積立保険の商品知識
●年々高まる公的年金不安
近年、公的年金制度に対する不安等から、自助努力によって老後資金の準備を行いたいと考える方が増えつつあります。「自分年金」等という言葉が目につくようになってきたのも、このような流れの一つだと思います。
確かにこのまま少子高齢化が続けば、世代間扶養の仕組みである公的年金を維持していくのは厳しくなることは容易に想像ができます。実際に2013年1月に入ってIMF(国際通貨基金)のサンジェフ・グプタ財政局次長が、世界的に見て深刻な少子高齢化に直面する日本の公的年金制度について「支給開始年齢を引き上げていかなければならない」とコメントしています。67歳~70歳に年金支給開始年齢を引き上げる動きの相次ぐ欧州各国に比べて、遅れている日本に対して警鐘を鳴らしたものだと思いますが、それだけ自助努力を行う必要性が高まってきているということでもあります。
●所得税・住民税の所得控除が魅力の個人年金保険
そのような自助努力による老後に向けた資産形成手段として利用されているのが「積立保険」です。積立保険というのは貯蓄性の高い保険の総称で、具体的に商品名として個人年金保険や養老保険等のことを指します。
とくに個人年金保険は、税制適格要件を満たして税制適格特約を付けると一般の生命保険料控除とは別枠で、個人年金保険料控除として所得税年間最高4万円、住民税年間最高2.8万円の所得控除が受けられます。この個人年金保険料控除という税制面での優遇制度もあって、老後に向けた資産形成の手段として個人年金保険は根強い人気があります。
●計画的な貯蓄に向いている養老保険
一方、養老保険のほうは計画的な貯蓄に向いている保険だと思います。バブル時期のような高金利の魅力は近年ありませんが、ある一定の死亡保障を得ながら、例えば10年・15年といったターゲットイヤーに向けて資産形成を図っていくことに適しています。
比較的引き出しの容易な預貯金等に比べて、保険の場合は所定の手続き等を行わなければ解約や貸付等ができないので、そのような意味でも貯蓄の苦手な方に向いているといえます。このことは教育資金の準備を目的にした学資保険でも同じことがいえると思いますし、保険を活用した資産形成の大きなメリットでもあります。
●つなぎ資金としての年金払積立傷害保険
また、損害保険の分野等にも積立保険はあります。老後資金目的ということであれば、ケガによる死亡・重度後遺障害が補償される年金払積立傷害保険等がその代表的なものです。保険料払込期間が終了後に、年金形式で基本給付金(ご契約時に約定した年金額)を受け取れるというもので、払込保険料を上回る基本給付金がもらえます。保険料控除の税制適格要件を気にしなくていいので、退職してから公的年金の受給開始までの「つなぎ年金」という位置づけで利用するのも一つの方法です。
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コラム執筆者プロフィール
久保 逸郎 (クボ イツロウ) マイアドバイザー.jp®登録 - FPオフィス クライアントサイド代表
高校1年で中退し、大検を取得して大学に進学。卒業後は大手リース会社、外資系生命保険会社を経て、平成15年3月にファイナンシャルプランナーとして独立。
相談業務を中心に実務派ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、年間100回を超えるセミナー講師や、マネー雑誌等への原稿執筆などを行っている。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 久保 逸郎
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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