結婚して7年。お互い自営業がうまくいかずに、年金未納期間があります。主人は38歳のときにアルバイトから会社員になりましたが、平均の月収は、手当も含めて30万円ほどとなっています。ボーナスは今年からなくなり、手取りも5万円減となりました。将来もらえるであろう厚生年金も一般家庭に比べてとても少ないだろうと不安ばかりが募ります。貯蓄は現在450万円。これからの教育資金、老後資金が心配です。子どもに迷惑をかけず、老後2人で食べて暮らせるだけの最低限の生活ができるよう、できる限り老後資金を貯めたいです。
夫婦とも年金未納期間があり、老後が不安です。子どもに迷惑をかけないよう、できる限り老後資金を貯めたいです。
掲載日:2017年1月17日
石川県在住 井上 明美さん (仮名)
(家計状況)
家族構成 | 夫 | 44歳会社員 |
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妻(相談者) | 38歳パート | |
長男 | 5歳(保育園) |
毎月の収入 (手取り) |
夫 | 320,000円 |
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妻 | 40,000円 | |
その他収入 | 10,000円 | |
収入合計 | 370,000円 | |
毎月の支出 | 住居関連費 | 58,900円 |
食費 | 20,000円 | |
水道光熱費 | 15,000円 | |
通信費 | 19,000円 | |
医療費 | 2,000円 | |
雑貨・被服・理美容費 | 12,000円 | |
娯楽・交際費 | 3,000円 | |
小遣い(夫) | 35,000円 | |
小遣い(妻) | 0円 | |
小遣い(子ども) | 0円 | |
自動車関連費 | 13,000円 | |
保険料 | 31,300円 | |
教育費(保育園) | 34,000円 | |
教育費(塾・おけいこ) | 6,000円 | |
市・県民税 | 19,000円 | |
交通費 | 9,000円 | |
町会費 | 600円 | |
支出合計 | 277,800円 | |
収支金額 | 92,200円 |
その他の年間支出 | 50,000円 |
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現在の貯蓄額 | 450万円 |
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【保険の加入状況】
- 夫:
- 死亡保険
月額保険料 2,300円
保険金額300万円 - 収入保障保険
月額保険料 5,600円
月額給付金10万円(一括受取2,200万円)・65歳まで - 終身がん保険
月額保険料 1,800円
入院・通院日額5,000円/診断給付金50万円 - 終身医療保険
月額保険料 3,000円
入院日額5,000円 - 共済
月掛金 3,000円
入院日額5,000円/手術給付金5万円/後遺障害600万円 - 妻:
- 死亡保険
月額保険料 1,200円
保険金額300万円 - 終身医療保険
月額保険料 2,000円
入院日額5,000円/手術給付金10万円/先進医療保障1,000万円 - 終身がん保険
月額保険料 1,600円
入院・通院日額5,000円/診断給付金50万円 - 子ども:
- 学資保険
月額保険料 10,800円
満期保険金額200万円
【住宅ローン】
- 借入残高
- :1,100万円
- 変動金利
- :1.075%
- 返済額
- :52,479円/月
- 完済予定
- :2037年4月
ねんきんネットに登録し、年金見込額を試算してみましょう。貯蓄方法は工夫できます。自助努力による老後のための資産づくりを開始しましょう。
(ファイナンシャルプランナー 橋本 絵美からのアドバイス)
年金未納期間があり、老後の経済状況がご不安とのことですね。お子さまもまだ小さいので教育資金についても気になるところでしょう。
心配されている年金支給見込額は、日本年金機構の「ねんきんネット」に登録し、年金見込額を試算することで、簡単に知ることができます。今までの加入実績が反映された上で現在の働き方が続いた場合の支給見込額を知ることはもちろん、今後の働き方の変化による試算も可能です。
一般的に老後の費用については公的年金だけで賄うのは難しいと考えられています。そのため自助努力によって老後資金を準備しなければいけません。いくら準備が必要かはお金の使い方によって人それぞれですので、ここでは老後資金準備の方法を3つご提案します。
【準備1】老後も働き続けられる環境をつくる
老後資金の準備は定年までに資金を用意することだけではありません。年金が支給されるまでの間、どのような働き方ができるのかを確認することも大事なことです。ご主人は老齢厚生年金が支給開始になる65歳で定年退職となるのか、60歳定年で65歳まで再雇用制度を利用することができるのかを確認しましょう。
さらに65歳以降についても継続的に就労収入があると家計にとって大きなプラスとなります。老後も働いて収入を得るために、今のうちに資格やスキルを身に付けておくなど準備しておくとよいかもしれません。
【準備2】保険で蓄える
個人年金保険や貯蓄タイプの保険を利用することで、老後資金を準備します。積み立て感覚で確実に蓄えられることと税制面で優遇が受けられることが特長です。
例えば、新たに「個人年金保険料控除」の対象となる個人年金保険に加入した場合、最大で所得税の課税所得で4万円、住民税の課税所得で2.8万円の所得控除を受けることができます。
個人年金保険料控除の対象となるにはいくつか条件がありますので、保険加入の際には保険会社などの担当者に、「個人年金保険料控除の対象になるものに入りたい」という意向を伝えておきましょう。
控除を受けるための手続きは「一般生命保険料控除」と同様です。勤務先に生命保険会社が発行する「生命保険料控除証明書」を提出し、年末調整で控除を受けます(ほかに医療費控除などを申請しない場合)。
貯蓄タイプの保険には「低解約返戻金型終身保険」があります。一般的に、保険料の払込期間中の解約返戻金を低く設定することで保険料を抑え、貯蓄性を高めた保険です。死亡保障を確保しつつ貯蓄目的にも利用できます。
保険料の払込期間中に解約をすると、解約返戻金が払込保険料総額より少なくなってしまいますが、払込期間を過ぎると返戻率が上がる仕組みになっています。老後資金だけでなく、教育資金づくりとして利用することも可能です。解約せずに据え置くと年々返戻率が上がるので、払込完了後、資金の必要なタイミングで解約するとよいでしょう。
【準備3】確定拠出年金で蓄える
確定拠出年金制度はご存じでしょうか。自営業の方や企業年金に加入していない会社員の老後の資産形成を目的としてできた制度で、公的年金(国民年金と厚生年金保険)の上乗せの給付を保障する私的年金の一つです。毎月掛金を積み立てて、運用しながら老後に備えます。2017年1月より制度を利用できる対象範囲が拡大になり、企業型確定拠出年金に加入している会社員や主婦の方なども、個人型確定拠出年金に加入することができるようになりました。
確定拠出年金を利用する最大のメリットは税制優遇が受けられること。掛金は全額所得控除の対象になります。また、運用によって利益が生じたときもすべて非課税となります。老後受け取る際にも退職所得控除や公的年金等控除を受けることができます。
確定拠出年金の注意点は60歳まで引き出すことができないことです。それゆえに確実に貯めることはできますが、積み立てている期間中にお金が必要になっても取り崩しはできないので、計画的に利用しましょう。確定拠出年金には、銀行や証券会社、生命保険会社などの金融機関で加入することができます。
『つもり貯金』で余裕のある教育資金づくりを
次に教育資金についての基本的な考え方を押さえておきましょう。どうしても「聖域」になりがちな教育費ですが、基本は幼稚園から高校までの教育費は月々の収入の範囲内で賄うことです。そして、まとまった支払いが必要で金額的にも月々の収入で賄うのが難しい大学進学のための資金を準備しておくことが重要です。
大学進学にかかる費用は国公立大学に自宅から通った場合で、入学費用として約81.9万円、在学費用として毎年約93.9万円となっています(日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」平成27年度より)。
既にご加入中の学資保険の満期保険金200万円はちょうど入学費用と初年度在学費用にあてることができます。ただし、下宿した場合や私立に進学した場合はさらにかかることになりますし、国公立に進学したとしても次年度以降の学費は前期、後期ごとにまとまった金額が必要となります。余裕を持たせるためにはもう少し準備をしておいてもよいかもしれません。
ここでおすすめなのが、『つもり貯金※』です。今後お子さまが公立小学校に進学されると仮定しますと、必要な教育費は月平均にすると約26,800円です(文部科学省「平成26年度子供の学習費調査」より)。
現在の保育料より負担が軽くなりますが、その差額分を今後も払っているつもりで『つもり貯金』をするのです。そうすることでさらに余裕のある教育資金づくりができます。その際、先ほど【準備2】でご紹介した低解約返戻金型終身保険を利用するのもよいでしょう。
※「貯金」は郵便局にお金を預けることを指す場合もありますが、ここでは「貯金箱」などと同様に「お金を貯める」という意味で使用しています。
現在の家計状況は黒字で貯蓄ができています。余剰資金について、税制優遇のある確定拠出年金制度や個人年金保険、低解約返戻金型終身保険といった貯蓄性のある保険などを利用して、将来に向けての資産づくりをスタートさせてください。
コラム執筆者プロフィール
橋本 絵美(はしもと えみ)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士/お片付けプランナー
子ども10人の幸せ大家族を目指す、現在5人の子どもを持つママ ファイナンシャルプランナー。「子ども=お金がかかる」という考え方ではなく、子どもは宝であり、ママたちが安心してもう一人子どもを生めるようにサポートしたいという思いから、ファイナンシャルプランナーとなる。お金とモノとの付き合い方を考え、お片付けプランナーとしても活動中。家族が笑顔になれる家計のやりくりとお片付けのアドバイスを行っている。明日から使える節約コラムやママ向けセミナーも好評。
慶應義塾大学商学部卒業。
ハピママlabo代表
コラム監修者プロフィール
柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。
相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。
家計アイデア工房 代表
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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