なかなか貯蓄まで手が回りません。切り詰めてやっているつもりですが、どこか改善するところがあれば、教えていただけると助かります。
毎月赤字で貯蓄できません。頑張っているはずなのに、何がいけないのでしょうか?
掲載日:2016年6月7日
三重県在住 小川 裕子さん (仮名)
(家計状況)
家族構成 | 夫 | 33歳会社員 |
---|---|---|
妻(相談者) | 33歳パート | |
長男 | 5歳幼稚園 | |
次男 | 1歳 |
毎月の収入 (手取り) |
夫 | 250,000円 |
---|---|---|
妻 | 80,000円 | |
その他収入 | 15,000円 | |
収入合計 | 345,000円 | |
毎月の支出 | 住居費 | 90,000円 |
食費 | 50,000円 | |
水道光熱費 | 16,000円 | |
通信費 | 22,000円 | |
医療費 | 8,000円 | |
雑貨・被服・ 理美容費 |
33,000円 | |
娯楽・交際費 | 15,000円 | |
小遣い(夫) | 40,000円 | |
小遣い(妻) | 5,000円 | |
小遣い (子ども) |
0円 | |
自動車関連費 | 22,000円 | |
保険料 | 16,500円 | |
教育費 (幼稚園) |
31,000円 | |
教育費(塾・ おけいこ) |
3,700円 | |
新聞 | 3,000円 | |
自動車ローン | 31,000円 | |
その他ローン | 80,000円 | |
支出合計 | 466,200円 | |
収支金額 | ▲121,200円 |
賞与収入 | 夫 | 1,100,000円 |
---|---|---|
妻 | 0円 | |
計 | 1,100,000円 | |
その他の 年間支出 |
13,000円 |
現在の貯蓄額 | 300万円 |
---|
【保険の加入状況】
- 夫:
- 終身医療保険 収入保障保険(55歳まで・月額給付金15万円)
- 月額保険料 8,800円
- 妻:
- 終身医療保険
- 月額保険料 5,000円
- 長男:
- 終身医療保険 終身がん保険
- 月額保険料 2,700円
貯蓄の王道は先取り貯蓄です。やりくりの前に固定費を見直して削減し、お金との付き合い方を変えましょう。ストレスなく貯まる家計をつくることができます。
(ファイナンシャルプランナー 橋本 絵美からのアドバイス)
育ち盛りのお子さま2人を育てながらパートもやりくりも頑張っている小川さま、毎日があっという間に過ぎていることでしょう。なかなか貯蓄まで手が回らないというお気持ち、わかります。お金と上手に付き合って、貯まる家計をつくりましょう。
ポイント1 「使う」と「貯める」の順序を変える
貯蓄まで手が回らない!とのことですが、お金が貯まらない理由が実はここにあります。小川さまはお金を「使う」のと「貯める」のとでは、「使う」方が先になっているようです。先にお金を「使う」と、「貯める」分が残るかどうかわかりません。ですが、先に「貯める」と必ず貯まります。当たり前のようですが、その当たり前が貯蓄の王道なのです。給料が入ったらまず「貯める」、そして残りを「使う」ように順序を変えましょう。
今は自動車もローンで購入されていますし、他にもローンがおありのようですが、今後ローンで何かを購入するのはやめましょう。住宅以外でローンを組まなければいけないような支出はするべきではありません。必要だと思っても、一括で購入できる資金がない時点で「購入すべきではない」と判断し、お金が貯まってから購入するようにしましょう。
ポイント2 「貯める」目的、金額、保管場所を決める
まず「貯める」目的をはっきりさせましょう。
小川さまはお子さまが2人いらっしゃるので、教育資金を準備する必要があるのではないでしょうか。小中高は月々の収入から賄うのがベストですが、大学進学のための費用を月々の収入から賄うのは大変なことです。
国公立大学へ進学し、自宅から通学する場合でも、平均で入学費用(※)として81.9万円、さらに在学費用として毎年93.9万円かかります(日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」平成27年度より)。自宅外通学をしたり私立大学に通うと、さらに費用がかかることになります。
大学進学にかかる費用を全て貯蓄しておくのは難しいかもしれませんが、最低でも入学費用の82万円程度は準備しておいた方がよいでしょう。
大学入学までの期間は、ご長男の場合あと13年ですので、毎年7万円(月々約6,000円弱)貯蓄していくことで91万円貯まります。ご次男の場合はあと17年ですので、毎年5万円(月々約4,000円強)貯蓄していくことで85万円貯まります。
まずはお2人の大学進学の資金として、毎月1万円を貯めるところから始めましょう。
※「受験費用」、「学校納付金(入学金、寄付金、学校債など、入学時に学校に支払った費用)」、「入学しなかった学校への納付金」をあわせた費用。
目的と金額がはっきりしたら、貯蓄の保管場所を決めます。給料と同じ口座に入れておくと使ってしまう可能性が高いですので、学資保険等の貯蓄型の保険を利用して貯蓄することをおススメします。
貯蓄型保険に加入して払込方法を口座振替にしておくと、自動的に引き落としされるので強制的に貯蓄をしていくことができます。解約するには手続きが必要なため、手間がかかることが流用への抑止力にもなります。
ボーナスについても手取りの4分の1は予備費として先に貯蓄しておくようにしましょう。こちらも貯蓄専用口座を設け、現在の貯蓄300万円と合わせて、今後大きな家具、家電の買い替え、引越し等環境の変化や経済状況の変化等、何かあったときの備えとして蓄えておきましょう。
ポイント3 変動費のやりくりではなく固定費を削減する
現在の使い方で改善すべき点を考えてみましょう。
月々の支出は固定費とやりくりが可能な変動費とに分けることができます。節約というと変動費にあたる食費や日用品費を減らしたくなるかもしれませんが、貯蓄まで手がまわらない状態で、ここばかり目をむけて節約すべきではありません。
まず改善すべきは固定費です。切り詰めているのに貯蓄ができないのは固定費が大き過ぎるせいです。固定費の削減は手続きが少々手間かもしれません。ですが、一度手続きをしてしまえばずっと削減でき、その分貯蓄に回せますから、まずは固定費を見直しましょう。
見直しの対象としてまず挙げられるのは通信費です。月22,000円ということは、内訳は自宅のネット回線、固定電話とスマートフォン2台といったところでしょうか。
今お使いのスマートフォンによっては、端末をそのまま利用して格安スマホに乗り換えることができます。格安スマホなら、2台で「基本料金3,000円程度+通話料」などに抑えることが可能な場合があります。解約違約金が1台につき1万円程度かかったとしても、2~3カ月で元がとれます。なお、そのままの端末では格安スマホを利用することができないこともあります。その場合は新しく端末を準備する必要があります。
また、パソコンやタブレットを利用する際にはスマートフォンのテザリング機能を利用することにして、自宅のネット回線、固定電話の解約も検討しましょう。ただし、テザリングができない端末もありますので、事前にご確認ください。
仮に現在の端末のまま格安スマホに変更し、自宅のパソコンやタブレットはスマートフォンのテザリング機能で使用することにしてネット回線は解約、固定電話も解約したとすると、通信費は現在の2万2,000円から6,000円程度とすることも可能ですので、約16,000円も節約できます。
次に自動車関連費です。自動車の利用頻度はどれくらいでしょうか?
お住まいの地域によって自動車は足代わりで必須ということもあるでしょう。ですが、週末に利用するのみという利用状況であれば、自動車を持たない暮らしをしてみるのはいかがでしょうか?
筆者の実家は田舎にあり、自動車は一人一台必須ですので、自動車が必要な暮らしもわかります。ですが、筆者自身は子どもが4人いますが、自動車を持たず、電動自転車を愛用しています。お子さまを乗せられる電動自転車の場合、機種にもよりますが、初期費用は15万円ほどです。その後の駐輪場代、電気代を考えても自動車とは比べ物にならないくらい安いです。
また、最近はカーシェアリングも充実していますし、どうしても必要なときだけタクシーを利用するという方法もあります。現在自動車にかかっている費用(月53,000円)ほど、果たしてタクシーを利用するかどうか、考えてみてください。自動車関連費の節約はかなり効果が大きいです。
また、支出全体のなかの大きな費用としては住居費が挙げられます。現在、自動車関連費と自動車ローン、住居費を合算すると、9万円+2万2,000円+3万1,000円で14万3,000円かかっています。自動車と住居をトータルで考えてコストが削減できる暮らしを考えてみてください。
例えば、自動車を持ち続ける代わりに家賃の安い郊外へ住み替える。または、少し家賃が上がっても便利な場所に住み替えて自動車を手放す。このように両方を併せて考えた上で削減しましょう。
住み替えには引越し代や敷金・礼金がかかりますので、大幅に家賃を下げられる可能性のあるUR賃貸住宅(旧公団住宅)等の利用も検討されてはいかがでしょうか。
現在の大家さんに家賃交渉をしてみるのも一案です。コスト削減のために住み替えを検討中と伝えれば、値下げに応じてくれることもあります。
まとめ
まずは毎月の先取り貯蓄を始めましょう。そして固定費(通信費、自動車関連費、住居費)については費用を抑えられる方法に至急変更しましょう。
極論を申し上げますと、先取り貯蓄をしていれば残りは使ってしまっても構わないのです。ただしローンは絶対に×。欲しいもの、または必要だと思うものであっても、ローンで購入するのではなく、「貯まってから買う」を徹底してくださいね。これで家族4人が豊かに楽しく暮らせる家計が実現できるはずです。
コラム執筆者プロフィール
橋本 絵美(はしもと えみ)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士/お片付けプランナー
子ども10人の幸せ大家族を目指す、現在5人の子どもを持つママ ファイナンシャルプランナー。「子ども=お金がかかる」という考え方ではなく、子どもは宝であり、ママたちが安心してもう一人子どもを生めるようにサポートしたいという思いから、ファイナンシャルプランナーとなる。お金とモノとの付き合い方を考え、お片付けプランナーとしても活動中。家族が笑顔になれる家計のやりくりとお片付けのアドバイスを行っている。明日から使える節約コラムやママ向けセミナーも好評。
慶應義塾大学商学部卒業。
ハピママlabo代表
コラム監修者プロフィール
柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。
相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。
家計アイデア工房 代表
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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