メタボ解消で生命保険料の負担を軽減!?
今回は、健康診断結果が良好な方が、保険料の負担を減らして生命保険を契約できる目安について、お話していきたいと思います。
メタボ検診開始から15年!特定健康診査とは?
2008年4月から特定健康診査(いわゆるメタボ検診)という健診制度が始まりました。
特定健康診査は、40歳~74歳を対象とした生活習慣病の発症の予防・改善や早期発見を目的にした健康診断で、特にメタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)に着目しています。
特定保健指導は、健診結果に基づいて、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による効果が多く期待できると判定された人を対象に行う保健指導のことです。
企業にお勤めの場合、会社から指定された特定健康診査の項目が含む健康診断を毎年受けているため、別途受ける必要がありません。
例えば、健康診断を受けたときに、喫煙の有無・飲酒の回数・日々の運動回数など、以下のような質問項目に答えたことはないでしょうか?
- 1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施しているか
- 20歳のときから10kg以上増加しているか
- お酒(日本酒、焼酎、ビール、洋酒など)を飲む頻度
健診結果によって、特定保健指導の内容は異なります。一人ひとりの身体状況や生活環境などに合わせて、医師・保健師・管理栄養士などの専門家が、生活習慣を見直すために、食事や運動のアドバイス、自己管理方法の指導などを行います。
図1 メタボリックシンドロームの診断基準
資料:政府広報オンライン「がん検診&特定健診・特定保健指導の受診を!」[1]をもとに執筆者作成
コロナ禍が原因?特定健康診査の実施率が低下
昨年来のコロナ禍のためか、特定健診の実施率が低下しています。
図2 特定健康診査の実施率の推移
資料:厚生労働省「2020年度特定健康診査・特定保健指導の実施状況について」[2]をもとに執筆者作成
緊急事態宣言による外出自粛が続き、在宅勤務が増えたこともあって、20歳以上65歳未満の約3割の方が運動不足になり、体重1kg以上増加したという結果があります。
図3 20歳以上65歳未満の緊急事態宣言発令中の生活習慣の変化(2020年4~5月)
出典:古澤朗子,門田文,大久保孝義,岡村智教,奥田奈賀子,西信雄,宮本恵宏,由田克士,尾島俊之,近藤慶子,岡見雪子,北岡かおり,早川岳人,喜多義邦,上島弘嗣,岡山明,三浦克之,NIPPON DATA2010 研究グループ. 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言下における国民の生活習慣の変化-NIPPON DATA2010追跡調査結果-. 厚生の指標 2023;70(1):9-15
資料:国立大学法人滋賀医科大学プレスリリース「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言下で国民の生活習慣に変化‐国民健康・栄養調査対象者の疫学研究NIPPON DATA2010の追跡調査結果より‐」を参考に執筆者作成
特定健康診査・特定保健指導を受けることで、自分の生活習慣についての認識が深まるでしょう。また、自分で改善するための具体的な方法を学び、健康的な生活習慣を維持することで、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防にもつながります。
毎年検診を受けて「喫煙歴」「血圧」「血糖」「脂質」をチェック!
最近では、健診結果が良好な方が、割引で保険料が安く契約できる商品が増えています。保険会社により異なりますが、喫煙歴、血圧、血糖、脂質、BMIデータを用いて算定されます。
喫煙歴に関しては、喫煙によってがん、虚血性心疾患、脳卒中の発症リスクが増大するため、保険料が高くなることがあります。また、喫煙歴がある場合でも、禁煙歴が長い場合は、健康リスクが低下するため、保険料が安くなる場合があります。
血圧や血糖、脂質については、血圧が上130mmHg未満、下85mmHg未満、中性脂肪150mg/dL以下の場合は保険料が安くなる可能性があります。一方で、高血圧や脂質異常症の場合は、虚血性心疾患や脳卒中の発症リスクが高まるため、保険料が高くなる場合があります。
表1 脂質異常症診断基準(空腹時採血)
※スクロールで表がスライドします。
LDLコレステロール | 140mg/dL以上 | 高LDLコレステロール血症 |
120~139mg/dL | 境界域高LDLコレステロール血症 | |
HDLコレステロール | 40mg/dL未満 | 低HDLコレステロール血症 |
トリグリセライド | 150mg/dL以上 | 高トリグリセライド血症 |
Non─HDLコレステロール | 170mg/dL以上 | 高non─HDLコレステロール血症 |
150~169mg/dL | 境界域高non─HDLコレステロール血症 |
※10時間以上の絶食を「空腹時」とする。
資料:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版) 策定検討会報告書」[3]をもとに執筆者作成
腹囲に関しては、男性で85cm、女性で90cmを超えると要注意です。BMIについては、18.5以上25未満が正常値とされ、身長170cmの場合、72.24kg以上の場合は肥満、53.45kg以下の場合は、やせ型となります。肥満や低体重の場合は健康リスクが高まるため、保険料が高くなる可能性があり、BMIが正常範囲内である場合は、保険料が安くなる可能性があります。
表2 肥満と低体重の目安(身長別)
身長 | 肥満: BMI25以上 |
低体重: BMI18.5未満 |
---|---|---|
165cm | 68.05kg | 50.35kg |
170cm | 72.24kg | 53.45kg |
175cm | 76.55kg | 56.64kg |
180cm | 80.99kg | 59.92kg |
資料:執筆者作成
メタボ解消で保険料の負担を減らして、家計を改善!!
生命保険会社が健診結果に基づいて保険料を設定することは、保険料をリスクに合わせて設定し、保険契約の公正性を確保することです。
健康診断の結果が保険料に反映されることで、保険会社と契約する側の双方がメリットを享受できます。保険会社はリスクを正確に把握し、保険料を適正に設定することができ、契約者は健康維持や改善に取り組むことで、保険料の負担を減らすことができるので、家計の保険料支払いだけでなく、治療費等も削減できます。
健康診断は病気の早期発見にも役立ちます。健康診断で異常が見つかった場合は、早期の治療が可能になります。そのため、定期的な健康診断を受けることは、将来の健康管理にも役立つことがあります。
しかし、健康診断結果が良好であっても、必ずしも健康であるとは限りません。健康状態は日々変化するため、定期的な健康診断を受けることが大切です。また、適度な運動とバランスの良い食事で健康的な生活習慣を心がけて、健康寿命を延ばしていきしょう。
出典 |
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執筆者プロフィール
勝田 謙一カツタ ケンイチ
AFP、防災士
大学卒業後、大手生命保険会社、外資系保険会社を経て、2014年に勝田FP事務所を開業。自然災害被災者への情報提供の必要性から、SNSグループを開設。現在、自助・共助・公助を生かしたコロナショックからの生活再建相談、執筆活動、オンラインセミナーなどを展開。
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- ※ 掲載日は2023年5月11日です。