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2017.07.11
自賠責保険と自動車保険、何が違うの?
自動車保険と自賠責保険、どちらも自動車の保険だったら、ひとつだけ入っていればいいのでは?そう思っている方、いらっしゃいませんか?今回は、自動車賠償責任保険(以下、自賠責保険)と自動車保険の違いについてお伝えいたします。
加入しないと罰せられる「自賠責保険」
自賠責保険と自動車保険の一番大きな違い、それは、加入が強制なのか任意なのかということです。自賠責保険は自動車損害賠償保障法という法律により、一部の自動車※を除いた全ての自動車が、自賠責保険への加入を義務付けられています。違反すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科せられ、無保険で運転すると、即免許停止となります。また、加入していても、自賠責保険の証明書を持たずに運転した場合にも30万円以下の罰金が科せられます。
※自賠責保険に加入しなくてもよい自動車
- ・自衛隊の任務遂行のために使用する自動車
- ・在日米軍の任務遂行のために使用する自動車
- ・国連軍の任務遂行のために使用する自動車
- ・道路以外の場所のみで使用する自動車(構内専用車)
※自賠責保険に加入できない自動車
- ・農耕作業用の小型特殊自動車(トラクター・田植機・農業用薬剤散布車など)
先日、横浜の山下公園付近を歩いていると、人気ゲームキャラクターのコスプレをして公道をカートで走る軍団に遭遇しましたが、このカートにも自賠責保険は必要です。
一方、自動車保険の加入は任意です。自賠責保険は自動車事故の被害者救済を目的とした保険なので、最低限の補償しか付いていません。それを補うかたちで生まれたのが自動車保険なのです。
自賠責保険は相手を死傷させた場合の補償のみ
自賠責保険と自動車保険の補償内容を比べてみると、表1のようになります。
自賠責保険で補償されるのは、相手を死傷させた場合の賠償責任だけです。しかもその補償内容は限定されています。
これに対し、自動車保険は補償の範囲が広いです。相手を死傷させた場合の補償だけでなく、自分や家族、車の補償など、自動車事故にまつわるさまざまな損害をカバーできるようになっています。しかも、事故や自動車の故障などのトラブルを無料でサポートしてくれる「ロードサービス」やきめ細かな補償を提供する「特約」などのオプションも充実しています。
ロードサービスとは、事故や故障で動けなくなった自動車を修理工場までレッカー移動したり、ガス欠時のガソリン補給やバッテリー上がり時のジャンピング作業を行ったりするなどの簡易作業を無料で提供するサービスです。提供されるサービスは保険会社によって内容が異なります。あなたのカーライフに必要なロードサービスが受けられるか、比較してみるとよいでしょう。
特約には、人身傷害保険金の支払対象となる事故が原因で入院した場合の補償を手厚くしているものもあります。事故に遭った方が家事従事者の場合はホームヘルパー費用の給付が受けられたり、介護従事者の場合は介護ヘルパーの費用、育児中の方ならベビーシッター費用や保育施設への預け入れ費用が支払われたりするものもあります。傷痕が残ってしまったときの形成手術費用、事故が原因の予定外の宿泊費などを補償する特約を付けられる場合もあります。特約も保険会社によって異なり、非常に幅広くなっています。補償を手厚くしたい場合は特約もチェックしてみるといいですね。
自賠責保険は自動車事故による被害者救済のためのものなので、保険金が支払われるのは相手を死傷させた場合の損害賠償に限られています。相手の自動車に対する損害賠償や、ガードレール・電柱などを破損させてしまった際の損害賠償などは、自賠責保険では補償されません。また、自賠責保険の保険金は一人あたりの支払限度額が設けられています。事故により死亡した相手の方に対する損害賠償額が1億円だった場合、自賠責保険から支払われるのは3,000万円になり、残りの7,000万円は自分で支払わなければなりません。また、事故により自分もケガを負ってしまうこともあります。自分の過失が大きい事故の場合は、相手の自賠責保険から支払われる損害賠償金が減額されてしまい、治療費や休業損害など経済的な負担をカバーできない恐れがあります。自賠責保険では補償されない損害をカバーしてくれるのが、自動車保険です。
自賠責保険はどの保険会社で加入しても同じだけど、自動車保険は比べるほど得になる!?
もうひとつ、自賠責保険と自動車保険の大きな違いは、保険料の決まり方にあります。
自賠責保険の保険料は表3のような区分で決まっていて、どの保険会社で加入しても同じです。
一方、自動車保険の保険料の決まり方は保険会社によって異なります。表4のような項目の他にも複数台所有・長期優良・エコカーなどの割引制度もあります。
運転する方の条件を限定したり、自動車の利用方法に合う保険を選ぶことにより、保険料を節約することができそうですね。
自賠責保険はあくまでも自動車事故の被害者を救済するためのもので、補償内容は限られています。万一の事故のとき、相手の方のためにもご自身やご家族のためにも、自賠責保険に加えて、自動車保険で自分に必要な補償をしっかり上乗せしましょう。そして、忘れてはならないのは、常に安全運転を心がけること!ですね。
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コラム監修者プロフィール
柳澤 美由紀
やなぎさわ みゆき
- CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。
相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。
家計アイデア工房 代表
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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