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2018.02.13
自分に合う医療保険、どうやって選べばよい?
(公財)生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査《速報版》」によると、入院給付金が支払われる生命保険に加入している人の割合は72.1%と、多くの人が病気やケガで入院した時にかかるお金を保険で備えているようです。
昨今、医療保険にもさまざまな種類がありますが、一体どうやって選べばよいのでしょうか。
医療保険でどんなことに備えられる?
医療保険では、入院や手術をした時に、一定の入院給付金や手術給付金を受け取ることができます。さらに商品や特約によって、例えば、5日未満の入院の場合でも5日分の入院給付金を一時金として受け取れるものや、入院後(商品によっては入院前も)に通院した時に通院給付金を受け取れるものもあります。また、がんになった時や生活習慣病で入院した時、放射線治療を受けた時などに一時金を、先進医療を受けた時に一定額を限度として実際にかかった金額を受け取れるもの、働けなくなった時に年金を受け取れるもの、などもあります。入院給付や手術給付を主契約とし、特約として保障を追加していく保険が一般的です。
また、共済のように死亡保障などがついた商品もありますし、最近は入院中にかかった治療費の実費を補償するタイプの医療保険も出てきています。
医療保険を検討する際に最初にすべきことは、貯蓄で対応できない部分について、どの保障をどのくらい保険でまかないたいかを考えることとなります。
多くのケガ・病気をカバーしたいのか、特定の病気だけでよいのか考える
一般的に医療保険というと、一部をのぞいたあらゆるケガや病気による入院費用などに備えられますが、「がん」や「三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)」にのみ絞った保険(がん保険や三大疾病保険)もあります(※)。病気を限定することで保険料を抑えることができますので、一つの選択肢といえるでしょう。もちろん他の病気やケガでかかる医療費も不安な人は、一般的な医療保険を検討することになります。
(※)保障の対象となるがん、三大疾病は保険会社によって異なることがあります。
主契約の入院保障について考えよう
医療保険を検討する場合、まず主契約について考えましょう。
- <入院給付金日額はいくらにする?>
- 現在の医療保険の入院給付金は、1日につき5,000円・8,000円・10,000円などから選ぶものが多いです。前述の(公財)生命保険文化センターの調査によると、直近の入院時の自己負担費用(※)の平均額は1日あたり19,800円、ボリュームゾーンとしては、1日あたり10,000円~15,000円でした。この費用には、治療費以外にかかる食事代や差額ベッド代、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)、衣類、日用品も含まれていますが、これら全ての費用を保険でまかないたい場合、この調査から、入院給付金日額10,000円では不足する可能性が高いことがわかります。
(※)高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額で算出している。 - それでは、純粋な治療費だけを保険でまかないたいと考える場合は、いくらくらいの入院給付金がよいのでしょう。
- 公的健康保険には「高額療養費制度」といって、医療費が多くかかっても自己負担をかなり抑えられる制度があります。例えば、年収500万円の世帯で、医療費(健康保険対象のもの)が1カ月100万円かかった場合、窓口で支払う金額は30万円(3割負担とする)となりますが、その後高額療養費の支給を申請するとあとから212,570円戻ってきます。すると実質負担額は87,430円となります(※)。
このケースにおいて入院給付金のみで医療費をまかなうとすると、18日以上入院する場合は、給付日額5,000円でよいことになりますが、18日より短い場合は給付日額5,000円では不足します。
(※)高額療養費制度における上限額は、年齢や所得によって異なります。また、入院する場合、あらかじめ手続きをしておけば窓口での支払いを負担の上限額までに抑えることも可能です。なお、食事代や差額ベッド代などは高額療養費の支給対象ではありません。
- <支払限度日数は何日にする?>
- 入院給付金の1入院あたりの支払限度日数も、30日・60日・120日・180日・360日などいろいろなタイプがあり、長くなればなるほど保険料があがります。厚生労働省「平成26年患者調査」によると、平成26年9月に退院した全国の患者の入院日数の平均は31.9日とのこと。傷病によっては、「精神及び行動の障害」291.9日、「脳血管疾患」89.5日、「慢性腎不全」62.9日と長いものもありますが、保険で備えるのであれば、1入院あたり60日あれば多くの病気をカバーできると考えられます。ただし、同じ病気で退院後180日以内に再入院した場合は、入院日数が合算され1回の入院とみなされますので注意が必要です。どうしても不安な場合は、支払限度日数が長い商品を選択するか、特定の病気(三大疾病など)については支払限度日数が延びるタイプを選ぶのもよいですね。
特約について考えよう
医療保険の特約には、通院特約や診断一時金特約、先進医療特約などがあります。特約を多くすれば保険料があがりますので、自分にとって必要かどうかをよく検討しましょう。例えば通院特約は入院前後の通院を保障するものですが、高額療養費制度を利用すれば、入院や手術ほど大きなお金が一気にかかるものではないから貯蓄で対応しよう、と考えることもできるでしょう。とはいえ、通院が長引いた時には大きな負担となる可能性があるため、つけておいてよかったと思えるかもしれません。入院日数は、平成2年の44.9日から平成26年は31.9日と短期化の傾向にありますが、入院前後に通院する割合は、平成14年以降8割程度で推移しています。
終身タイプと定期タイプ、どっちにする?
医療保険には、一生涯保障を得られる終身タイプと、一定期間のみ保障を得られる定期タイプがあります。
- <終身タイプの特長と注意点>
- 特長:加入時の保険料のまま一生涯の保障を得られて安心
- 注意点:加入してすぐは定期タイプよりも保険料が高くなる
時代に合う医療保険に見直す機会がなく、放置しがち
- <定期タイプの特長と注意点>
- 特長:加入してすぐは終身タイプよりも保険料が抑えられる
定期的に見直すことができる - 注意点:更新のたびに保険料があがり、老後の支払いに不安がある
自分に合う医療保険の選び方
病気になったら……と考えると多くの保障をつけたくなるものですが、保障を増やせばそれだけ保険料はあがります。医療保険は掛け捨てのものがほとんどです(※)。自分が出してもよいと思える保険料と「得たい保障」のバランスをよく考えて決めることになるので、どの保障を最も得たいか優先順位を書き出しましょう。
(※)一定の期間給付金を受け取らなかった場合、「祝い金」を受け取れるようなタイプもありますが、その分保険料は高くなります。
また、今加入している保険の医療保障を確認することも大切です。死亡保障のみだと思っていた保険に、入院や通院の特約がついていることもあるかもしれませんよ。定期的に、家中の保険証券を出して保障内容をまとめることをおすすめします。その際、保障されている内容と、保障期間(いつまで保障されているか)をチェック。勤め先で入る団体医療保険には会社をやめたら保障が終了したり、継続できても70歳までの保障などとなっているものもあり、その後も保障を得たい場合は、新たに別の保険に加入しないといけません。年齢があがっていますので保険料は高くなり、健康状態によっては加入できない可能性も。また共済も、60歳や65歳を超えると保障内容が変わったり、保障されるのは70歳や85歳までなどとなっていたりするタイプがあるため、むしろ医療保障の必要性が高まる60歳以降に、どのくらい保障を得たいかどうかも考えておくと安心です。
貯蓄が少ない人ほど、医療保険の必要性は高いといえますが、保障を多くしすぎて保険料がかさみ、家計の貯蓄力が落ちるのは本末転倒です。原則、医療費は保険だけでなく貯蓄からも手当てできるように、保険料と保障のバランスを考えて選ぶようにしましょう。
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コラム監修者プロフィール
柳澤 美由紀
やなぎさわ みゆき
- CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。
相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。
家計アイデア工房 代表
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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