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子育てと仕事を両立するために利用できる制度と働き方を変えたポイント

掲載日:2018.11.26

近年、共働き世帯は増えており、小さな子どもを抱えながら働く人も増えています。筆者は1人目の子どもの出産後2カ月半で元の職場に復帰しましたが、残業ばかりで子どもと接する時間が非常に少ない生活となってしまいました。寝不足や疲労からイライラし、子どもにも辛い思いをさせてしまったものです。そんな生活を続けることで体調を崩してしまい、休職することにもなりました。その経験からママとしての働き方について考えるようになりました。

子育てと仕事の両立に悩むママのために、利用できる制度や働き方を変えるポイントなど、筆者の体験をもとにご紹介していきます。

ママの子育てと仕事の両立を助けてくれる制度

(1)制度の内容と利用

育児中の女性は出産前と同じように働くということが難しい場合が多いため、労働基準法や育児・介護休業法などの法律によってさまざまな制度の利用が認められています。

産後に働くママが活用できる制度(平成30年現在)
※スクロールで表がスライドします。

制度 内容 期限
労働基準法 育児時間 生後1年に達しない子どもを育てる女性は、1日2回各々少なくとも30分間の育児時間を請求できる。 子どもが1歳になるまで
育児
・介護休業法
育児のための短時間勤務 子どもを養育する男女労働者について、事業主は短時間勤務制度(1日原則として6時間)を設けなければならない。 子どもが3歳になるまで
所定外労働(残業)の制限 子どもを養育する男女労働者が請求した場合には、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはならない。
時間外労働・深夜業の制限 子どもを養育する男女労働者が請求した場合には、事業主は1カ月で24時間、1年間で150時間を超える時間外労働や、午後10時~午前5時までの深夜労働をさせてはならない。 子どもが小学校に入学するまで
子の看護休暇 子どもを養育する男女労働者は、事業主に申し出ることで、年次有給休暇とは別に1年間で5日(子どもが2人以上なら10日)まで、病気・ケガをした子どもの看護や、子どもに予防接種および健康診断を受けさせるために休暇を取得できる。

資料:厚生労働省ホームページをもとに執筆者作成

育児・介護休業法による制度は、職場のルールにより、正社員でも職種や勤続期間によっては利用できない場合があります。また、パートやアルバイトでも条件に該当すれば利用できますので、職場の担当者や就業規則などを確認しておくと良いでしょう。もし、職場の就業規則などに定めがない場合でも、労働者が請求することで制度を利用することができます。

これらの制度を利用した際の賃金は、就業規則などによって取り決められています。
手続きは基本的に利用開始の1カ月前までに所定の書類を提出し、申請しなければならないので、制度の利用時は、職場の担当者に確認しましょう。

(2)所定外労働の免除制度を利用して両立が可能に

筆者の場合、職場の就業規則にこれらの制度は定められていたのですが、上司は認識されておらず、筆者も知識がなく就業規則を確認していなかったため、せめて残業は少なくしたいという希望を上手く説明できませんでした。しかし、担当部署に問い合わせてみたら「所定外労働の免除」を願い出ることができると分かり、申請書類の準備をして、上司にも希望を伝えることができました。残業がなくなって生活は大きく変わり、育児と仕事の両立が可能となりました。

(3)育児時間を利用して家事時間をやりくり

2人目の子どもの出産後は、家庭の事情でやむをえず産後5カ月から新しい職場で働き始めたので、勤続期間などの条件を満たせず、育児介護休業法による制度は利用できませんでした。しかし、労働基準法の「育児時間」制度の利用について相談したうえで入社し、育児時間2回各30分の合計1時間をまとめて昼休憩1時間と合わせることで、勤務中に2時間自宅に戻って家事などをすることが可能となりました。帰宅後は時間に余裕を持って子どもに接しながら、子どもが1歳になるまでに新しい職場に徐々に馴染む期間をとることができました。

自宅と職場が近いからできたことですが、育児時間の利用方法は当事者間に任されており、就業中に利用することも可能です。業務内容やライフスタイルに合わせて工夫してみるのも良いでしょう。

家計と仕事のバランス

(1)考え方の転換

以前は「家計を赤字にしないためには、できるだけ働かなきゃ」と収入を落とさずに働く方法ばかりを考えていましたが、2人目の子どもの妊娠がわかったことをきっかけに今までどおりの働き方が自分の望む形なのか改めて考え直し、家計と向き合うことにしました。結果、家計を見直すことで月6~8万円分の支出を削減でき、働く時間を短縮するという選択肢をとることができました。

(2)家計への影響

働く時間を短縮すると、どれぐらいお給料が減ってしまうのかが心配になるでしょう。実際に筆者が育児時間制度を利用した際には、職場の就業規則で「無給」という取り決めだったため、短縮した時間分、減給となりました。
制度利用時は、減給額をイメージしておくことで、必要な家計の見直し金額がわかります。

ただし、子どもが小さいうちは予想外の欠勤が多くなる場合もあるので、余裕をもっておくと良いでしょう。実際、筆者の場合は、子どもの体調不良で1カ月に5日欠勤という月もありました。

<例:月給20万円、労働時間8時間、勤務日数20日の場合>

  • ・1時間の時間短縮勤務の場合の減給額
  • 日給=月給20万円÷勤務日数20日=1万円
  • 時給=日給1万円÷労働時間8時間=1,250円
  • 減給=時給1,250円×勤務日数20日=2万5,000円
  • 給料=月給20万円-減給2万5,000円=17万5,000円
  • ・1時間短縮勤務+5日欠勤した場合の減給額
  • 減給=欠勤分5万円+時間短縮分1万8,750円=6万8,750円
  • 給料=月給20万円-減給6万8,750円=13万1,250円

ママでも働き続けられる

ママが働き続ける上で、同僚に気を遣う場面が増えてくることでしょう。筆者の場合は「将来、周りの人たちに返していけばいい」と言ってもらえたことで、心が軽くなったことがあります。迷惑をかけてしまうこともあると思いますが、その分何を返していけるか考えてみると良いでしょう。

子育て中の転職は、転職活動中無給になる可能性に加え、時間的にも体力的にも大変です。継続して働くことはこれらの制度を利用でき、キャリアを失わずに働き続けられるというメリットがあります。働き方に悩んだときには退職を選ぶ前に、働き続けられる方法を周囲の人に相談してみましょう。

子どもと一緒に過ごせる時間は貴重です。家族や周囲の人などに協力してもらうなどして、1人で抱え込まず、後悔のないように働き方を選択していけるといいですね。

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コラム執筆者プロフィール

高梨子 あやのの写真

高梨子 あやの

タカナシ アヤノ

看護師/AFP
北海道在住、2児のママ。産休後の復職や出産前の退職など、お金のことに振り回された経験をきっかけにお金の勉強を始める。病院で予防接種外来を通して母子支援を行いながら、家計のことや育児と仕事の両立に悩む女性の相談や、教育費の貯め方のマネー講座で活動中。
フルフィリングデイズ代表
  • ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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