いつかまた働きたいママへ!失業保険と今からできる再就職準備
妊娠や出産をきっかけに仕事を辞めるママは多いと思います。親族の介護や夫の転勤など、家族のために退職する方もいるでしょう。しかし、家族のために仕事を辞めたけど、「いつかはまた働きたい!」と思っているママも多いのではないでしょうか。そんなママのために、仕事を辞めた後にもらえる失業保険と、今から始められる再就職の準備についてご紹介します。
働きたいママの味方「失業手当」
「失業手当(基本手当)」という言葉を聞いたことはありませんか?雇用保険に加入していた方が、仕事を辞めた後、失業中の生活を心配しないで、再就職できるように支給されるお金のことです。
では、出産・育児のために退職した場合、失業手当の受給期間を延長することができるのはご存じですか?
失業手当は自分で申請しないと、もらうことはできません。「知らなかった」「手続きをし忘れた」というのは、もったいないですよね。ここでは、失業手当の受給要件や受給期間、金額についてご紹介します。
(1)失業手当がもらえる人はどんな人?
失業保険がもらえるのは、仕事を辞める前2年間に原則12カ月以上雇用保険に加入していて、次の仕事を探している人です。正社員やパートとして週20時間以上働いていた方は、雇用保険に加入していた可能性が高いです。失業手当をもらえる期間は決まっていて、離職した日の翌日から1年間となります。
(2)失業手当はいくらもらえるの?
もらえる失業手当の総額(※)は、退職前の給与や年齢によって決まる「基本手当日額」と、雇用保険の被保険者期間や離職理由、年齢によって決まる「所定給付日数」から計算することで決まります。例えば、月給8万円のパート勤務でも、雇用保険に1年以上加入していれば、総額20万円近くの失業手当がもらえます。つまり、給与が高く、勤続期間が長い人ほど、もらえる失業手当の金額は大きくなります。「私の場合はいくらもらえるのか知りたい」という方は、年齢や給与などを入力すると失業手当の受給金額を自動で計算してくれるサイトがいくつもありますので、試してみてください。
(※)全額もらえるかどうかは、受給期間や求職状況によって異なります。
表 失業手当の受給額の例(平成29年8月1日現在)
※スクロールで表がスライドします。
年齢・雇用保険の 被保険者期間 (退職前の給与) |
所定給付日数 | 基本手当日額 | 総額 |
---|---|---|---|
24歳・勤続2年 (月給20万円) |
90日 | 約4,900円 | 約44万円 |
32歳・勤続10年 (月給25万円) |
120日 | 約5,500円 | 約66万円 |
42歳・勤続20年 (月給30万円) |
150日 | 約5,900円 | 約88万円 |
32歳・勤続1年 (月給8万円) |
90日 | 約2,100円 | 約19万円 |
50歳・勤続11年 (月給8万円) |
120日 | 約2,100円 | 約26万円 |
資料:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」および、厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」をもとに執筆者作成
(3)すぐに働けない場合はどうするの?
仕事を辞めた場合、すぐには働くことができない(すぐに求職活動できない)という方もいるでしょう。例えば、病気やケガ、妊娠、出産・育児、親族等の看護・介護などのために、退職後引き続き30日以上仕事に就くことができない状態にある方は、延長の手続きをすることで、本来の受給期間である1年間に加えて最大3年間延長させることができます。つまり、退職後最大で4年間は、失業手当をもらえる可能性があるのです。
なお、延長後の失業手当の申請は、30日以上職業に就けない状態になってから延長後の受給期間の最後の日までに手続きを行う必要があります。ただし、申請期間内であっても、申請が遅くなってしまうと、失業手当を全額もらえない可能性があります。手続きはできるだけ早めに行うと良いでしょう。
上記以外の理由でも、例えば、夫の海外赴任に同行するために退職した場合など、受給期間の延長はできることがあります。
窓口まで足を運ぶのが難しいママは、郵送や代理人による申請でも受け付けてもらえます。「自分の場合はどうなのかな?」と迷ったら、電話でも大丈夫ですので、最寄りのハローワークへ相談してみてください。
再就職準備に役立つ失業手当
しばらく仕事から遠ざかっていたママが再就職するには、思ったよりもお金がかかるものです。
例えば、子供がまだ小さければ子どもの託児費用、お仕事用に新しいスーツや靴、再就職の面接に出かける交通費も、面接回数が多くなると無視できない金額になります。また、履歴書の添削などの再就職に関する勉強会や、キャリアアップのための資格取得に失業手当を使うのも良いでしょう。
筆者の場合、受け取った失業手当は、ファイナンシャルプランナーとしての勉強費にあてました。自分の収入が無いときに自分のキャリアアップにお金を使うことに後ろめたさがあったので、失業手当が受け取れたことはとても助かりました。
いつか働くときのために、今できることから始めよう
家事や育児との両立、夫や親族の理解、ブランクなど、いろいろな不安をひとつずつ減らしていくことで、再就職への一歩を踏み出しやすくなります。下図に、今からできる再就職準備の例を挙げました。「これなら今の自分にもできる」と思ったことから、始めてみてください。
図 今からできる再就職準備の例
資料:執筆者作成
筆者は、長男出産後も正社員として時短勤務をしていましたが、夫の海外赴任に同行するため会社を辞めました。それでも「また働きたい!」と思い、小さい子どもを育てながらでもできることから行動に移してきました。夫とたくさん話し合い、家事を協力してもらえるようになりました。その甲斐あって、今は自分のやりたい仕事ができています。
育児や家庭と両立させながら働くことは、大変なことも多いです。しかし、ママが働くことで、家計が助かることはもちろん、夫婦が対等な関係になりやすくなる、自分のキャリアを築くことができる、自分の力を周りの人に認めてもらえるなど、たくさんのメリットがあります。
自分のペースで良いと思います。ぜひ、今できることから始めてみてくださいね。
執筆者プロフィール
張替 愛ハリカエ アイ
AFP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学で心理学を学んだ後、損害保険会社にて5年半勤務。その後、夫の海外赴任を機に独立を決意。育児をしながら在宅でファイナンシャルプランナーとしての活動を始める。転勤族や、仕事と家庭の両立で悩む女性のために、オンラインでのマネー講座や個別相談を開催中。
FP事務所マネセラ代表
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
- ※ 掲載日は2017年10月30日です。