いまさら聞けない学資保険(子供保険)の基礎知識
子どもを授かったら、将来の教育費を貯める方法として、学資保険(子供保険)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。学資保険に加入する前に、または加入した後でも、「いまさら聞けない学資保険の基礎知識」を確認しておきましょう。
学資保険の基本とメリット
学資保険とは、主に子どもの教育費の準備を目的とした保険で、親などが保険料を積み立て、お子さまの年齢や入学時期に合わせて学資金(祝い金や満期保険金)が受け取れる保険です。メリットは、契約者となる親などに万一のことがあった場合に備えられる保障が付いていることです。
図1 学資保険の保険料払込免除のイメージ
資料:執筆者作成
学資保険では、保険料の払込期間中に、契約者が死亡・所定の高度障害状態になった場合、以後の保険料の払い込みは免除になります。免除になった場合でも、学資金(祝い金や満期保険金)は予定どおり受け取ることができます。
学資保険のタイプ-貯蓄重視型と保障重視型-
ひと言で学資保険と言っても、プランはさまざまです。学資金の受取方法だけをとってみても、大学入学時に一括で受け取る、大学在学中毎年受け取る、小学校・中学校・高校・大学それぞれの進学時に受け取る、などのプランがあります。また、貯蓄重視型と保障重視型(子どもの医療保障や、契約者に万一の場合に養育年金等があるもの)の2つのタイプに分けることもできます。
図2 学資保険のタイプ
資料:執筆者作成
少しでも手元の資金を増やすことを目的とする方なら、貯蓄重視型が適しています。払込保険料総額に対して、受け取れる祝い金や満期保険金の受取総額の割合のことを返戻率(戻り率)と言いますが、貯蓄重視型はこの返戻率が高いという言い方もできます。
教育費の準備だけでなく他の保障も付けたい方には、保障重視型が適しています。保障重視型の学資保険には、子どものケガや病気に備えるための子どもの医療保障が付いたもの、契約者に万一のことがあった場合に、保険料払込免除に加えて保険期間終了まで養育年金等がもらえるもの、子どもの医療保障と養育年金の保障の両方が付いているもの、などがあります。
終身保険で教育費の準備もできる
学資保険の他にも、教育費の準備によく使われる保険として、「低解約返戻金型終身保険」があります。これは、終身保険の貯蓄性を利用する方法です。終身保険の一つである低解約返戻金型終身保険は、保険料払込期間中の解約返戻金を減らしているため、保険料の負担が抑えられる一生涯保障の死亡保険です。親が契約者および被保険者となり、大学進学など資金が必要になったタイミングで解約すれば、所定の解約返戻金が受け取れます。ただし、保険料払込期間中に解約した場合、解約返戻金の額は払込保険料総額を下回りますので注意しましょう。
低解約返戻金型終身保険であれば、親に万一のことがあった時点で、すぐに遺族はまとまった死亡保険金を受け取れます。一方で、学資保険では、契約時に決められた祝い金や満期保険金の支払時期まで待つことになります。保険からお金が受け取れるタイミングが異なることをおさえておきましょう。
子どもの大学費用、いったいいくら必要?
「まだまだうちの子どもは小さくて進路なんてわからない」という方も、大学の教育費の平均額を知ることから始めましょう。学資保険を検討する際の参考にもなります。
表1 大学にかかる費用の平均額(※)
※スクロールで表がスライドします。
金額の単位:万円
※入学費用には、受験費用・学校納付金・入学しなかった学校への納付金、在学費用には、学校教育費(授業料・通学費など)・家庭教育費が含まれています。
資料:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果(平成28年度)」をもとに執筆者作成
教育費のなかでも大学の費用は、大きな金額になりますので、早めに備えていくことが大切です。子どもの誕生の瞬間から、大学に進学するならいつぐらいになるかおおむね決まりますので、計画的に教育費を準備しましょう。
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コラム執筆者プロフィール
加藤 葉子 (カトウ ヨウコ) - 女性とシングルマザーのお金の専門家
- 離婚を機にお金の勉強を始め、3年間で子どもの教育費を貯める。自身のブログ「女性とシングルマザーのお金の話」に全国の女性から切実なお金の相談が寄せられ、NHKのWEBコラム執筆を機に独立。3年間で1,500件以上の相談を受けている。現在は、女性ファイナンシャルプランナーのための実務講座やオンライン講座を配信中。
マイライフエフピー代表
ファイナンシャルプランナー 加藤 葉子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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