2015年02月10日
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世界の医療費事情からみる、海外旅行保険のお役立ち度
海外渡航自由化から約50年。1964年に観光目的の人にもパスポートが発行されるようになって以来、日本人海外旅行者は、2013年には1,700万人を超えています。
ジェイアイ傷害火災保険が自社の海外旅行保険の加入者に対して行った2013年度の調査では、海外旅行中に何らかのトラブルに遭遇する人は、26人に1人とのこと。なかでも、病気やケガで現地の医療機関にかかるトラブルが多くなっています。
海外で医療機関にかかったときの費用は、日本での医療費とは比べものにならないほど高額になります。そのような高額の医療費に対して、旅行者にはどのような備えが必要なのでしょうか。
海外の医療事情って、どうなの?
日本では国民皆保険ということで、全国民が何らかの公的医療保険制度に加入しており、小学生から70歳未満の人については、実際にかかった医療費の3割負担で済んでいます。しかし、海外では、もともとの医療費が高額な上、全額自己負担になることも少なくありません。
それでは、日本人が訪れることが多い国の医療事情をみてみましょう。
国名(地域) | 医療費事情 |
---|---|
アメリカ (ニューヨーク) |
1回の入院で数百万円から1千万円になる。 例:急性虫垂炎で8日入院・手術(腹膜炎併発)…7万ドル |
アメリカ (ハワイ州ホノルル) |
救急車の利用は有料。 医療費は日本に比べ非常に高額で、ICUへの入院や手術となると1,000万円を超えることもまれではない。 |
イタリア | 現地の国民健康保険に加入していない旅行者は、自由診療の私立病院を受診することが多く、医療費は高額である。 |
ロシア |
私費診療における医療費は高額で、十分な現金(ルーブルのみ)かクレジットカードの持参が必要。 例:フランクフルトへの寝台移送…約400万円 |
タイ | 私立病院の治療費等は各々の病院が独自に定めていて、日本と比べて安価とはいえない。 |
中国 (北京周辺) |
北京では、経済成長とともに医療費も年々高騰しており、日本よりはるかに高額な医療費が請求されることも多い。 例:緊急入院1日…10万~20万円 地方都市の場合は、医療費が高くない代わりに十分な医療が受けられるとはいえず、海外旅行保険が使用できる医療機関も少ない。 |
インドネシア | 私立病院は、受診時に保証金(場合により数千ドル以上)を要求される。 |
資料:「世界の医療事情」(外務省ホームページ)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/をもとに執筆者作成
入院や検査には事前に保証金の支払いが必要であったり、設備の整った病院や日本への移送費が1,000万円以上におよぶことがあったりなど、海外の医療事情は日本とは大きく異なります。
海外での治療にも、日本の健康保険が使えることがある!
日本の健康保険には、海外での病気やケガにより、やむを得ず現地の医療機関を受診した際の医療費の一部を、申請によって払い戻しが受けられる、「海外療養費」制度があります。ただし、日本で保険適用が認められている医療行為に限られますし、はじめから治療目的で海外に行き治療を受けた場合も、海外療養費の給付対象とはなりません。
また、日本で同様の治療を受けた場合の金額に換算した上で、自己負担分(原則3割)を差し引いての支給となるため、実際に支払った金額と支給される金額とが大きく異なる場合があります。
なお、この制度を利用する際は、「診療内容明細書」や「領収明細書」などを翻訳(邦訳)して申請書に添付することになっていますが、その翻訳の費用は申請者の自己負担となります。
海外旅行保険を上手に契約するためのキーワード
ここまで、海外の医療事情や、日本の海外療養費制度での給付についてみてきましたが、海外での病気やケガには、各自で備えることが大切だと思われた方も多いことでしょう。
そこで、海外旅行保険を上手に契約するためのキーワードを、3つお伝えいたします。
キーワード1.「無制限」
渡航先にもよりますが、治療費や移送費が数百万円~1千万円になることがあると考えると、ケガや病気に備える「傷害・疾病治療費用」や、海外旅行先で入院し家族が駆けつけるための費用、および旅行者本人を移送するための「救援(者)費用」の補償は、無制限にすることをおすすめします。
キーワード2.「付帯サービス」
病気やケガでつらいなか、慣れない旅先で、また、現地の言葉で病院や医師の手配をするのは大変です。そんなとき、医師や病院の紹介や予約をしてくれたり、通訳をしてくれたりする「医療アシスタンスサービス」や「電話通訳サービス」があると便利です。
また、医療費が高額なため、治療費が保険会社から病院等に直接支払われる「キャッシュレスサービス」があると、高額な立て替え払いをしなくて済みます。海外旅行保険に入るときは、保険に付帯されているサービスについても目を向けたいものです。
キーワード3.「クレジットカード」
クレジットカードによっては、海外旅行保険が付帯されていることがあります。しかし、無条件に保険が有効になるものと、旅行代金をカードで支払ったときのみ保険が有効になるものとがありますので、よく確認しましょう。
また、保険金額や補償内容が十分でないことがあるので、不足と思われる部分を一般の海外旅行保険で追加契約することも考えてみましょう。
外務省や旅行会社、海外旅行保険会社のウェブサイトには、各国の医療事情や、渡航時の注意点などが細かく記載されていますので、渡航前に、ぜひ読んでおくことをおすすめします。必要十分な準備をした上で、海外での日々をお楽しみくださいね。
- 中垣 香代子(なかがき かよこ)
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CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
損害保険会社に約10年勤務後、子育てに専念。約20年間の専業主婦の後、ファイナンシャルプランナーとなる。
「老後のお金サポーター」として、相談業務の他、40~50歳代女性にお金の知識をわかりやすく伝える活動をしている。また、自身の経験から、経済的理由で進学をあきらめるお子さんが一人でも減ることを願い、就学支援の情報発信にも力を入れている。
老後のお金を一緒に考える事務所 所長。
- 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)
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CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。
相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。
家計アイデア工房 代表
- この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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