働く女性のなかには、妊娠や出産を機に退職という選択をする人もいらっしゃるでしょう。
筆者の場合は、2人目の子どもの出産を控えて、それまで勤めていた職場を退職しました。さらに、出産前にもかかわらず、離婚をすることになったため、子どもを1人で育てていけるよう、退職からあまり期間を空けずにフルタイムでの再就職を決意しました。
生まれたばかりの子どもを抱えての就職活動には不安を感じていましたが、さまざまな制度を利用し、再就職することができました。これから筆者の体験をご紹介していきます。
<お伝えしたいポイント>
- ・雇用保険の手当を上手に活用しよう
- ・就職活動を始める時期は慎重に判断しよう
- ・早期に就職するメリットとは
- ・子育てママにはマザーズハローワークの活用がオススメ
- ・子どもの預け先を探しておくこと
子連れでの就職活動で大変だったこと
(1)就職活動のための費用
シングルマザーになったため、仕事が決まるまでの生活費、雇用保険の手当や受給時期を予測した上で就職活動を始めましたが、就職活動中には想像以上にさまざまな費用がかかってしまいました。
例えば、ハローワークや面接へ行くための交通費、履歴書やその写真代、面接対策の身だしなみとして美容室代や被服費なども必要でした。また、内定後の備品や参考書、保育園の入園準備などにも費用がかかりました。
(2)子連れでハローワークへ
育児や家事の合間に時間を取って求人情報を探すということが、想像以上に大変でした。雇用保険の手続き上、何度もハローワークに行かなければならず、長時間の移動による子どもへの負担が気になり非常にストレスを感じたものです。
(3)就職活動と並行して保育園探し
小さい子どもを抱えての再就職は、保育園に入園できるかが大きな問題となりました。就職活動中に保育園に提出する書類の手続きや事前の面談などがあり、さらには慣らし保育が完了していない間に再就職が決まったため、非常に慌ただしくなってしまいました。
就職活動をする前に知っておきたいこと
(1)失業中の手当
失業期間中で雇用保険の受給条件を満たしていれば、就職活動中の基本手当として、退職前の賃金と年齢をもとに決まる「基本手当日額」を、雇用保険に加入していた期間や離職の理由、年齢によって決まる「所定給付日数」の分、受給することができます。原則として4週間ごとの「失業認定」というハローワークでの手続きを経て、経過日数分を分割して支給される仕組みです。
- ・基本手当日額=退職日の直前6カ月の賃金日額(賞与等は含まない)×5~8割
- ・基本手当=基本手当日額×支給日数
筆者の場合、自己都合退職で勤続年数9年のため所定給付日数は90日、基本手当日額は退職日の直前6カ月の賃金日額の6割で約6,000円でした。基本手当の受給開始から52日で就職し、総額で約31万円の基本手当を受給しました。
通常の自己都合退職の場合は、7日間の待期期間終了後から3カ月の給付制限があるため、すぐに基本手当を受給することができません。しかし、出産や育児など正当な退職理由の場合には、給付制限はありませんので、筆者は最初の手続きから約1カ月後に基本手当を受給でき、生活費や就職活動の費用にあてることができました。
(2)雇用保険の受給期間延長手続き
基本手当を受給できる期間は基本的に退職日の翌日から1年間ですが、出産や育児、介護などの理由で退職したときは、すぐに働くことができないため「受給期間延長」の手続きをすると最大4年まで延長されます。
ただし、申請可能な期間内でも申請が遅い場合には、所定給付日数のすべてを受給できない可能性がありますので、申請する時期には注意が必要です。なかなか働ける状況にならないときは、焦らず早めに延長の手続きをしておきましょう。
(3)早期に再就職が決まった場合にも手当がある
雇用保険には基本手当の他にも受給できる手当があります。
資料:ハローワークホームページをもとに執筆者作成
筆者の場合は、所定給付日数90日のうち3分の1以上の38日を残して再就職したため、「再就職手当」を受給できました。再就職手当は支給残日数(所定給付日数のうち残った日数)が3分の1以上の場合は残った基本手当の6割、3分の2以上の場合は7割と、より早く就職した方が再就職手当の受給割合が高くなります。
図 再就職手当の算出方法(筆者の例)
資料:執筆者作成
再就職手当と再就職先でのお給料を同時期に受給できたため、家計にはプラスになりました。
実際に働き始めると、子どもの体調不良で半月も欠勤するということもあり、お給料がその分少なくなりました。しかし、早期に就職したからこそ就職して6カ月後に「就業促進定着手当」を受給でき、生活費を補てんすることができました。
(4)マザーズハローワーク
マザーズハローワークでは、子育てをしながら就職を希望している方に対して、総合的な就職支援が行われています。子育てと仕事の両立がしやすい求人を紹介してくれる他、授乳室やキッズスペースなども設けられていて安心して利用できました。また、相談予約ができるため、家事や保育園のお迎えなどで時間が限られているときにも便利でした。
さらに、無料託児付きのセミナーを受けられる場合もあり、面接対策や履歴書の作成方法など再就職に向けて学ぶことができ、子連れママにとってはとてもうれしい施設だと感じました。
(5)子どもの預け先
例えば、子どもの保育園がまだ決まっていないうちに就職面接に呼ばれたときは、子どもの預け先が必要になります。
筆者の場合は、ママ向けの求人だったためか、応募した会社の方から「面接時は、お子さまも一緒にどうぞ」と言っていただけたことがありましたが、このような会社は少ないのではないかと思います。
一時保育やファミリーサポート、シッターなどは申込後すぐに利用できない場合があるので、前もって登録を済ませておくと良いでしょう。
子育てママは余裕を持ってスケジュールを組みましょう
子育てや家事をしながら就職活動をするのはとても大変です。筆者のように、就職活動と並行して保育園探しをすることもありえますので、必要な手続きや相談機関などの情報は早めに集めておきましょう。例えば、保育園が決まってからの入園準備や、入園後の子どもが保育園に慣れるまでの慣らし保育の期間もありますので、余裕を持ってスケジュールを組むことをオススメします。