1)基本の加入手続き
お子さまの20歳の誕生日が近づくと「国民年金加入手続きのご案内」が管轄の年金事務所から届きます。同封されている書類「国民年金被保険者資格取得届書」を、誕生日前日から14日以内に、住民票のある役所の国民年金課か管轄の年金事務所に提出します(郵送も可能)。後日、年金手帳と国民年金保険料納付書が別々に届くので、保険料の支払いをして納付完了となります。
次に実際に我が家が行った学生納付特例の手続きをお話しします。
(2)保険料の学生納付特例
学生納付特例制度を利用する場合には、加入手続きとして「国民年金被保険者資格取得届書」を提出する他に、猶予手続きとして「国民年金保険料学生納付特例申請書」の提出も必要となります。
申請後承認された場合には、しばらくすると管轄の年金事務所より「承認通知書」が届きます。年金手帳と保険料納付書も別々に届きます。届いた納付書は納付期限から2年間はこれで支払が可能なため、追納の際に使用できるのでお手元に保管されることをオススメします。
申請は年度毎に必要であることに注意しましょう。次年度以降は、管轄の年金事務所から「国民年金保険料学生納付特例申請のご案内」というハガキが送られてくるので、学生納付特例申請書部分に記入して返送すると申請手続きが完了します。
我が家の場合は、息子が2月生まれのため、初年度の申請手続き完了に年度末近くまでかかりました。翌年度の手続きはハガキが送られてくるのを知らずに自分から申請に行ったため、余計な手間がかかったということもあり、参考になれば幸いです。
(3)手続きをしなかった場合
重要なのは、20歳になったら保険料を払えても払えなくても、まずは加入手続きを行うことと、払えない場合には学生納付特例の申請の手続きを併せて行うことです。
理由は、学生納付特例制度の承認を受けている期間、保険料の支払いをしていなくても保険料を支払ったものとして扱われ、病気やケガで障害が残ったときに障害基礎年金を受け取ることができるからです。
滞納の状態で万一病気やケガで障害が残った場合には、障害年金を受け取ることができない可能性があります。親としても、お子さまのために押さえていただきたいところです。
納付特例申請をしていなかった際、最大2年1カ月までさかのぼり猶予が受けられますが、申請が遅れると、やはり万一の場合に障害年金が受け取れない場合があります。
海外へ留学した場合はどうなるの?
海外の大学等に留学をしている学生の場合、任意加入した上で保険料を納めれば万一の際には障害基礎年金が支給されます。ただし、任意加入しない場合、海外在住期間は受給資格期間にカウントされますが、年金額には反映されません。また、学生納付特例制度の利用はできません。
詳しくは、日本年金機構に問い合わせてみましょう。
親が立替払いをするという選択も
学生であり定収入もないお子さまが自分自身で支払いをするのは厳しいというのは、筆者自身、実際に親として感じるところです。3年度目以降に追納すると保険料が高くなるので、お子さまの将来の負担を少しでも軽減してあげたい場合は、立替払いをする選択もあります。
その際、お子さまの保険料を親が支払うことで、親の所得控除とすることができ、結果として節税につながるメリットがあります。
お子さまより収入が高く所得税率の高い親が支払ったほうが社会保険料控除で戻ってくる税金が多くなるでしょう。
また、保険料をまとめて前払い(前納)すると保険料が安くなります。2017年7月現在では、2年間で15,000円程度の割引となっています。
もし、親が代わりに国民年金保険料を支払う場合、数年後、お子さまが収入を得るようになったときに分割で返済してもらうなど、今後のことも話しておきましょう。
以上、大学生の国民年金についてみてきました。学生の納付特例を利用する場合もしない場合も、親子で手続きを確認してお子さま自身で手続きをされることをオススメします。その際、国民年金制度についても改めて家庭内で話しておきたいですね。
子どもが大きくなったら保険の見直しを検討しよう
万一の場合に備えて、死亡保険などお子さまの学費や生活費をカバーするための保険に加入していたという方も多いのではないでしょうか。
保険は、万一のときにどのようなリスクがあるかを踏まえて、定期的な見直しが必要です。
お子さまが大学生ともなれば、独り立ちが近づいてきているということですね。保険の見直しをするのに就職する前がちょうど良いタイミングだといえます。今後必要な保障がどのようなものかを考え、必要に応じて保険の一部解約や特約の途中付加、乗り換えなどを検討しましょう。
これまで支払っていた保険料を抑え、老後の貯蓄にあてるということも考えられますね。まずは一度保険のプロにご相談ください。
育児中の今こそじっくり比較
学資保険ランキングお子さまのために貯蓄の計画を
店舗でプロに相談する加藤 葉子
カトウ ヨウコ
- 女性とシングルマザーのお金の専門家
- 離婚を機にお金の勉強を始め、3年間で子どもの教育費を貯める。自身のブログ「女性とシングルマザーのお金の話」に全国の女性から切実なお金の相談が寄せられ、NHKのWEBコラム執筆を機に独立。3年間で1,500件以上の相談を受けている。現在は、女性ファイナンシャルプランナーのための実務講座やオンライン講座を配信中。
マイライフエフピー代表
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
今すぐ相談したい方はこちら
メルマガ登録をして保険市場がご案内する各種コラムの更新情報やお得なキャンペーン情報を受け取ろう!
ご登録アドレスは大切にお預かりし、保険市場メールマガジンの配信にのみ利用します。