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毎月赤字で、改善しようとしてもなかなかできません。貯蓄もなく、将来が不安です。

掲載日:2016年11月22日

大阪府在住 高橋 まゆみさん (仮名)

夫は50代で自営業、私は40代のパートです。毎月の赤字が多く、改善しようとするのですが、なかなかできません。生活費の平均的な金額もわからず、どうすればよいのかもわかりません。貯蓄もなくこれから先が不安です。赤字家計から脱出して、貯蓄ができるようになるにはどうしたらよいでしょうか?

(家計状況)

家族構成 53歳自営業
妻(相談者) 42歳パート
長女 18歳社会人
次女 16歳高校1年生
三女 16歳高校1年生
毎月の収入
(手取り)
365,000円
70,000円
収入合計 435,000円
毎月の支出 住居関連費 125,000円
食費 80,000円
水道光熱費 50,000円
通信費 30,000円
医療費 5,000円
雑貨・被服・理美容費 50,000円
娯楽・交際費 10,000円
自動車関連費 50,000円
保険料 15,000円
教育費(学校) 15,000円
ペット費 20,000円
お酒代 15,000円
支出合計 465,000円
収支金額 ▲30,000円
貯蓄残高 0万円

【住宅ローン】

借入残高
:1,700万円
変動金利
:2.175%
毎月返済額
:95,093円
 ボーナス月返済額 251,691円
完済予定
:平成41年12月27日

【保険の加入状況】

夫:
7年前に胃がんになり保険料免除(死亡保障1,700万円、入院日額10,000円)
妻:
生命保険 月額保険料5,000円(死亡保障200万円、入院日額5,000円)
がん保険 半年払保険料21,900円(1月と7月支払)
子ども:
府民共済 月掛金4,000円(長女2,000円、次女・三女各1,000円)

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回答老後の生活を意識して、優先順位を決めて支出を削減しましょう。貯蓄が進めば、ゆとりを生む選択肢がさらに増えますよ!

(ファイナンシャルプランナー 小林 美智子からのアドバイス)

パートで働く40代の高橋さまと自営業で50代のご主人さま。現在の家計は月3万円の赤字です。自営業で定年がないとはいえ、この年代で貯蓄ゼロというのはやはり不安です。

お子さまが独立した後のライフプランも見据えて、家計の見直しを早急に進めていきましょう。

■老後の生活を意識しましょう

不安を感じながらも貯蓄が進まないという高橋さま。老後の生活について考えたことはございますか?

仮に、ご夫婦ともに、20歳から40年間国民年金のみの加入だとすると、65歳以降受け取れる年金は、夫婦合わせて約156万円、月当たり約13万円です(平成28年度の支給額)。現在の支出と比べると、同じような生活を続けていくのは難しいことがよくわかりますね。

もちろん、自営業で65歳以降も収入が見込める、また、高橋さまご自身の収入が見込めるなど、今後の見通しによって状況は大きく変わってきますが、会社員のように厚生年金などの上乗せがない自営業の方にとって、老後の備えはやはり重要。「貯まる家計」を1日も早くつくりましょう。

■支出は優先順位を決めて削減!ニーズとウォンツを意識しましょう

現在の家計の状況を拝見すると、毎月の支出は46万5,000円となっています。

ご長女は18歳ですでに社会人となられており、高校生のお子さまたちも卒業後就職ということであれば、教育費についてはあまり心配ないのかもしれません。

一方で、家計の現状を見る限り、教育費の負担はあまり大きくなく、お子さまが独立したとしても、劇的に家計の収支が改善するというわけでもないようです。

ご主人さまが66歳のときに住宅ローンの返済が終わっても、毎月の支出は約35万円です。

支出を削減しようとするも、生活費の平均的な金額もわからず、どこから手を付けてよいのかわからないとのこと。ここで、総務省の家計調査データとの比較を見ていきましょう。

上の表のように、仮に3つの費目を平均値に近づけるだけでも、家計の収支は約7万円改善し、月の収支は約4万円の黒字となります。

食材をやりくりして献立を考えたり、お酒代を控えめにしたりすることで食費の削減を目指しましょう。

電気代は「電力自由化」で事業者を選べるようになりました。お住まいがマンションの場合でも、各家庭が個別に電力会社と契約している場合は電力会社の切り替えが可能です。一度、料金比較サイトなどで現在の電気代より安くならないかシミュレーションしてみてくださいね。

年頃のお子さまがいらっしゃるとかさみがちな被服費などは、スマートフォンのフリマアプリ(※)などを利用してみるのも一案です。

(※)ネット上でフリーマーケットのように簡単に個人間の物品の売買ができるスマートフォン向けアプリのこと。アプリとはパソコンにおけるソフトと同じ。フリマ=フリーマーケット。

支出の削減の際に高橋さまに心掛けていただきたいのは、ニーズ(必要なもの)とウォンツ(欲しいもの)を意識して優先順位をつけるということ。限りある収入の中でやりくりするには、「わが家」にとって本当に必要な支出をきちんと見極めることが大切です。

すでに自立しているご長女にご自分の生活費は負担してもらうなど、ご家族とも話し合って納得のいく削減をしましょう。

家計の収支が黒字になったら、確実に貯蓄へ回すため、先取り貯蓄の仕組みをつくって貯めていきましょう。自営業の方など国民年金第1号被保険者には、小規模企業共済や個人型確定拠出年金など税制上メリットのある老後資金のつくり方がありますが、高橋さまのご家庭は、まずは緊急時の備えとしての貯蓄が必要です。銀行の積立貯蓄などを利用して、使ってしまう前に貯めるためのお金を確保しましょう。

■自営業の妻ならではの働き方とは

現在、高橋さまはパートで月7万円の収入を得ていらっしゃいます。家計の状況には記載がなかったのですが、ご夫婦ともに国民年金保険料と国民健康保険料を支払っているものと思われます。

会社員や公務員の妻がパートで働く場合、社会保険上、夫の扶養からはずれると自分で社会保険料を負担しなくてはならないため、働き方をセーブする方が多いのですが、自営業の妻の場合は、むしろ積極的に勤め先で社会保険に加入した方が、家計を助けることにつながります。

例えば、月額賃金が11万円の場合、厚生年金保険料の負担は月額1万円。国民年金保険料は収入に関係なく月額1万6,260円(平成28年度)ですから、ずいぶんと負担は軽くなります。しかも、この保険料で老齢基礎年金に加え、老齢厚生年金が上乗せされます。

収入増加と保険料負担の軽減、さらに老後の年金を厚くするトリプル効果があるのです。

また、勤め先で健康保険に加入すれば、病気で働けないときに「傷病手当金」を受けられるなど自営業にはない手厚い保障が得られます。自営業家庭のリスクを軽減するためにも、勤め先の社会保険に加入できる働き方をぜひ検討してみてください。

■住宅ローンについて

現在、2.175%の変動金利で返済中とのこと。マイナス金利導入で住宅ローンの金利は低下しており、借り換えを検討されることもあるかもしれませんね。

ただ、借り換えの条件として、健康状態がネックになる場合があります。ご主人さまは7年前に胃がんを患われたとのこと。治療の状況などによっては、団体信用生命保険への加入ができない場合がありますのでご注意ください。また、借り換えの際は諸費用がかかります。貯蓄のない現状では借り換えも難しいといえます。

貯蓄が順調に進めば、税制上有利な方法で老後資金をつくったり、より負担の軽い住宅ローンに借り換えたりといろいろな選択肢ができます。家計の余裕がさらなるゆとりを生む好循環になるようにぜひ、頑張ってくださいね。

コラム執筆者プロフィール
小林 美智子(こばやし みちこ)

小林 美智子の写真

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅ローンアドバイザー

大手電機メーカーの経理部、会計事務所で通算20年のキャリアを経て独立。
長年の実務経験と家計を預かる主婦の視点をいかして、お金に振り回されないこころ豊かな人生の実現をサポートしている。2016年日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員担当、2017年日本FP協会「FP広報センター」スタッフ担当。
こころFP事務所 代表

コラム監修者プロフィール
柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)

柳澤 美由紀の写真

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。
相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。

家計アイデア工房 代表

  • ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
  • ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。

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