50歳を過ぎてからの保険
豊かなセカンドライフ資金の準備をしよう!
50代以降のライフプランはご家庭によりさまざまですが、老後資金の不足が予想される場合はどのように準備をしたらよいのでしょう。貯蓄で備えるだけでなく、保険で備える手段も検討してみてはいかがでしょうか?
豊かなセカンドライフに向けた資金計画を早めにスタートしましょう。
セカンドライフ資金を準備するための3つのステップ
- 豊かなセカンドライフに備えるための3つのステップをご紹介します。
- (1)定年退職後に増える出費と減る出費を知る
- (2)老後の生活費を知る
- (3)老後資金を備える方法を知る
ステップ1:定年退職後に増える出費・減る出費を知る
(公財)生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査」によると、50歳代の約90%の方が老後の生活に対して「不安感あり」と答えています。不安の内容は、「公的年金だけでは不十分」、「日常生活に支障が出る」といったもので、このままでは老後に困窮するのではないかと考えていることが分かります。
では、どのくらい貯蓄があれば安心した生活を送れそうだと思えるのでしょうか?定年退職後の生活は、それまでとはがらりと変わることが予想されます。まずは下記の図を参考に定年後の支出内容をみていきましょう。
図1 定年後の支出内容
資料:執筆者作成
このように、定年退職によって不要となる支出がある一方、増える支出もあります。ご家庭の事情に合わせてこれらの費用の予想をしましょう。
ステップ2 老後の生活費を知る
ステップ1で定年退職後に不要になる支出と増える支出がある程度分かりました。65歳まで雇用確保の推進が図られていますが、60歳での定年により収入が減少することを50歳代の方は意識しておく必要があります。
では、実際に60歳以上の無職世帯の家計の状況を確認してみましょう。総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)平成29年度(2017年)」によると、高齢者無職世帯(2人以上の世帯)の1カ月の平均収支は、収入204,587円、支出265,633円となっていて、不足分は月額61,046円となっています。
図2 高齢者無職世帯1カ月の平均収支(2人以上の世帯)
資料:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)平成29年度(2017年)」より執筆者作成
厚生労働省の「平成28年簡易生命表の概況」をもとに、60歳の「平均余命」を加味して寿命を算出した場合、男性83.67歳、女性88.91歳となります。定年を60歳で迎えた後ご夫婦で約30年間暮らした場合、月額不足額61,046円を備えるためには、約2,198万円(61,046円/月×12カ月×30年)が必要になります。また、住居費の平均が13,885円と抑えられているのは持ち家にお住まいの方が多いためで、賃貸住宅にお住まいの方は住居費が平均よりも高くなることが予想されます。
ステップ3 老後資金を備える方法
ご自身が思い描く豊かなセカンドライフに向けた資金計画の全体の費用の目安が分かったら、自分に合った方法で老後資金を備えましょう。セカンドライフ資金を備える方法には以下の方法があります。
図3 老後資金を備える方法(例)
資料:執筆者作成
預貯金
(1)自動積立定期預金(自動積立定期貯金)
自動積立定期預金(自動積立定期貯金)は毎月決まった日に決まった額を貯蓄できる定期預金(定期貯金)の一種です。先取り貯蓄をすることで確実に貯蓄を殖やしていくことができる方法です。
(2)財形貯蓄
財形貯蓄とは、勤務先が金融機関と提携して、給与やボーナスから天引きで貯蓄できる制度で、元本割れがないことが特長です。会社員や、公務員のほか、勤務先が認めれば、契約社員、パート、アルバイトでも利用できます。
財形貯蓄には、一般財形貯蓄・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄の3種類があります。満55歳未満の方が利用できる財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は、積立期間中・受取期間中とも、貯蓄残高550万円(財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄を合わせて)まで生ずる利子などが非課税とされます。
万一の保障もある保険
保険と預貯金の最も違う点は、万一の保障を備えることができることです。保険料払込期間中に解約すると解約返戻金が払込保険料の総額より少なくなるという注意点がありますが、解約しにくくなるため確実に老後資金を積み立てられるという点が特長です。それぞれの保険についてみていきましょう。
(1)個人年金保険
個人年金保険とは、払込保険料から積み立てられた資金を原資として、契約時に定めた年齢から年金を受け取ることができる保険です。受取方法は、5年・10年・15年などの一定期間、確実に受け取れる「確定年金」、一生涯受取れる「(保証期間付)終身年金」などの種類があります。税法上の要件を満たす場合、「個人年金保険料税制適格特約」を付加すれば、保険料払込期間中は会社員の方は年末調整で、自営業などの方は確定申告をするときに「個人年金保険料控除」を利用でき、所得税、住民税の負担軽減につながります。
(2)外貨建て保険(ドル建て終身保険など)
外貨建て保険は終身保険、養老保険、個人年金保険などがあり、保険料の支払いや、保険金・年金・解約返戻金などの受け取りが外貨で行われる保険のことです。
保険金や解約返戻金を外貨から日本円に換算して受け取るときの為替レートにより、受取額が払込保険料の総額を下回る可能性があります。
(3)変額保険
変額保険とは、資産を株式や債券を中心に運用し、運用の実績によって保険金や解約返戻金が増減する保険のことです。基本保険金額は運用実績にかかわらず最低保証されていますが、解約返戻金額は払込保険料の総額を下回ることがあります。
変額保険は、投資先などが決められている保険商品や、投資先などをご自身で選ぶ商品などがあります。投資に関する知識を学び、金融・経済に対する興味をもつことが必要でしょう。
ご自身の老後のプランと現在の家計状況に合わせて、保険と預貯金を上手に組み合わせて備えていきましょう。
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コラム執筆者プロフィール
小山 智子 (コヤマ トモコ) - 宅地建物取引士/AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 専業主婦時代に、夫の借金を1,000万円肩代わりする。離婚後「お金を守る知識」の重要性を痛感。現在は、シングルマザーと独身女性の相談業務とマネー講座を中心に活動中。著書「誰にも頼れない女のお金の守り方」(秀和システム)。
鎌倉ウーマンライフプランニングオフィス 代表
ファイナンシャルプランナー 小山 智子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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