2
もし、離婚することになったら?今からやるべき離婚前の準備行動
掲載日:2017.08.28
厚生労働省「平成27年(2015)人口動態統計」によると、平成27年度の婚姻件数は約63.5万組で、離婚件数は約22.6万組です。離婚件数は2002年以降減少傾向ですが、婚姻件数と比較すると3組に1組が離婚している計算になります。
離婚に至るまでには、さまざまな道筋がありますが、同調査でわかるように日本の離婚の約9割が夫婦2人の話し合いで決まる「協議離婚」です。協議離婚は、慰謝料・財産分与・養育費・親権などありとあらゆることを、今後どのようにしていくのか夫婦の話し合いで決めます。
離婚の体験談
私は「調停離婚」を経験し、シングルマザー歴10年になります。離婚時小学生だった2人の子どもはもう成人しています。夫には借金があり財産分与は諦め、子どもの養育費確保のために調停離婚を選びました。
ところが、調停員の方より自家用車、貯蓄タイプの生命保険、学資保険などが財産分与の対象と聞き、早速チェックを始めたのでした。そのときの私の経験や知識から、知っておいた方がいいことはたくさんありますが、ここでは離婚時の財産分与の基本ポイントに絞ってお伝えしたいと思います。
財産分与の対象を整理する
財産分与とは、婚姻期間中に築いた夫婦の財産を分けることをいいます。もし、財産が夫婦どちらか一方の名義になっていても、結婚後に夫婦の協力で築いた財産はマイナスの財産(住宅ローンなど)でもプラスの財産(預金など)でも、それは共有財産で財産分与の対象となります。
主な財産分与の項目
- ・現金
- ・預金
- ・保険(生命保険・学資保険など)
- ・不動産(土地・建物など)
- ・自動車(バイクなど)
- ・家具・家電・美術品
- ・有価証券(株券、社債など)
- ・ゴルフ会員権
- ・退職金
- ・年金
など。
独身時代の預金や親からの相続は対象になりません。「うちはお金がないから」「借金があるから」とはじめから決めつけないで、ご自身の場合は何が財産分与の対象で、対象外なのかを整理しておきましょう。財産分与のなかでも保険や不動産について具体的に手続きも含めてご紹介します。
- (1)持家の場合は査定から
- 不動産の査定とは、過去の取引実績などからその価格を算出します。実際に売却できる価格とは差があることがほとんどです。ここで注意するポイントは住宅ローンとの兼ね合いです。不動産は大きな財産ですが、住宅ローンが残っている場合はその残金もセットで考えます。
-
- (例)
-
- ・住宅ローン残金3,000万円>物件価格2,000万円=マイナス1,000万円
- ・住宅ローン残金1,000万円<物件価格2,000万円=プラス1,000万円
まずは、その住宅ローン残金と物件価格を比較します。プラスもマイナスも、どちらも財産分与の対象となり、住宅ローン残金が物件価格よりも上回っている場合、残った住宅ローンをどうするのか十分な話し合いが必要です。査定には時間がかかる場合もあります。早めに信頼できる複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
次に、夫が住むのか、妻が住むのか、売却するのかも決めないといけません。持家に妻が住み続ける場合は名義や住宅ローンをどうするかなど細かい整理が必要になってきます。必ず専門家に確認しましょう。
- (2)貯蓄タイプの生命保険は解約返戻金を確認
- 生命保険には「掛け捨てタイプ」と「貯蓄型タイプ」があり、ご自身で加入されている保険のうち「満期保険金がある」「解約返戻金がある」といった、貯蓄型タイプの保険が財産分与の対象になります。
現実的には生命保険を途中で解約すると元本割れのリスクがありますので、財産分与を現金で払い保険は解約しない方が、メリットがある場合もあります。解約返戻金について確認したいときは、加入している保険会社へ問い合わせをしましょう。
- (3)学資保険は契約者の確認も忘れずに
- 学資保険も貯蓄型タイプで解約返戻金がある保険ですので、財産分与の対象になります。子どものための保険ですから、離婚時に解約して現金を分けるのか、そのまま契約を続けるのかといったことも含めた慎重な話し合いが必要です。
離婚後に保険料負担を夫から妻へ移して契約を続けるのであれば、契約者、被保険者、受取人などの変更を必ず行いましょう。離婚後は元夫婦間でのやり取りが難しくなりますので、離婚する前に、加入している保険会社へ手続きの手順や書類を確認しておくことが必要です。
- (4)自動車・バイクの査定と保険
- 年式、走行距離、車体の傷の有無などにより査定価格に違いがでます。インターネットでの査定よりも、車の買取専門店や購入したディーラーに査定をしてもらうのがおすすめです。また、夫名義の車を現金化せずそのまま妻が乗り継ぐ場合、離婚前に自動車保険を妻名義に変更手続きすることで費用を抑えることができる場合があります。ご加入の保険会社に問い合わせましょう。
離婚前の行動が離婚後の家計を支える
ご家庭によって財産分与の対象は異なります。よくわからない事実をすべてクリアにし、話し合いをスムーズに進めるためにも事前の確認は必須です。また、財産分与など目の前にあるお金以外にも、離婚後「児童扶養手当」や「国民年金・国民健康保険の免除や減額」など活用できる手当や制度があります。私の場合、財産分与の対象にあたるものを一つずつ調べていった結果プラスの財産があることがわかり、その財産の半分を手に入れることができました。
「こんな状態では無理」と、はじめから諦めて行動しないのはとてももったいないことです。まずは「できたらいいな」と思って行動を始めてみませんか?「知る」ことで思わぬ道が開けることもあります。
育児中の今こそじっくり比較
学資保険ランキングお子さまのために貯蓄の計画を
店舗でプロに相談する小山 智子
コヤマ トモコ
- 宅地建物取引士/AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 専業主婦時代に、夫の借金を1,000万円肩代わりする。離婚後「お金を守る知識」の重要性を痛感。現在は、シングルマザーと独身女性の相談業務とマネー講座を中心に活動中。著書「誰にも頼れない女のお金の守り方」(秀和システム)。
鎌倉ウーマンライフプランニングオフィス 代表
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
今すぐ相談したい方はこちら
メルマガ登録をして保険市場がご案内する各種コラムの更新情報やお得なキャンペーン情報を受け取ろう!
ご登録アドレスは大切にお預かりし、保険市場メールマガジンの配信にのみ利用します。