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シングルマザーが知っておきたい支援制度と働き方
掲載日:2017.09.11
今は家族の形もそれぞれで、シングルマザーは増加傾向です。厚生労働省の「平成23年度全国母子世帯等調査結果報告」によると、日本の母子世帯は約124万世帯ですが、子育て世帯の中でも収入面で厳しい状況に置かれています。シングルマザーの筆者が、知っておきたい家計と仕事にプラスになる制度、よくある質問と体験談をお伝えします。
シングルマザーの仕事のリアル
大黒柱のシングルマザーはどのように働いているのでしょうか?離婚をきっかけに働きに出て徐々にステップアップするなど、パート・派遣社員・契約社員・正社員・自営業と働き方が変わっていくシングルマザーもいます。
実際にあったケース
- ・大学の事務のパートと、家でできる単発のアルバイトで複数の仕事を掛け持ち。
- ・パート、契約社員から正社員に転身後、勤め先の経営難で解雇。再就職し、正社員で経理の仕事。
- ・夫が失踪し、実家に帰って看護師資格を取得後、病院に勤務。
- ・派遣社員で働いている中、雇用が不安定なため起業を準備中。
働き方はさまざまですが、「子どもが望むなら大学に行かせてあげたい」「家計をやりくりして貯金ができるようになりたい」「でも、子どもと自分の時間も大切にしたい」「仕事が不安定でこれから先が不安」という声がありました。そんな理想と不安を抱えるシングルマザーが、生活の基盤を整え、安心して生活ができるようになるために知っておきたい制度からご紹介します。
知っておきたい手当・助成・給付などの支援制度
シングルマザーや低所得者向けの主な支援制度です。家計の負担を減らす制度や仕事に関わる制度もあります。
主な支援制度
資料:執筆者作成
支援制度はこの他にもいろいろあります。これらの制度は、それぞれの自治体において「ひとり親家庭のしおり」などで分かりやすくまとめてありますので、お住まいの自治体には、どのような制度があるのか確認してみましょう。仕事に関する支援については、パソコンや簿記、各種事務や介護系の講習など各自治体や支援団体で開催されていますので、情報収集しながら活用しましょう。
こんなときどうする?シングルマザーの仕事と社会保険
仕事を探し、転職するときに気になる社会保険の加入については、働き方により変わってきます。知っておきたい知識を事例も含めてご紹介します。
- (1)社会保険の基本
- 厚生年金・健康保険:就労している職場で加入している方
国民年金・国民健康保険:自営業、職場で加入してない方、無職の方 - 一般的に、週30時間以上働く方が社会保険(厚生年金保険・健康保険)の加入の対象となりますが、職場によっては、週20時間以上の労働時間で月の基本的な賃金が88,000円以上になる方も対象となるなど、条件が異なりますので、加入条件については職場に確認しましょう。
- (2)こんなときはどうする?
- よくある質問から社会保険の素朴な疑問にお答えします。
- Q.専業主婦で離婚しました。まだ就職活動中です。国民年金を払うお金がなくて困っています。
- A.国民年金の免除申請をしましょう。お住まいの自治体に行って手続きをすることで、国民年金の保険料が免除になる可能性があります。
- Q.パートを2つ掛け持ちしています。2つの収入を合わせると年収140万円ですが、社会保険に加入できていません。どうしたらいいですか?
- A.お勤めの会社で社会保険に加入できないかまず確認しましょう。もし、どちらかで働く時間を増やすことで社会保険に加入できるのであれば、もう1つの仕事を減らす、または辞めて、1つの会社で集中して働くことも考えましょう。
- Q.会社を退職し、起業します。起業したときの年金や健康保険を知りたいです。
- A.起業すると自営業になるので、国民年金と国民健康保険に加入します。起業初期は収入が低いこともあるので、退職したらすぐお住まいの自治体に行って、国民年金の免除や国民健康保険の減額申請をしましょう。
支援制度を活用し周りの助けを借りながら仕事をしたから今がある
筆者は、今でこそお金の専門家として仕事をしていますが、独身時代はざる家計でした。結婚し、子どもを授かったのはとてもうれしかったのですが、産まれたときから娘はアレルギー体質でいろいろとお金がかかりました。「お金が飛んでいく!」という状態から、子どもとの生活を守るために「1から勉強を」と思い、ファイナンシャルプランナーの資格をとるための勉強をするところから始めました。
生活をしていくために、元夫と別居中のころから当然仕事を始めるわけですが、保育園に入れず、無認可保育園の保育料に月6万円の支出は大きな負担となっていました。離婚して収入が激減する中、府営住宅にも入れず民間の賃貸に引っ越しようとするもののトラブルが起きて、1カ月分の家賃を泣き寝入りしました。「生きたお金の知識が必要!」と身をもって体験し、家計にプラスになることは即実践していきました。すると、娘の教育費を貯めることができたのです。家計以上に変わったのは、筆者の心の余裕でした。
そんな体験とお金の知識を子育て日記のようにブログで書き始めると、そのブログの読者さんより「切実なお金の悩みと相談」が寄せられ、電話でアドバイスをするようになりました。また、同じブログよりNHKのコラムの執筆の話があり、隙間時間を使って副業という形でファイナンシャルプランナーの仕事をスタートしたのは、娘が6歳のときでした。
少し余裕が出てくると、これから先のことを考えるようになりました。平日の昼間に働いていた仕事を転職しましたが、長期で働くことのできない仕事でした。そんな中、ファイナンシャルプランナーとして活動しているうちに「もっと困っている方のお役に立つ仕事を本格的にしたい」と思うようになり、親や周りからの「シングルマザーが起業なんてリスクがある」という反対の声を押し切って、自営業に転身しました。最初は収入が少なかったので、国民年金の免除と国民健康保険の減額を市役所で申し込みました。その後、ひとり親家庭向けの支援として開催されていたホームページ作成講座に参加し、手作りでホームページを作成しました。そして3年後には「小規模事業者持続化補助金」に応募し、国の補助金を受けることもできました。
そして今は、経済的に自立ができ、将来の不安もなくなりました。過去を振りかえると、収入が少なかったときの国や自治体の支援制度は本当にありがたかったです。子育てをしながらの仕事は悩みも多いものです。だからこそ、自立できるまでやしんどいときには、国の制度や周りの助けをたくさん借りましょう。そして、子どもと一緒に笑顔で生活できる基盤を整え、長く働き続けることのできる仕事を見つけてくださいね。
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カトウ ヨウコ
- 女性とシングルマザーのお金の専門家
- 離婚を機にお金の勉強を始め、3年間で子どもの教育費を貯める。自身のブログ「女性とシングルマザーのお金の話」に全国の女性から切実なお金の相談が寄せられ、NHKのWEBコラム執筆を機に独立。3年間で1,500件以上の相談を受けている。現在は、女性ファイナンシャルプランナーのための実務講座やオンライン講座を配信中。
マイライフエフピー代表
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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