もしも事故を起こしてしまったら…自転車保険の必要性

ご本人やお子さまが自転車を利用する機会は多いかと思います。自転車は、日々の買い物やお子さまの送迎、そして通学などに利用できる便利な乗り物ですが、一方で多額の損害賠償を請求される事故も起きています。
もし、事故を起こしてしまったらどうしたらいいのでしょうか?今回は自転車事故への備えと保険についてお伝えします。
もしも事故を起こしてしまったら

もしも自分自身が自転車事故を起こしてしまったら、どうしたらよいのでしょうか。一般社団法人日本損害保険協会によると、
- (1)被害者の救護と道路上の危険除去
- (2)警察への届出(人身事故、物損事故どちらの場合も直ちに届出をしてください。)
- (3)相手方の住所、氏名、勤務先、電話番号などの確認
- (4)目撃者がある場合は、その人の住所、氏名の確認、証言依頼
- (5)事故状況のメモの作成
(1)~(5)の対応を行い、その後保険会社に連絡することとしています。同時に家族にも連絡しましょう。
事故を起こした本人は気が動転していることもあるので、周りの人に声をかけて協力してもらうことも大切です。また、保険に加入している場合は、保険会社等の承諾を得ずに当事者同士で示談を行ってしまうと、保険金の一部または全部が支払われないことがあります。必ず保険会社に相談するよう注意しましょう。
以上のことから、自転車事故の場合も、ケガや入院の備えだけでなく損害賠償の備えも必要なことがわかります。では、自転車事故を起こしてしまったときに頼ることができる保険にはどのようなものがあるのでしょうか?
自転車保険と主な補償内容

自転車事故に備える保険に「自転車保険」があります。自転車保険は、一般的に自転車事故または交通事故により自分がケガをした場合に備える傷害保険と、他人にケガをさせたり他人の物を壊したりした場合の賠償責任に備える個人賠償責任保険を組み合わせた保険です。
【表2】自転車保険の内容
こんなとき | 対応する保険 |
---|---|
自分がケガをした | 傷害保険 |
他人にケガをさせた・他人の物を壊した | 個人賠償責任保険 |
傷害保険の補償内容としては、死亡保険金・入院給付金・通院給付金などが代表的です。日常生活のケガにも対応している保険もあります。個人賠償責任保険は、被害者に対して支払う賠償金が補償され、支払限度額は、「保険市場」の自転車保険のページに掲載されている商品では、2億円のものから最大5億円のものまであります。なお、自転車保険のなかには、自転車が全損や半損になったときや盗難にあったときに自転車の購入金額を補償するタイプのものもあります。
自転車保険のチェックポイント

自転車保険の加入において、重視するポイントはご家庭によりさまざまですが、自転車事故の損害賠償に備えることが目的の場合は次のポイントを必ず確認しましょう。
- ・個人賠償責任の補償限度額
- ・示談代行サービスの有無
- ・弁護士費用特約の有無
自転車の搭乗者本人のケガや入院などは医療保険で備えることもでき、お子さまの場合は医療費助成が充実している自治体もあります。しかし、相手方への損害賠償については、預貯金などから支払える金額を超える可能性があるため、保険での備えが必要です。
とはいえ、実は、自転車事故の損害賠償に備える方法は自転車保険以外にもありますのでご紹介します。
加入する前に自動車保険などの「個人賠償責任特約」をチェック

個人賠償責任保険は火災保険や自動車保険、各種共済、勤務先で加入する各種団体保険等に「特約」として付いている場合があります。自転車保険に加入する際は個人賠償責任保険の「重複加入」に注意しましょう。念のため、ご自身やご家族が加入している保険契約に個人賠償責任の特約が付いていないか、確認しましょう。また、クレジットカードをお持ちの場合はカードに付帯している個人賠償責任保険に加入していることもあります。
自転車安全整備士が点検整備した自転車に貼付されるTSマーク
TSマークはご存じでしょうか。自転車安全整備士が、点検整備(有料)した自転車にはTSマークが付きます。TSマークはこのマークを貼付した自転車が対象の自転車保険で、補償内容は傷害補償と賠償責任補償です。
【図1】TSマーク付帯保険の補償内容
赤色TSマーク
- 【傷害補償】
-
- ・死亡または重度後遺障害 一律100万円
- ・入院(15日以上) 一律10万円
- 【賠償責任補償】
- 死亡または重度後遺障害に対し1億円まで
- 【被害者見舞金】
- 入院(15日以上) 一律10万円
青色TSマーク
- 【傷害補償】
-
- ・死亡または重度後遺障害 一律30万円
- ・入院(15日以上) 一律1万円
- 【賠償責任補償】
- 死亡または重度後遺障害に対し1,000万円まで
- 【被害者見舞金】
- なし
赤色TSマークと青色TSマークでは補償額が大きく違います。補償額が大きい赤色TSマークの賠償責任補償の限度額は1億円(※)です。
また、TSマークの有効期間は1年間です。年1回は点検整備を受けてTSマークを更新しなければなりません。
※平成29年9月30日までに貼付した赤色TSマークは5,000万円です。
被害者となった場合にもリスクがある

自転車事故において自分が被害者になった場合を考えてみましょう。被害者に過失が全くない場合、被害者には基本的に責任がありません。しかし、加害者への損害賠償の請求を弁護士に依頼する場合、相談の費用や着手金、成功報酬などの費用が発生します。個人賠償責任保険のなかには、弁護士費用を補償する特約が付いているものもあります。被害者として加害者に損害賠償請求をする場合の弁護士費用が高額になったときのリスクにも備えておきたいところです。
自転車事故を起こしてしまったら、冷静な対応と警察や保険会社への連絡が必要ですが、お子さまが親のいないところで事故を起こしてしまった場合は、お子さま自身が動揺し冷静な対応ができないことが考えられます。普段から事故を起こさないように自転車のルールを家族で話し合うことや、時間に余裕をもって行動するなどの予防も大切ですが、もし事故を起こしてしまったら、周りの大人に声をかけること、親にすぐ連絡をすることもあわせて伝えておきましょう。
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自転車事故で注目を集めたのが、2013年7月4日、神戸地方裁判所から加害者側に高額な損害賠償を命じる判決が出た事故です。
他にも表1のように自転車の事故で加害者が高額の賠償金の支払いを命じられています。
【表1】自転車での加害事故例
(※)
(※)判決認容額とは、上記裁判における判決文で加害者が支払いを命じられた金額です(金額は概算額)。上記裁判後の上訴等により、加害者が実際に支払う金額とは異なる可能性があります。
出典:一般社団法人 日本損害保険協会
このように高額の賠償事例が相次いだため、自転車保険への加入を条例で義務付ける自治体が広がってきました。自転車は気軽に乗ることができますが、事故を起こして重大な結果を招いてしまい、高額の損害賠償責任を負わなければならないことがあります。