保険を乗り換えたときの等級は?
自動車保険の更新の時期が近づいてくると、他の保険会社への乗り換えを検討する方もいることでしょう。しかし、今までずっと同じ保険会社で更新していた方は、保険会社を乗り換えたときに自動車保険の「等級」がどうなるのか心配になるのではないでしょうか。等級は保険料に大きく影響するので、割引率が高い優良な等級は手放したくないものです。
そこで、この記事では、等級の引き継ぎ制度や、保険会社を乗り換えるときの注意点についてご紹介します。
自動車保険の等級とは?
自動車保険は、過去の事故歴に応じて契約者ごとに等級が決められており、この等級に応じて保険料の割増引が設定されています。初めて自動車保険を契約したときは6等級に位置づけられます。その後、1年間保険を使った事故がなければ1等級上がって7等級となり、保険料が割り引かれます。反対に、前年に事故を起こして保険を利用すると、事故の内容や件数に応じて等級が下がりますので、保険料は割り増しされます。
保険会社を乗り換えても引き継がれる等級
自動車保険の等級は、保険会社を乗り換えても引き継がれます。そのため、保険料の割引率が高い等級を手放したくない方でも、安心して他の保険会社に乗り換えることができます。ただし、一部の共済は等級引き継ぎの対象外となっている可能性があるため、確認する必要があります。
また、自動車保険の等級をできるだけ早く上げたい方は、保険会社を乗り換えるタイミングに注意する必要があるといえます。
下記図の通り、満期日に他の保険会社に乗り換えた場合、乗り換え後の新契約の等級は1つ上がります(保険期間が1年間で、その間に事故がなかった場合)。しかし、保険期間の途中で乗り換えた場合は、現在の等級で1年間の新契約が始まるため、1つ上の等級に上がる時期が遅くなります。そのため、等級を早く上げたい方は、満期日に合わせて保険会社を乗り換えることをおすすめします。
図 保険会社を乗り換えたときの等級(保険期間が1年間で、その間に事故がなかった場合)
資料:執筆者作成
なかには、保険期間中に乗り換えた場合でも、「保険期間通算特則」という制度を利用することで、満期日に合わせて乗り換えた場合と同じ時期に等級が上がるようにしている保険会社もあります。保険期間の途中で保険会社を乗り換える場合には、保険会社にこの制度が利用できるか確認してみることをおすすめします。
自動車保険を乗り換えるときの注意点
自動車保険の乗り換えは、新契約と前契約それぞれの手続きを同時に並行して進めていく必要があるため、うっかりミスも起こりがちです。
現在の保険内容をよく確認し、下記の点に注意して計画的に準備を進めましょう。
(1)重複契約
まずは、自動車保険に2つ加入してしまわないように注意することが大切です。自動車保険の契約内容によっては自動更新サービスがついていて、契約者からの申し出がない限り、自動で更新が行われることがあります。満期日に合わせて保険会社を乗り換えるときには、前契約の保険会社に更新しないことをきちんと連絡するようにしましょう。
(2)手続き可能な期間
保険会社を乗り換えたときに等級引き継ぎができる期間は限られているため、手続きは早めに取り掛かりましょう。
保険会社の乗り換えをじっくりと検討している間に、前契約の更新手続きも新契約の加入手続きもしないまま満期日や解約日から一定期間が過ぎてしまうと、新規契約として扱われて等級を引き継ぐことができなくなります。一般的には、等級引き継ぎができる期間は満期日や解約日、もしくは満期日や解約日の翌日から7日以内となっていて、とても短いです。保険会社を乗り換えるときは、計画的に準備を進め、新契約の開始日の1カ月前には手続きを終わらせるようにしましょう。
(3)任意保険の無保険期間
新契約の開始日の設定も重要です。前契約の終了日と新契約の開始日にずれがあると、自賠責保険しか適応されない期間が発生してしまいます。もしもこの期間に事故を起こしてしまうと、十分な補償を受けることができない可能性があります。その期間に自動車を運転する予定がなくても、盗難や落下物による車両破損などが起こることもあるかもしれません。念のため、前契約の終了日と新契約開始日は、間が空くことがないようにしましょう。
等級が低い場合にはどうなる?
ここまで等級の引き継ぎ方をご紹介してきましたが、事故があって等級が下がった場合、下がった等級を引き継ぎたくないと思う方もいるでしょう。しかし、保険会社間で契約者の等級や事故件数などの情報共有が行われているため、自動車保険を解約したり保険会社を乗り換えたりしたとしても、13カ月間は等級や過去の事故歴が引き継がれます。
等級が下がって保険料を負担に感じるようになった方は、補償内容を必要最低限に絞ったり、免責金額を高く設定したりするなどの工夫をしてみるとよいでしょう。そして、まず第一に安全運転を心がけましょう。
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コラム執筆者プロフィール
張替 愛 (ハリカエ アイ) - AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 大学で心理学を学んだ後、損害保険会社にて5年半勤務。その後、夫の海外赴任を機に独立を決意。育児をしながら在宅でファイナンシャルプランナーとしての活動を始める。転勤族や、仕事と家庭の両立で悩む女性のために、オンラインでのマネー講座や個別相談を開催中。
FP事務所マネセラ代表
ファイナンシャルプランナー 張替 愛
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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