生命保険選びのポイント
生命保険は、月々なら高額には感じられない保険料でも、積み重なると大きな出費になっていることがあります。その代わりに万一のときの備えを得られて、貯蓄を兼ねられるものもあります。しかし、払った保険料に見合う価値を実感しづらかったり、この保険で良いのかなという疑問を感じられたりする方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ご自身の生命保険選びに自信が持てない方のために、満足できる生命保険選びのポイントをみていきましょう。
満足できた保険選びから学ぶこと
(公財)生命保険文化センターの「平成27年度生命保険に関する全国実態調査」では、直近に加入した生命保険への満足度について約88.5%の方が「満足」と回答しています。その保険のどのような点に満足しているかについては、図1のグラフのようになっています。
図1 直近加入の保険に満足している点(複数回答)
資料:(公財)生命保険文化センター「平成27年度生命保険に関する全国実態調査」をもとに執筆者作成
グラフから、満足している理由を1位から順にみていきましょう。
第1位 保障内容が現在の自分や自分の家族状況に合っている
他の項目を引き離し、「保障内容が現在の自分や自分の家族状況に合っている」(約49.3%)が第1位となっています。
自分にぴったりの保障が得られれば満足できてあたりまえ、その保障内容を選ぶのが難しいのではないかと思われるかもしれません。しかし、「何の目的で」「いつまで(保障期間)」「いくら(必要保障額)」の3点をしっかり押さえれば、思いのほかやさしく自分に合った保障内容を選ぶことができます。
図2 保険選びで押さえるべきポイント
資料:執筆者作成
最初の見積りでできるだけ正確に試算しておくと、あとで過不足がないかと心配することが少なくなるでしょう。
第2位 保障内容に比べ掛金が安い
満足している理由の第2位・第3位はほぼ横並びで、第2位は「保障内容に比べ掛金が安い」(約15.4%)。保険料の支払額に納得できていることが大切なのだと分かります。一つの保険商品の保障内容をみただけで、その保険料が高いか安いかが判断できる方は少ないでしょう。自分に必要な保障内容のイメージを固めた上で、いくつかの商品で保険料を含めて比較をしましょう。
第3位 保障の範囲が広い
続いて、「保障の範囲が広い」が約15.3%。保険は万一のときの保障を備えることで不安を和らげるものですから、幅広い保障・大きい保障を得た方が安心でき、安心の分だけ満足度は高くなると考えられます。同センターの「平成28年度生活保障に関する調査」で、生命保険に加入する場合、シンプルな保障型商品と広範囲な保障型商品のどちらを選ぶかをたずねた質問にも、広範囲な保障型商品を選ぶ方が多いという結果が出ています。
総合すると、満足できる保険選びは、まずはしっかりと現在の自分に必要な保障を考えること。そして、複数の商品を比較して保険料がお手頃で、かつ保障の範囲が広いバランスが良いものに決める、という手順を踏むことで実現することができそうですね。
生命保険との付き合いは長期間に及ぶ
(1)時間の経過とともに状況は変化する
上にみてきたように、直近に加入した保険には9割近くの方が満足しているという結果が出ています。ところが、平成27年度「生命保険に関する全国実態調査」で、将来の生活設計を考えた場合、現在加入している保険の保障内容で十分かどうかをたずねた質問には、「充足感あり」が約38.2%、「充足感なし」が約32.3%となっています。直近に加入したものに満足できているなら、全体の充足度を引き下げる原因はそれよりも前に加入したものにあると考えられます。もともと不満がある保険に加入したということは多くないでしょうから、最初は十分だと感じていた保障内容でも、時間がたつと状況が変化して不十分になるということがいえるのではないでしょうか。
(2)その時々の自分に合う保障を考えよう
繰り返しになりますが、直近に加入した保険に満足している点の第1位は「保障内容が現在の自分や自分の家族状況に合っている」こと。ポイントは、「現在の」というところにあります。加入時点での状況に合っていた保険だけど、何年かたった今の自分に合っていない……と感じているならば、現在の自分の状況に合わせる必要があります。
子どもが大きくなったのに死亡保障額がそのままで保険料が高いと感じられるのなら、適正な保障額に減額することなどが考えられます。次の子どもが生まれたので保障額が足りないと不安なら、保障額を増やす方向になるでしょう。
長期間にわたる契約となる生命保険は、いずれ状況が変化したときに随時見直しをすることを前提に選ばれると良いでしょう。保険に加入した後、「将来も加入時の保障内容のままで良いのかな?」という疑問が生まれるのは自然なことですから、そういった疑問にこたえてくれることが期待できる保険会社・代理店で、見直しのあり方がイメージできる保険商品を選ぶことも、実は非常に大きなポイントであることも押さえておいてくださいね。
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コラム執筆者プロフィール
柳沢 有紀 (ヤナギサワ ユキ) - キャリアコンサルタント
- 小・中学生の子を持つママ。商社の営業事務・採用業務から店舗の販売職までさまざまな仕事を経験。その後行政の就業相談職に就き、2年半で累計3,800人の相談実績を持つ。「仕事」と「お金」の両方から、悩めるママに向けた講座や個別相談にて活動中。
ファイナンシャルプランナー 柳沢 有紀
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