【子育て世代の家計術】 固定費を見直して、家計をスリム化しよう!
「子どもが生まれてから貯金が思ったようにできない」「これからの教育費は大丈夫かな?」子育て世代のご家庭では、仕事に家事に育児にと毎日忙しく、お金のことは後回しにしがちで、なんとなく不安に思っていませんか?そんなご家庭は、毎月決まって出ていくお金である固定費からまず目を向けてみましょう。
固定費には家賃などの住居費、光熱費、携帯電話などの通信費、保険料、お子さまの習い事などの費用があります。固定費は一度見直してしまえば、決まった金額が削減できます。今回は固定費の見直し術をお伝えします。
固定費の見直し術
(1)無理なく見直していく
まずは不安に向き合ってみることから始めましょう。
例えば、赤字家計で将来の教育費が不安な場合、お子さまの大学進学時の入学金に備えて、約100万円を10年後までに貯金したいと目標を立てたとすれば、年間の必要貯蓄額は10万円と決まりますので、それを目標にしてみましょう。
将来のために現在の生活を圧迫してしまうのであれば、本末転倒です。目標額と目標時期を決めて、無理せずに見直しやすいものから検討してみましょう。
(2)とりあえず見直すならこれ!
何が無理なく見直せるのか分からない……。まず、家族の協力があればすぐ検討できる、通信費、光熱費と保険料の見直しをしてみましょう。
通信費の見直し
総務省の「家計調査報告(家計収支編)平成29年(2017年)平均速報結果の概要」によると、2人以上の世帯の通信費の消費支出は1カ月あたり平均13,270円となっています。月10,000円以上の支出になっていますね。
携帯電話・スマートフォンの利用料金を削減するために、まずは、家族の利用状況を確認して不要なサービスをはずしたり制限したりする方法の他に、家族のスマートフォンのキャリアを揃えて「家族割引」や、インターネット回線をセットにすることで「セット割引」を利用するなどの方法があります。
しかし、すでに実践されているご家庭やもっと節約したいご家庭では、携帯電話会社の契約から見直すことを検討してみてもよいでしょう。いわゆる「通信キャリア」から「格安SIM事業者」(MVNO)に契約を切り替えることで、月々の通信費を大きく節約できる可能性があります。
表1 スマートフォン利用月額料金比較
通信キャリア | 格安SIM事業者 | |
---|---|---|
通話 | 5分かけ放題 定額 | 5分かけ放題 定額 |
データ | 5GBプラン | 通話機能付き5GBプラン |
合計額 | 約7,000円 | 約3,000円 |
差額 | 約4,000円 |
※通話の利用状況、1回5分以内の通話のみとして計算。全て消費税別。
資料:事業者のホームページをもとに執筆者作成
例えば、1回あたりの通話時間が短い方であれば、同じデータ量でも通信キャリアと格安SIM事業者で比較すると、月額で約4,000円も節約できる可能性があります。年間で約48,000円、10年で約48万円も違うため、家族の人数分見直せば、節約効果も大きいといえます。
ただし、格安SIM事業者に切り替える際には初期費用がかかる(解約金、契約手数料など)、使用したい端末に対応していない可能性がある、通信キャリアのメールアドレスが利用できないなどの注意点もあります。必ず、ご自身の利用状況に適しているかどうか、いろいろなプランを比較して検討することをおすすめします。
光熱費の見直し
2016年4月1日から電力について、2017年4月1日からはガスについて、どの会社から購入するのかを消費者が自由に決められる全面自由化がスタートしました。ご家庭にあった料金プランでの契約ができれば、一般的に自然と料金が減り、楽に節約ができます。
例えば、ガスと電気を一緒に申し込めば、それぞれの利用料金が割引されるプラン、テレビやインターネット、電話回線、電力、ガスの契約を全てまとめればより割引があるなど、総合的なサービスを提供するプランもあります。
複数の企業のサービスをまとめて比較できるホームページもありますので、ご家庭の利用状況にあわせて検討してみましょう。
生命保険の保険料の見直し
生命保険に入っている方は保険料にも一度、目を向けてみましょう。現在、支払っている生命保険の保障内容と保険料を確認してみることをおすすめします。
(1)保障が重複していないか確認
加入している保険が複数ある場合は、まず保障が重複していないか確認してみましょう。契約の基本部分(主契約)だけでなく特約まで含め、保険証券などから保障内容を書き上げて確認してみると重複していることがあります。
保障内容が重複しているものは、解約することで保険料を見直すことができます。
(2)掛け捨て型の保険を利用する
生命保険で子育て世代の方が一番重視したいのは、家計を担っている人に万一のことがあった場合に、残される家族の生活費や教育費を確保することではないでしょうか。
保険料を抑えて必要な保障額を受けるのに適した保険として、定期保険と収入保障保険があります。定期保険は、保険期間中に契約者が亡くなったときに死亡保険金が一括で受け取れる保険です。収入保障保険は、死亡保険金が月々定額の年金で一定期間支払われる保険です(必要に応じて、一括で受け取ることができるものもあります)。
いずれも保険料は掛け捨てのため、貯蓄型の終身保険よりもお手頃な保険料で必要な死亡保障を受けることができます。
保険で貯蓄もしたいとお考えならば、貯蓄型の保険と掛け捨て型の保険を組み合わせて、上手に保険料を抑えてみてもよいでしょう。
表2 終身保険、定期保険及び収入保障保険の保険料の比較
(例)35歳男性、2018年4月10日時点で加入した場合の例
種類 | 条件 | 平均月払保険料 |
---|---|---|
終身保険 | 保障金額:1,000万円 保険料払込期間:終身 保障期間:一生涯 |
約17,000円 |
定期保険 | 保障金額:2,000万円 保険料払込期間:35歳から55歳まで 保障期間:20年 |
約5,000円 |
収入保障保険 | 保障金額:年金月額10万円 (契約直後に死亡した場合、 受け取れる予定の年金額合計は約2,000万円) 保険料払込期間:35歳から55歳まで 保障期間:20年 |
約3,000円 |
資料:いくつかの保険商品の見積もりをもとに執筆者作成
(3)住宅を購入したときには
住宅を購入した場合は、あわせて保険を見直しておきましょう。
住宅ローンを利用する場合、団体信用生命保険に入るケースが多いです。ローン契約者に万一のことがあっても、残った住宅ローンは団体信用生命保険から支払われる保険金で返済されますので、一般的に、他の生命保険で必要な死亡保障額が少なくなるといえます。住居費以外の生活費や教育費をカバーできる保障額に保険料を減額することで家計を節約できます。
ただし、保険の見直しすぎには要注意です。保険の見直しについて「これでいいのかな?」と不安に思う方は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に一度相談してみることをおすすめします。
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コラム執筆者プロフィール
宇野 さよ (ウノ サヨ) - 公認会計士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 大学資金ゼロの状態で大学進学を決め、複数の奨学金を利用するなど、自分で大学資金をやりくりしながら公認会計士試験に合格。出産を機にファイナンシャルプランナーの勉強を始め、ライフプランの重要性を認識。仕事と子育ての時間に追われる日々に疑問を感じ、独立。会計と税務に詳しいお金の専門家として、執筆や個別相談を中心に活動中。
ファイナンシャルプランナー 宇野 さよ
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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