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損害保険

2014年12月02日

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わが子が加害者!?自転車事故にどう備える?

「兵庫県が自転車保険の加入義務化を検討」というニュースを目にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。2014年10月に行われた兵庫県知事の記者会見によると、自転車保険の加入を義務化する条例について特別な部会を設立し、来年2月の条例化を目指して検討しているそうです。背景には、自転車と歩行者の事故により、歩行者側に対して、自転車を運転していた側が多額の損害賠償金の支払いを命じられる判決が続出していることがあります。今回は、自転車を運転することによって生じるリスクと、その備えについて説明していきます。

自転車に乗ることによるリスクとは?

警察庁の調査によると、平成15年から平成25年までの10年間で、自転車が関係する事故は減少傾向にあります。しかし、歩行者相手の事故は横ばい状態が続いています。歩行者が相手の事故になりますと、多額の損害賠償金を求められることもあります。

自転車での加害事故例

自転車での加害事故例
賠償額(※) 事故の概要
9,521万円 男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態となった。 (神戸地方裁判所、平成25年7月4日判決)
9,266万円 男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。 (東京地方裁判所、平成20年6月5日判決)
6,779万円 男性が夕方、ペットボトルを片手に下り坂をスピードを落とさず走行し交差点に進入、横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。女性は脳挫傷等で3日後に死亡した。 (東京地方裁判所、平成15年9月30日判決)
5,438万円 男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と衝突。女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。 (東京地方裁判所、平成19年4月11日判決)
4,043万円 男子高校生が朝、赤信号で交差点の横断歩道を走行中、旋盤工(62歳)の男性が運転するオートバイと衝突。旋盤工は頭蓋内損傷で13日後に死亡した。 (東京地方裁判所、平成17年9月14日判決)

(※)賠償額とは、判決文で加害者が支払いを命じられた金額です(上記金額は概算額)。

日本損害保険協会調べ
出典:日本損害保険協会発行「知っていますか?自転車の事故~安全な乗り方と事故への備え~」

このように、多額の賠償命令が出されることは、決して珍しくありません。また、自分自身のケガに対するリスクも忘れてはなりません。

自転車に乗るリスクには、どう備えたらいいのでしょう?

自転車を運転するときのリスクには、大きく分けて

  1. 1.他人にケガをさせてしまう、あるいは死亡させてしまう。他人の持ち物や公共の物を壊してしまう。
  2. 2.自分がケガをしてしまう、あるいは死亡してしまう。

の2つがあります。

これらのリスクに備える方法の1つに「自転車保険」があります。他人にケガをさせたり、他人の持ち物等を壊してしまったりしたときの賠償責任に対する補償と、自分自身の死亡補償や入院補償がセットになっています。

自転車保険の中には、通院も補償しているものや、1契約で家族についても補償しているものもあります。保険料は補償内容により異なりますが、一般的に、年齢・性別にかかわらず定額になっています。

また、自転車保険には、保険会社や保険代理店で加入できるタイプ、携帯電話を通して契約できるタイプ、コンビニエンスストアで契約できるタイプ、インターネットで申し込みが完結するタイプなどがあり、契約できる場所や手段が多岐にわたっています。

自転車の事故以外にも使える保険がある!

自転車保険の内容は、「個人賠償責任保険+傷害保険もしくは交通事故傷害保険」を組み合わせたものになります。

「個人賠償責任保険」は、本人またはその家族が日常生活で誤って他人にケガをさせたり他人の物を壊したりして損害賠償金や弁護士費用などを負担した場合に補償する保険です。火災保険や自動車保険の特約として付帯されている場合があります。

「傷害保険」は、不慮の事故が原因でケガをしたり、死亡したりした場合に補償する保険です。「交通事故傷害保険」は、車、自転車、オートバイ、電車などの乗り物による事故に遭ったときなどに限定して補償する保険です。

何も備えていない方には自転車保険が便利ですが、勤務先で団体傷害保険に入っていたり、火災保険や自動車保険に入っていたりする場合は、その保険に個人賠償責任保険(特約)を付帯する方法も検討する価値はあります。

個人賠償責任保険(特約)では、いくつか注意しなければならないことがあります。

  • 1つの契約で家族が補償される商品があります。
  • 業務中の事故は補償されない場合があります。
  • 火災保険や自動車保険の特約として契約している場合は、主契約である火災保険や自動車保険を解約すると、個人賠償責任特約も同時に解約となります。いざ保険を使おうというときに、「契約がなかった!」ということがないように気を付けなければいけません。
  • クレジットカードに付帯されている場合もあります。しかし、中には保険金額が十分でない場合があります。前述したように、自転車事故の賠償金額は多額になることがあります。付帯されていることで安心せずに、必ず補償内容を確認しましょう。

また、上記の他にも「TSマーク付帯保険」という自転車保険があります。これは、自転車安全整備士が点検整備した自転車に貼付されるシールに、傷害補償・賠償責任補償が付帯されているもので、記載されている点検日から1年間補償されます。

自転車事故への備え方はいくつかありますが、ご自分にあったものを選びましょう。その際、賠償責任保険に示談交渉サービスがあるとより安心です。

自転車は気軽に利用できる交通手段ですが、時には人の命も脅かす凶器にもなります。特にお子さまがいらっしゃる方は、お子さまが自転車事故による被害者・加害者にならないよう、自転車の危険性を教え、楽しく安全に乗れるように、自転車の乗り方について指導や注意をしていきましょう。

中垣 香代子の写真 中垣 香代子の写真

コラム執筆者プロフィール

中垣 香代子(なかがき かよこ)
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

損害保険会社に約10年勤務後、子育てに専念。約20年間の専業主婦の後、ファイナンシャルプランナーとなる。
「老後のお金サポーター」として、相談業務の他、40~50歳代女性にお金の知識をわかりやすく伝える活動をしている。また、自身の経験から、経済的理由で進学をあきらめるお子さんが一人でも減ることを願い、就学支援の情報発信にも力を入れている。
老後のお金を一緒に考える事務所 所長。

柳澤 美由紀の写真 柳澤 美由紀の写真

コラム監修者プロフィール

柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。
相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。

家計アイデア工房 代表

  • この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
  • 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。

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