リスクが低い人は保険料が安くなる自動車保険
「事故を起こすと保険料が高くなる」「ゴールド免許になると保険料が安くなる」と、家族や友人から、自動車保険に関するこのような話を耳にしたことはありませんか?自動車保険の場合、事故に遭うリスクが低い方は、事故に遭うリスクが高い方に比べて保険料がお手頃になっています。このコラムでは、どのような項目が保険料に影響しているのか、どのような工夫をすると保険料を抑えることができるのかをご紹介します。
「リスク」によって自動車保険料は変わる
自動車保険は、運転する方や自動車の状況によって、事故に遭うリスクが違うと考えられています。一般的にリスクの低い契約者の保険料は安く、リスクの高い契約者の保険料は高く設定されています。
リスクと保険料のイメージ図
資料:執筆者作成
過去の事故歴によって保険料が変わる
主なリスク要因の1つが過去の事故歴です。これまでに事故に遭って自動車保険を使用した方は、長年使用していない方に比べて、リスクが高いと考えられています。1年間自動車保険を使用する事故がなければ、それだけリスクが低い方と考えられる要素が増え、翌年の保険料が割り引きされていきます。このような過去の事故歴による割引率は保険会社によって異なりますが、最大で約60%の割り引きになることもあります。
過去の事故歴は保険会社間でも情報共有されているため、過去の事故歴に関する割引率は、保険会社を乗り換えても引き継がれます。
さらに、継続して免許を受けている期間が5年以上で、かつ違反やケガのある事故を起こしていない優良運転者とされる、ゴールド免許の方向けに割引を用意している保険会社が多いです。
保険料に関係するその他のリスク要因
保険料に影響するリスク要因は、保険業法施行規則の第12条により、下記の9つに定められています。このうち運転歴は、前述の過去の事故歴といえるでしょう。
- ・年齢
- ・性別
- ・運転歴
- ・営業用、自家用その他自動車の使用目的
- ・年間走行距離その他自動車の使用状況
- ・地域
- ・自動車の種別
- ・自動車の安全装置の有無
- ・自動車の所有台数
保険会社はそれぞれ独自の保険料を設定しており、どのリスク要因を採用しているかは保険会社ごとで異なります。ここでは、主なリスク要因についてご紹介します。
(1)運転者の属性
年齢が若い方は、事故に遭う確率が統計上高くなっています。そのため、運転者の年齢を21歳以上、26歳以上、30歳以上など限定することで、保険料の割り引きをしている保険会社が多いです。年齢条件が適応される範囲は、一般的に主な運転者やその家族となり、別居の親族、友人や知人は年齢条件にかかわらず補償されることがあります。「実は、年齢条件による割引が受けられた」ということもありますので、よく確認してみましょう。
また、運転者限定割引が用意されていることも多いです。補償の対象となる運転者を、契約者のみやその配偶者までと限定することで、保険料が割り引かれることがあります。
(2)自動車の使用状況や年間走行距離
自動車の使用状況は、日常・レジャー使用や、通勤・通学使用、業務使用などに分けられていて、日常やレジャーだけで使用する場合の方が保険料はお手頃に設定されるのが一般的です。例えば、自動車に乗るのは週末の買い物に行くときがほとんどという方と、通勤のために毎日長距離運転する方を比較すると、後者の方が事故に遭う確率が高いだろうと想像しやすいでしょう。走行距離が短いほどリスクが低いと考えられ、保険料に影響することもあります。
(3)自動車の種別や安全装置の有無
自動車自体の性能や装備などの特性や使用ユーザー層などに基づいて、自動車検査証に記載されている型式ごとにリスクが設定されています。また、自動ブレーキ(ASV)がついている自動車や、新車などを対象に割引を用意している保険会社もあります。
自動車保険料を抑える工夫
リスクの低い方は保険料もお手頃になるという自動車保険の仕組みを最大限利用することで、保険料を抑えることができます。リスク要因のなかには、年齢や住んでいる地域など、変えるのは難しいものもありますが、日々の安全運転の積み重ねや自動車の種別、年間走行距離など、比較的自分でコントロールできるものもあります。
例えば、「丁寧な運転を心掛けて、事故を起こさないようにする」「安全装置が搭載されている車種を選ぶ」「自動車を運転する方の範囲を契約者のみや家族だけなどに限定する」「年齢条件割引が受けられないか毎年確認する」、このような工夫をすることはできるでしょう。
このコラムを読んで、事故に遭うリスクの低い方がどんな方なのかイメージできたのではないでしょうか。事故に遭うリスクの低い方は保険料がお手頃になる自動車保険ですが、反対に、リスクの高い方は一般的に保険料が高くなってしまいます。ぜひ、安全運転を心掛け、事故に遭うリスクも保険料も、低く抑えましょう。
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コラム執筆者プロフィール
張替 愛 (ハリカエ アイ) - AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 大学で心理学を学んだ後、損害保険会社にて5年半勤務。その後、夫の海外赴任を機に独立を決意。育児をしながら在宅でファイナンシャルプランナーとしての活動を始める。転勤族や、仕事と家庭の両立で悩む女性のために、オンラインでのマネー講座や個別相談を開催中。
FP事務所マネセラ代表
ファイナンシャルプランナー 張替 愛
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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