雇用保険へ加入している方が、スキルアップのために「勉強したい」、「資格を取りたい」と思ったときに利用できる「教育訓練給付制度」があります。指定の講座を修了すれば、その後講座の費用の一部の補助を受けられるという、学習費用を抑えながらスキルアップを目指せる制度です。
教育訓練給付制度には、「一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」「教育訓練支援給付金」があります。今回は、筆者が働きながらファイナンシャルプランナーの資格を取得したときの体験と、活用した一般教育訓練給付金についてお伝えいたします。
スキルアッププランを作ろう
筆者がシングルマザーとなり不動産業の会社へ再就職後、不動産を購入する方のお役に立つお金の情報をもっと知りたいと思い、一般教育訓練給付金を利用してファイナンシャルプランナーの資格を取得しました。
- (1)資格取得までのプラン
- まず、資格取得までのプランを立てました。
子育て、家事、フルタイム勤務、といった状況なので限られた時間で効率良く勉強するために、資格取得のスクールの通学コースを選びました。ファイナンシャルプランナーの3級と2級の資格取得を目指すコースで7カ月間です。通学で学ぶ良い点は、既にスケジュールが決まっているので自分で計画を立てなくても良く、集中して勉強に取り組めることです。反面、費用がかかり、通学して勉強する時間を確保しなければいけません。資格によっては試験を年に1度しか実施しない、年に3回受験可能、などありますので、スケジュールを立てて無駄のないように取得しましょう。取得経験のある方に相談をしてみるのもいいですね。
- (2)勉強時間の作り方
- 子育て中のママは家事や育児、次から次へとやることがあると思います。
筆者の場合は、平日の通勤時間を勉強タイムにあてていました。週末にまとめて勉強することは現実的に難しかったので、通勤時間を利用しました。通勤電車が片道30分程だったので、毎日1時間、週に5日は確実に5時間を勉強にあてることができます。スクール通学中は、夕食の作り置き、両親にお願いをしてその間は子どもたちを見てもらうなどの工夫をして、勉強開始から受験までを乗り切りました。あとは、スキマの時間を見つけてどんどん勉強時間に利用しました。
- (3)仕事で活用できる資格の取得がおすすめ
- 今の仕事と関係したスキルアップをすることは、お仕事へさらに深い知識と自信が付きお給料アップにもつながります。会社によっては「資格手当」が支給される資格もあります。
例えば、宅地建物取引士の場合、資格手当1カ月30,000円という会社もあります。この場合、年間36万円の収入アップになりますね。
筆者の場合は、資格取得後に総務部へ異動、雇用関係を担当しました。ここでも、ファイナンシャルプランナーの知識が大いに役立ちました。これがきっかけで現在、ファイナンシャルプランナーとして独立をしています。
一般教育訓練給付金とは
自分のスキルアップのために、時間と費用を割くのはためらわれるママもいらっしゃるでしょう。費用を抑えるための制度として、筆者が利用した、一般教育訓練給付金の制度についてみていきましょう。
- 一般教育訓練に関する教育訓練給付金制度とは
- 働く人の主体的な能力開発の取組を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする雇用保険の給付制度です。
一定の条件を満たす雇用保険の被保険者(在職者)又は被保険者であった方(離職者)が、厚生労働大臣の指定する一般教育訓練を受講し修了した場合、本人自らが教育訓練施設に支払った教育訓練経費の一定割合に相当する額(上限あり)をハローワーク(公共職業安定所)から支給します。
※被保険者とは、一般被保険者および高年齢被保険者をいいます。
出典:厚生労働省「一般教育訓練の教育訓練給付金の支給申請手続きについて」より抜粋
希望の講座は検索システムでチェック!
取得したい資格・勉強したい分野が決まりプランができたら、「厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」で、一般教育訓練として指定された、給付金が利用できる講座を検索しましょう。分野、地域などの条件を指定すると、該当の講座を調べることができます。
- <一般教育訓練講座の一例>
- 宅地建物取引士、カラーコーディネーター、ケアマネジャー、ファイナンシャルプランナー、福祉住環境コーディネーター、医療事務、行政書士、インテリアコーディネーター、調理師、気象予報士、衛生管理者、マンション管理士・管理業務主任者、簿記2級など
一般教育訓練給付金の利用条件
この制度を利用するためには、大前提として雇用保険に加入していること、厚生労働大臣指定の一般教育訓練講座を受講することが条件となります。
雇用保険は、パートタイム勤務でも、原則「1週間の所定の労働時間が20時間以上あり、31日以上の雇用の見込みがあること」という条件に合えば加入することができます。
- (1)支給対象者
- ・雇用保険に加入中の方
一般教育訓練の受講開始日に3年以上加入している方 - ・雇用保険の加入者だった方(離職者)
一般教育訓練の受講開始日にすでに離職されている方は、離職日の翌日以降受講開始日までが1年以内で、かつ雇用保険に3年以上加入していた方
ただし、いずれの場合も初めて支給を受けるときは、被保険者期間が1年以上であれば利用できます。
- (2)支給額
- 厚生労働大臣が指定した一般教育訓練を修了した場合、教育訓練経費の20%相当額、上限10万円が支給されます。ただし、4,000円以下は支給されません。
受講の修了証明があれば、受験不合格の場合でも申請をすることで給付金を受け取ることができます。
- (3)支給申請手続き
- 受講修了日の翌日から1カ月以内に、ご自身の住所管轄のハローワークで支給申請手続きを行う必要があります。
1カ月を過ぎると申請の受付ができなくなりますので、書類等の提出期限には注意が必要です。
退職したママも利用できる!
平成30年1月より雇用保険の教育訓練給付金について、適用対象期間(離職日の翌日から受講開始日までの教育訓練給付の対象となり得る期間)が、最大4年から最大20年になりました。
例えば、被保険者資格を喪失した日以降1年のうちに妊娠、出産、育児、疾病、負傷などの理由により引き続き30日以上教育訓練の受講を開始できない日がある場合、ハローワークに申し出ることで、適用対象期間を、その受講を開始できない日数分(最大19年まで)延長することができます。
一時的に仕事から離れる期間があっても、また働く可能性があるなら、手続きをしておくことをおすすめします。